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  • 平成22年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 農林水産省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • 役務

委託事業及び補助事業において、従事者が従事したとしている日数が事業開始から終了までの日数を超過するなどしていたのに、従事実績の確認を行わずに人件費の精算等を行っていたため、委託費の支払額及び補助金の交付額が過大となっていたもの


(301) 委託事業及び補助事業において、従事者が従事したとしている日数が事業開始から終了までの日数を超過するなどしていたのに、従事実績の確認を行わずに人件費の精算等を行っていたため、委託費の支払額及び補助金の交付額が過大となっていたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)農林水産本省
  (項)食の安全・消費者の信頼確保対策費
平成19年度以前は、
(項)総合食料対策費
部局等 農林水産本省
〈役務〉
契約名 平成18年度抗菌性物質薬剤耐性菌評価情報整備委託事業等14契約
契約の概要 食品の安全確保のための調査・試験事業等の実施等
契約の相手方 財団法人畜産生物科学安全研究所
契約 平成18年8月ほか 契約14件(随意契約10件、一般競争契約4件)
支払 平成19年4月ほか
支払額 611,725,991円 (平成18年度〜21年度)
過大となっていた支払額 50,454,378円 (平成18年度〜21年度)
〈補助金〉
補助の根拠 予算補助
補助事業者 財団法人畜産生物科学安全研究所
補助事業 動物用医薬品の承認申請資料作成のためのガイドライン作成事業等3事業
補助事業の概要 動物用医薬品の適正な審査資料の作成及び迅速な承認審査に資するためのガイドラインの作成等
上記の補助事業に対する国庫補助金交付額 103,376,391円 (平成19年度〜21年度)
不当と認める国庫補助金相当額 2,661,485円 (平成19年度〜21年度)
過大となっていた委託費の支払額及び不当と認める国庫補助金相当額の合計 53,115,863円 (平成18年度〜21年度)

1 委託事業等の概要

 農林水産本省(以下「本省」という。)は、平成18年度から21年度までに、食品の安全の確保等に資するために、財団法人畜産生物科学安全研究所(以下「研究所」という。)に対して、平成18年度抗菌性物質薬剤耐性菌評価情報整備委託事業等22件の事業の実施を委託しており、委託契約に基づき、委託費として計733,788,491円を支払っている。また、本省は、19年度から21年度までに、動物用医薬品の適正な審査資料の作成及び迅速な承認審査に資するためのガイドラインを作成するなどの4件の補助事業を実施させるために、総合食料対策事業関係補助金等交付要綱(平成16年4月消安第7340号)等に基づき、研究所に対して総合食料対策民間団体事業推進費補助金等を計4件、120,923,391円交付している。
 本省は、上記の委託費の支払及び国庫補助金の交付に当たって、当該委託契約及び交付要綱に基づき研究所から提出された委託事業及び補助事業(以下、両事業を合わせて「委託事業等」という。)の実績報告書等の審査、確認等を行い、委託費及び国庫補助金の額を確定している。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院が22年次に、研究所において会計実地検査を行ったところ、18年度から20年度までに実施した委託事業等について、委託事業等に係る人件費の算定の根拠となる業務日誌が作成されておらず、この結果、本省は従事者の従事実績を確認できないまま、実績報告書等に記載された人件費の額に基づいて精算等を行っていたことが判明した。このため、本院が改善を図る必要があるとして指摘 したところ、本省において従事実績に係る証拠書類等の整備方法等を支出先に明示することなどの処置が講じられた。
 そして、上記の会計実地検査において、18年度から20年度までの委託事業等に係る人件費の算定について、研究所が当初算定の根拠であるとしていた業務日誌が会計実地検査に際して急きょ作成された虚偽のものであることが判明するなど、その適正性を確認できなかったことから、本院は、21年度の委託事業等を含めて引き続き検査を行うこととして、合規性等の観点から、委託事業等に係る人件費の算定は適正かなどに着眼して、本省及び研究所において、前記の委託事業22件、補助事業4件、計26件を対象として、委託契約書、実績報告書等の書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 前記のとおり、研究所は委託事業等に係る業務日誌を作成していなかったが、従事者の勤務状況を確認するなどして、上記26件の委託事業等について、従事者がそれぞれの委託事業等に従事したとしている日数を検査したところ、委託事業14件(委託費の支払額計611,725,991円)、補助事業3件(国庫補助金交付額計103,376,391円)、計17件に係る従事者延べ64名(18年度29名、19年度10名、20年度19名、21年度6名)について、従事したとしている日数が事業開始から終了までの日数を超過するなどしている事態が見受けられた。
 したがって、上記の委託事業等計17件について、延べ64名の従事者が委託事業等に従事していたとは認められない日数を除外するなどして適正な人件費を算定すると、実績報告書等において委託事業計236,428,863円、補助事業計52,779,706円としていた人件費は、それぞれ計190,986,315円、計50,303,170円となる。そして、これにより適正な委託費及び国庫補助金の額を算定すると、それぞれ計561,271,613円、計100,714,906円となることから、上記委託費の支払額との差額50,454,378円、国庫補助金交付額との差額2,661,485円(国庫補助金相当額)、計53,115,863円が過大となっていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、研究所において委託事業等に係る適正な人件費の算定についての認識が不足していたこと、本省において委託事業等の実績報告書等に対する審査、確認等が十分でなかったことなどによると認められる。