文部科学省は、日本人学校等の在外教育施設への派遣教員の所属元である都道府県が派遣教員へ支給した給与等の経費について、在外教育施設派遣教員委託費(以下「委託費」という。)として当該都道府県に交付している。しかし、委託費の算定対象となる経費の支給実績額が正しく把握されないまま委託費の額の確定が行われていて、委託費が過大に交付されている事態が見受けられた。
したがって、文部科学省において、過大に交付されていた委託費の国庫への返還を求めるなどの措置を講ずるとともに、委託費の算定を適正なものとするよう、在外教育施設派遣教員委託費交付要綱(平成15年4月1日文部科学大臣決定。以下「交付要綱」という。)等において委託費交付実績額の定義を規定するなどの改正を行い、これを都道府県に通知し周知徹底を図ったり、実績報告書に給与等の経費の実績額を記載した内訳表を新たに添付させるなどして審査の一層の充実を図ったりする処置を講ずるよう、文部科学大臣に対して平成23年9月に、会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。
本院は、文部科学本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。検査の結果、文部科学省は、本院指摘の趣旨に沿い、6府県に対して過大に交付されていた委託費について24年4月までに国庫に返還させるとともに、次のような処置を講じていた。
ア 23 年 4 月に、交付要綱等に委託費の算定対象となる経費の費目及び委託費交付実績額の定義を明示するなどの改正を行うとともに、これを同年5月に都道府県に対して通知して周知徹底を図った。
イ 上記交付要綱の改正において、実績報告書の記載内容の適否を検証できるようにするために、経費の実績額を記載した内訳表を実績報告書に添付させて審査の充実を図ることとした。