(平成19年度決算検査報告 参照)
日本郵政株式会社(以下「日本郵政」という。)は、マイクロソフトコーポレーション製ソフトウェアの使用権を日本郵政公社(以下「公社」という。)から承継して自ら使用するほか、郵便事業株式会社、郵便局株式会社、株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険(以下、これらの4会社を総称して「グループ会社」という。)にも使用させている。これらの使用権の大半は、GEAと呼ばれる政府機関向けの購入方法によって購入されており、GEAには、購入したソフトウェアの新バージョンが通常3年間の契約期間中に発売された場合、これを使用する権利が含まれている。そして、この権利を行使できる期間は使用権の契約更新により延長できるが、使用権の契約更新に要する費用は使用権をGEAにより新規に購入するよりも安価となっている。しかし、公社において、使用権の内容を十分に把握していなかったことなどのため、平成14年3月にGEAにより購入した使用権の契約期間が満了する17年3月に契約の更新を行わず、17、18両年度に新規にGEAにより使用権を購入したため不経済となっているなどの事態が見受けられた。
したがって、日本郵政において、使用権の内容を十分に把握してグループ会社にも周知を図るとともに、ソフトウェアを中長期的に使用した場合の経済性を検討する体制を整えるなどの処置を講ずるよう、日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長に対して20年9月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
本院は、日本郵政本社において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、日本郵政は、本院指摘の趣旨に沿い、ソフトウェアの使用権に係る契約条件を適時に把握して、グループ会社に対して周知することとするとともに、日本郵政及びグループ会社の社員を構成員として、ソフトウェアを中長期的に使用した場合の経済性を検討するための会議を定期的に開催することとするなどの処置を講じていた。