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  • 平成22年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 経済産業省|
  • 平成21年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

国際博覧会事業の実施及び経理について


(1) 国際博覧会事業の実施及び経理について

1 本院が要求した適宜の処置及び求めた是正改善の処置並びに要求した改善の処置

 経済産業省は、サラゴサ国際博覧会及び上海国際博覧会の実施に当たり、独立行政法人日本貿易振興機構(以下「機構」という。)に委託費を交付しており、機構は、この委託費及び民間企業等からの協賛金を財源として、別の事業者と再委託契約及び請負契約を締結している。しかし、機構の再委託契約において、事業費が概算額で算定され、将来実績額が変動することが予想されるのに、実績額に基づいた精算が行えない確定契約としていたり、海外で課せられる諸税の還付手続を行うことができない契約としていたりしている事態や、国際博覧会事業の収支状況の決算額を経済産業省及び機構が十分に把握していなかったり、公表することとしていなかったりしている事態が見受けられた。
 したがって、経済産業省において、機構に対して、現在実施中の再委託契約のうち精算が必要なものについては、実績額に基づく精算に向けて協議させるとともに、今後締結される再委託契約について実績額に基づいた精算及び海外で課される諸税に関する還付手続を行わせるよう指導及び助言を行ったり、国際博覧会事業の収支状況について公表したりするなどの処置を講ずるよう、経済産業大臣に対して平成22年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求め、並びに同法第36条の規定により改善の処置を要求した。

2 当局が講じた処置

 本院は、経済産業本省及び機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
 検査の結果、経済産業省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 22年9月に、機構に対して、上海国際博覧会に係る再委託契約のうち実績額に基づく精算が必要な契約については、再委託業者との間で精算に向けて協議するよう指導及び助言を行った。
イ 同月に、「博覧会事業に関する予算執行の適正化のための事務マニュアル」を改定し、今後実施される国際博覧会事業については、目的又は性質上精算を要しない場合を除き、実績額に基づく精算を行わせるよう委託先に対し指導及び助言を行うこととするとともに、機構に対してその旨の通知を発した。
ウ 上記の改定したマニュアルにおいて、海外で課される諸税に関する還付手続を行うことや国際博覧会事業の収支状況を公表することなどについて、委託先に対して指導及び助言を行う旨を規定した。そして、上海国際博覧会に係る収支状況については、23年8月に経済産業省のホームページにより公表した。