(平成19年度決算検査報告 参照)
平成20年10月1日に統合して株式会社日本政策金融公庫(以下「日本公庫」という。)となる国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫及び中小企業金融公庫(以下、これらを「3公庫」という。)は、それぞれの住宅規則等に基づき、所有住宅又は借上住宅を職員住宅として職員に貸与している。しかし、職員住宅の管理運営等が公庫ごとに行われていることなどのため、農林漁業金融公庫及び中小企業金融公庫の所有住宅に1年以上の空室があるにもかかわらず、別途、借上住宅を職員に貸与している事態が見受けられた。
したがって、農林漁業金融公庫及び中小企業金融公庫において、所有住宅に空室がある場合は当該所有住宅への入居を最優先することとして借上住宅の速やかな削減を図り、また、3公庫において、職員住宅の入居状況等の情報を共有するなどして各公庫が現在保有する所有住宅を全体で有効活用することを検討して、統合の効果の発現を期するよう、国民生活金融公庫総裁、農林漁業金融公庫総裁及び中小企業金融公庫総裁に対して20年9月に、会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。
本院は、日本公庫本店において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、日本公庫は、本院指摘の趣旨に沿い、順次借上住宅から空室のある所有住宅へ入居させて、借上住宅の速やかな削減を図った。また、20年10月の統合時に国民生活事業、農林水産事業及び中小企業事業の共通の規程として職員住宅規則を制定して、住宅貸与に当たっては、上記の3事業間で調整して行うことなどを定めるとともに、21年1月に所有住宅の相互利用に係る事務取扱を定めて、職員住宅の入居状況等の情報を上記の3事業間で共有することにより、所有住宅を全体で有効活用することについて周知徹底を図っていた。そして、順次事業間の相互利用を進めて、同年4月の定期人事異動時に本格的に実施し ていた。