国土交通省は、港湾整備事業における港湾施設の設計等に先立って、国の直轄事業又は補助事業として、土質調査、測量等の調査等業務を実施している。調査等業務において調査技師が乗船する交通船等の借上費の積算に当たっては、国土交通省港湾局が制定した「港湾請負工事積算基準」等において、計2名の船員が乗船することとして算定することなどとされている。しかし、調査等業務においては、交通船等に実際に乗船している船員数は1名となっているものが多数を占めており、その主な作業内容は調査技師の指示に従って岸壁と海上の調査現場の間を移動するための操船作業となっていて、積算基準が実態を反映していない事態が見受けられた。
したがって、国土交通省において、調査等業務で使用する交通船等について、作業の実態に合わせて積算基準を改めて、国土交通省、港湾管理者等が積算を適切に行うことができるよう、国土交通大臣に対して平成20年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、作業の実態に合わせて船員1名を標準とするよう積算基準を改訂し、21年8月以降に発注する業務から適用することとする通知文書を同年7月に地方整備局、港湾管理者等に対して発し又は参考送付する処置を講じていた。