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  • 平成22年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 厚生労働省|
  • 平成21年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

生活保護における被保護世帯の資産の活用について


(10) 生活保護における被保護世帯の資産の活用について

平成21年度決算検査報告参照

1 本院が要求した改善の処置

 生活保護の実施に当たっては、被保護世帯の資産等の活用が前提となっていることから、一定の居住用不動産を所有する被保護世帯については、要保護世帯向け不動産担保型生活資金の貸付制度を利用することが可能な場合、これを利用することにより資産の活用を図ることとなっている。しかし、都道府県又は市町村(特別区を含む。以下、これらを合わせて「事業主体」という。)において、貸付制度の利用の検討を十分に行っていなかったり、利用していない世帯に対して指導が十分に行われていなかったりなどしていて、被保護世帯が貸付制度を利用することが可能であるのに、その利用が進まず生活保護を継続していて、被保護世帯の資産の活用が図られていない事態が見受けられた。
 したがって、厚生労働省において、貸付制度の適時適切な利用により、被保護世帯の所有する資産の活用が図られるよう、事業主体において、資産活用についての認識を徹底させ、資産の状況について適時適切に把握するための体制を整備したり、事業主体及び都道府県社会福祉協議会等(以下「都道府県社協等」という。)において、貸付制度についての誤認を防止したり、事業主体と都道府県社協等との連携を強化したりなどするとともに、都道府県等が事業主体に対して実施する監査の際に被保護世帯が所有する資産の活用状況を確認するなどの処置を講ずるよう、厚生労働大臣に対して平成22年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。

2 当局が講じた処置

 本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
 検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、23年3月及び6月に都道府県等に対して通知を発するなどして、次のような処置を講じていた。

ア 事業主体に対して貸付制度の適時適切な利用により被保護世帯の資産活用を図ることについて徹底させ、また、資産保有台帳の様式等を示すなどして資産の状況を組織的に把握するための体制を事業主体において整備することとした。
イ 事業主体及び都道府県社協等に対して、貸付制度の利用に当たって推定相続人の同意が必要であるという誤認をしないよう徹底させるとともに、事業主体と都道府県社協等との連携を強化するよう指導した。
ウ 都道府県等が事業主体に対して行う監査の際に資産の活用状況を確認することとした。