(平成19年度決算検査報告 参照)
国立大学法人東北大学(以下「東北大学」という。)の東北大学病院(以下「病院」という。)において、東北大学の会計規程等に定められた契約事務を行うことなく工事を発注して、工事完了後に予定価格や契約書を作成するなどしていて、会計規程等が遵守されていない事態が見受けられた。このことから、病院の内部統制等の状況についてみたところ、内部牽(けん)制が十分機能していなかったり、各監査機関等において内部統制についての監査が適切に行われていなかったりなどしていた。
したがって、東北大学において、適正な工事契約事務を行うために、内部統制の体制を整備したり、的確な監査を実施したりなどするよう、国立大学法人東北大学学長に対して平成20年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、東北大学において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、東北大学は、本院指摘の趣旨に沿い、病院等に係る工事契約予定案件を事前に本部施設部に届け出ることを義務付けるなど、全学の工事契約を一元管理することとして適正な工事契約事務を行えるようにし、また、病院の教授等を対象に講習会を開催し関係法令等の周知徹底を図るなどして内部統制の体制を整備するとともに、監事監査及び監査室監査において、契約等の適正な実施について重点的に監査する体制を執ったほか、理事、監事、監査室及び会計監査人の4者協議会を定期的に開催して各々が行う監査の調整を図るなどの処置を講じていた。