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  • 平成20年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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(575) 高年齢者等共同就業機会創出助成金の支給が適正でなかったもの


(575) 高年齢者等共同就業機会創出助成金の支給が適正でなかったもの

科目
高齢・障害者雇用支援勘定
部局等
独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構
支給の相手方
3事業主
高年齢者等共同就業機会創出助成金の支給額の合計
10,504,000円(平成17、18両年度)
不適正支給額
10,504,000円(平成17、18両年度)

1 助成金の概要

(1) 高年齢者等共同就業機会創出助成金

 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構(以下「機構」という。)は、雇用保険(前掲の「雇用保険の失業等給付金の支給が適正でなかったもの 」参照)で行う事業のうちの雇用安定事業の一環として、45歳以上の求職者等(以下「求職者」という。)を雇い入れて継続的な雇用・就業機会を創出するために、高年齢者等共同就業機会創出助成金(以下「助成金」という。)の支給に係る業務を行っている。助成金は、45歳以上の者3人以上が共同して法人を設立して、求職者を雇い入れて継続的な雇用・就業機会を創出した場合に、当該法人に対して法人の運営に要した経費等の一部を助成するものである。

(2) 助成金の支給

 助成金の支給要件は、〔1〕 法人が助成金の支給申請日において、設立登記後継続して事業を営んでいる雇用保険の適用事業主(以下「事業主」という。)であって、法人の運営に要する経費等、助成金の支給対象となる経費(以下「支給対象経費」という。)を支払っていること、〔2〕 助成金の支給申請日において求職者を雇用保険の被保険者として1人以上雇い入れていることなどとなっている。そして、助成金の額は、法人の運営に要する経費(法人の設立登記の日から起算して6か月の期間内に費用が発生して、支払が完了したものに限る。)等に3分の2を乗じて得た額(ただし、500万円を限度とする。)となっている。
 助成金の支給を受けようとする事業主は、法人の設立登記年月日、事業の概要等を記載した事業計画書に法人設立の際に必要とされた書類等を添付して、機構に提出することとなっている。また、法人の設立登記の日から6か月経過後に、雇用保険の被保険者数、支給対象経費等を記載した高年齢者等共同就業機会創出助成金支給申請書(以下「支給申請書」という。)に支給対象経費の支払を確認できる領収書等を添付して、機構に提出することとなっている。そして、機構は、支給申請書等の内容を審査した上、支給決定を行い、これに基づいて助成金の支給を行うこととなっている。

2 検査の結果

 本院は、合規性等の観点から、事業主に対する助成金の支給決定が支給要件に照らして適正に行われているかなどに着眼して、機構において、事業主から提出された支給申請書等の書類により会計実地検査を行った。そして、適正でないと思われる事態があった場合には、更に機構に調査及び報告を求めて、その報告内容を確認するなどの方法により検査を行った。
 検査の結果、3事業主が助成金の支給申請日において求職者を雇用保険の被保険者として雇い入れていなかったり、法人の設立登記の日から6か月の期間内に支払っていない経費を支払ったこととする事実と相違する領収書を添付したりなどして申請していて、これらに対する平成17、18両年度の助成金の支給額計10,504,000円全額が適正に支給されておらず、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、事業主が制度を十分理解していなかったり、誠実でなかったりしていたことにもよるが、機構において支給申請書等の記載内容が事実と相違していたのに、これに対する調査確認が十分でないまま支給決定を行っていたことによると認められる。
 なお、これらの不適正支給額については、本院の指摘により、すべて返還の処置が執られた。