内閣府本府は、財団法人海洋博覧会記念公園管理財団(以下「海洋博財団」という。)の基本財産の造成について助成し、海洋博財団の財政的基礎を確立するために補助金を交付している。そして、この補助金の運営要領においては、補助金により造成された基本財産(以下「補助造成財産」という。)の運用益について、内閣府本府が使途を別途定め、その運用益の収入及び支出を他の収入及び支出と区分経理し、帳簿等の整備及び保存を行わなければならないこととされている。しかし、内閣府本府は、運用益の使途を定めておらず、また、海洋博財団は、補助造成財産の運用益の支出について区分経理を行っておらず、帳簿等の整備及び保存も行っていなかった。
したがって、内閣府本府において、補助造成財産の運用益の使途を明確に定め、その具体的な使途を把握するとともに、海洋博財団に対して補助造成財産の運用益の支出について、勘定科目を設定させるなどして区分経理を行わせ、帳簿等を整備及び保存させて、補助造成財産の運用益の管理が適切に行われるよう内閣総理大臣に対して平成23年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
本院は、内閣府本府及び海洋博財団において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、内閣府本府は、本院指摘の趣旨に沿い、23年10月に海洋博財団に対して内閣総理大臣決定を発して、補助造成財産の運用益の使途を明確に定めるとともに、同月に海洋博財団に通知を発して、補助造成財産の運用益により実施した事業の成果及び当該事業に要した経費内容が確認できる資料を提出させて具体的な使途を把握したり、補助造成財産の運用益に係る支出について海洋博財団に独立した勘定科目を設定させて区分経理を行わせたり、帳簿等を整備及び保存させたりする処置を講じていた。