(平成20年度決算検査報告 参照)
財務省は、国の歳出需要を賄うための財源として公債を発行しており、公共事業費又は貸付金の財源に充てるために建設国債の発行により調達されて一般会計から特別会計に繰り入れられた資金については、不用により剰余金となったり、貸付先からの償還資金に使用する予定がなかったりする場合には予算で定めるところにより一般会計の歳入に繰り入れることができることとなっている。しかし、特別会計に繰り入れられた資金に係る剰余金等が特別会計の歳入に計上されて、消費的支出の財源に充てられたり、後年度の公共事業費等の財源に充てられたりなどしている事態が見受けられた。
したがって、財務省において、剰余金等の使途等に留意して、剰余金等が消費的支出の財源に使われて建設国債の発行に対して法律上設けられている制限を形がい化したり、一般会計に繰り入れられないまま財源が既得権化して財政の硬直化を招いたりすることがないようにするための方策を検討するよう、財務大臣に対して平成21年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、財務本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、財務省は、本院指摘の趣旨に沿い、不用により生ずる特別会計の剰余金について、消費的支出の財源に使われて建設国債の発行に対して法律上設けられている制限を形がい化することがないよう、当年度の建設国債発行額を適切に管理するという観点から、21年度以降、建設国債対象経費として一般会計から特別会計へ繰り入れられ特別会計の歳出において不用となる金額を把握し、建設国債発行額の調整を行うこととする処置を講じていた。
また、貸付金の償還等により生じた特別会計の剰余金について、一般会計に繰り入れられないまま財源が既得権化して財政の硬直化を招くことなどがないよう、歳出を厳しく精査し、歳出財源として充てる見込みのない額を一般会計へ繰り入れることなどに取り組むこととする処置を講じ、22年度予算では、食料安定供給特別会計及び社会資本整備事業特別会計から一般会計への繰入れが行われた。