(5件 不当と認める国庫補助金 262,967,252円)
制度改革促進基金造成事業は、国が実施する施策の円滑な導入及び促進を図ることなどを目的として、全国に52ある信用保証協会(以下「協会」という。)が、国から補助金の交付を受け、平成17年4月1日以降に行われた部分保証(注1)
から生じた各協会の損失を優先的に処理するための制度改革促進基金(以下「促進基金」という。)を造成するものである(促進基金の概要については、後掲の「国から補助金の交付を受けて各信用保証協会に造成された制度改革促進基金の規模が必要額を超えた過大なものとならないよう補助金の交付の在り方等について見直しを行うなどすることにより、同基金の効果的な活用が図られるよう意見を表示したもの
」参照)。
そして、中小企業庁が定めた「制度改革促進基金事務取扱要領」(平成18・02・06財中第1号)等(以下「取扱要領」という。)に基づき、協会は、上記の17年4月1日以降に協会が行った部分保証について、当該保証から生じた求償権(株式会社日本政策金融公庫(20年9月30日以前は中小企業金融公庫。以下「公庫」という。)から補てんされた保険金(注2)
等の額を除く。以下同じ。)のうち回収不能と認められるものについて償却を行うなどした額を限度として、協会の損失を補てんするために、当該年度末において促進基金を取り崩すこととなっている。
本院が中小企業庁及び14協会において会計実地検査を行い、52協会の促進基金の取崩し状況を検査したところ、5協会において、部分保証を行ったことから生じた求償権について18年度から20年度までの各年度末に償却を行うなどしたことに対応して促進基金計458,825,392円を取り崩していたが、この中には促進基金の取崩しの対象とならない17年3月31日以前に行った部分保証から生じた求償権について償却を行った額に対応して取り崩した額計262,967,252円が含まれており、促進基金造成のために交付された国庫補助金計262,967,252円が補助の目的外に使用されていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、5協会において取扱要領に定められている促進基金の取崩しの対象に対する認識が不足していたり、促進基金の取崩しに当たっての審査が十分でなかったりしたこと、中小企業庁において協会に対する指導監督が十分でなかったことによると認められる。
これを事業主体別に示すと次のとおりである。
部局等 | 補助事業者 (事業主体) |
補助事業 | 年度 | 基金使用額 | 左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める基金使用額 | 不当と認める国庫補助金額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(688) | 関東経済産業局 | 埼玉県信用保証協会 | 制度改革促進基金造成 | 18〜20 | 133,597 | 133,597 | 74,058 | 74,058 |
(689) | 同 | 横浜市信用保証協会 | 同 | 18、19 | 123,989 | 123,989 | 83,470 | 83,470 |
(690) | 同 | 川崎市信用保証協会 | 同 | 20 | 116,980 | 116,980 | 59,573 | 59,573 |
(691) | 近畿経済産業局 | 滋賀県信用保証協会 | 同 | 20 | 57,677 | 57,677 | 27,283 | 27,283 |
(692) | 九州経済産業局 | 大分県信用保証協会 | 同 | 20 | 26,580 | 26,580 | 18,580 | 18,580 |
(688)—(692)の計 | 458,825 | 458,825 | 262,967 | 262,967 |
部分保証 協会と金融機関が適切な責任共有を図るために、協会は、金融機関の行う融資の100%ではなく一定割合(80%又は90%)を保証し、残りについては金融機関が責任を負うとするもの。
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補てんされた保険金 公庫は、中小企業信用保険法(昭和25年法律第264号)に基づいて、協会と包括保証保険契約を締結して契約金額の範囲内で保険を引き受ける信用保険を行っている。信用保証付融資を受けた中小企業者が債務不履行に陥った場合、協会は当該中小企業者に代わって金融機関に債務を弁済することにより中小企業者に対して求償権を取得し、公庫は上記の契約に基づき、協会に対して保険価額(保証した借入金の額)に一定割合(主に70%又は80%)を乗じた額を保険金として支払うこととなっている。
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