厚生労働本省が平成18、19両年度に一般会計から公益法人に対して概算払により交付した補助金等について、実績報告書上の余剰額がありながら額の確定手続が長期にわたって完了していないため、返納させるべき補助金が補助事業者に滞留したままとなっていたり、大臣官房会計課において、額の確定手続の進捗状況を網羅的に把握、管理していなかったりしている事態が見受けられた。
したがって、厚生労働省において、20年度以前に概算払により交付された補助金等について、速やかに額の確定手続を完了させ、確定した額を超える補助金等があるものについては当該補助金等を国庫に返納させるとともに、21年度以降に概算払により交付した補助金等について、可能な限り速やかに額の確定手続を完了させることができるような事務処理態勢としたり、額の確定手続の進捗状況を網羅的に把握、管理する体制を整備したりするなどの処置を講ずるよう、厚生労働大臣に対して22年4月に、会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。
本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、23年1月までに、20年度以前に概算払により交付された補助金等のうち、額の確定手続が完了していなかった補助金等2106件について額の確定手続を完了させ、確定した額を超えて概算払されている166件については、確定した額を超える補助金等計6億6120万余円を国庫に返納させる処置を講じていた。
そして、21年度以降に概算払により交付した補助金等については、大臣官房会計課において、22年5月に官庁会計システムのデータを活用して額の確定手続の進捗状況を網羅的に把握、管理する体制を整備し、さらに、22年12月には各部局においても進捗状況を把握させるなど、概算払により交付された補助金等の額の確定手続を速やかに完了させることができるような事務処理態勢を整備する処置を講じていた。