厚生労働省は、検疫所等が管轄する空港や海港に来航する外国からの航空機や船舶に対して実施する検疫に関する各種の情報を管理するなどのために、健康監視システムを20検疫所等に、通常検疫業務システムを31検疫所等にそれぞれ導入している。しかし、システムの一部の機能が業務上の使用に耐えないものとなっていることなどから、健康監視システムの通常検疫業務機能については、導入した20検疫所等のうち14検疫所等において全く利用されておらず、また、通常検疫業務システムについては、導入した31検疫所等の全てにおいて全く利用されていないなどの事態が見受けられた。
したがって、厚生労働省において、健康監視システムの通常検疫業務機能については、海港に係る業務に対応する機能を除いて利用を図り、健康監視システムの通常検疫業務機能のうち海港に係る業務に対応する機能及び通常検疫業務システムについては、運用及び保守に要する費用やその他追加的に発生する機能改修費用等を抑えるために、運用の停止を含めた検討を行うよう、厚生労働大臣に対して平成23年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
本院は、厚生労働本省等において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、23年11月に各検疫所の健康監視システムの担当者を対象とした健康監視システム利用促進連絡会議を開催するなどして、次のような処置を講じていた。
ア 健康監視システムの通常検疫業務機能について、海港に係る業務に対応する機能を除いて利用を図るよう指示した。
イ 健康監視システムの通常検疫業務機能のうち海港に係る業務に対応する機能及び通常検疫業務システムについて、運用を取りやめることを指示し、当該機能等については保守対象外とするなどして、費用の抑制を行った。