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  • 平成23年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 文部科学省|
  • 平成22年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

各都道府県に移管された高校奨学金事業の運営について


(2) 各都道府県に移管された高校奨学金事業の運営について

平成22年度決算検査報告参照

1 本院が表示した意見

 文部科学省は、高校奨学金事業のセーフティネットとしての重要性等に鑑み、独立行政法人日本学生支援機構から各都道府県に移管された高校奨学金事業(以下「移管奨学金事業」という。)が国民の利便性を損なうことなく将来にわたって適切に運営されるよう、高等学校等奨学金事業交付金を交付している。しかし、各府県において、移管奨学金事業の収支予測等を実施していなかったり、収支予測等の結果に基づいて必要な対応策等を講じていなかったり、回収率の向上を図るための施策を十分に講じていなかったりなどしていて、貸与水準を維持しつつ移管奨学金事業を将来にわたって継続かつ安定して運営していく態勢が十分に確保されておらず、同交付金の効果の発現が将来にわたって継続しなくなるおそれがある事態が見受けられた。
 したがって、文部科学省において、各都道府県に対して、収支予測等を実施することなどについて周知するとともに、移管奨学金事業の運営状況等を的確に把握し、これに基づいて必要な助言等を行うなどして、移管奨学金事業の適切な運営の確保を図るよう、文部科学大臣に対して平成23年9月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

 本院は、文部科学本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
 検査の結果、文部科学省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 23年10月及び11月に各都道府県に対して事務連絡を発するなどして、移管に伴う財源措置の内容等について周知徹底を図るとともに、将来的な収支予測等の実施や回収率の向上に向けた取組等に努めるよう周知した。

イ 24年6月から7月にかけて各都道府県における移管奨学金事業の内容、実施方法、運営状況等について調査して、その実態を把握した。

ウ イの調査結果を踏まえて同年7月に各都道府県に対して事務連絡を発して、将来的な収支予測等が完了していない場合には速やかに作業を進めること、既に収支予測等を実施している場合においても適時適切な見直し等を行うこと、回収率の向上に向けた取組を更に進めることなどについて助言等を行った。