林野庁は、林業従事者等が林業経営の改善等のために必要とする資金の貸付事業を行う都道府県に対して資金の一部を国庫補助金として交付している。本件事業に係る都道府県の特別会計で多額の繰越金が発生して、財政資金が効果を発現することなく滞留している事態について本院が指摘したところ、林野庁は、平成13年に、都道府県は貸付けが見込まれない額を国へ自主納付できることとするなどの処置を講じている。しかし、本院が検査したところ、その後も、多くの県において依然として多額の繰越金を発生させている事態が見受けられたことから、林野庁は、都道府県に対して、自主納付の検討対象とすべき額の算定方法についての指針を示すなどしている。
したがって、林野庁において、都道府県に対して自主納付に関する上記の指針の周知徹底を図るとともに、資金の運営状況についてより一層把握に努め、その状況に応じた的確な指導を行うよう、林野庁長官に対して20年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、林野庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、林野庁は、本院指摘の趣旨に沿い、20年10月の都道府県資金担当者を集めた全国4か所でのブロック会議において、自主納付に関する前記の指針の周知徹底を図り、また、各都道府県と個別に協議を行うなどして、随時資金規模の見直しを行うよう指導するなどの処置を講じていた。
これを受け、21年7月末までに18府県において、自主納付の処置が執られていた。