都道府県等は、厚生労働省からの交付金により造成された基金を活用して、都道府県等が企画した事業等を民間企業等へ委託するなどして雇用機会の創出等を図る緊急雇用創出事業及びふるさと基金事業を実施している。しかし、38都府県等において、緊急雇用創出事業のうちの緊急雇用事業及びふるさと基金事業(以下、これらの事業を合わせて「両基金事業」という。)に係る委託契約の契約形態は、確定契約が6割以上を占めていて、雇用状況が変動することに伴う人件費等の変動に対応することが困難となっていたり、37都府県等において、概算契約にもかかわらず、新規雇用失業者に係る人件費の額の確認が十分に行われていなかったりしている事態が見受けられた。
したがって、厚生労働省において、両基金事業に係る委託契約については、原則として精算条項に基づき支払額を確定させる概算契約とするよう必要な措置を講ずるとともに、概算契約については、精算時に支払額の確認を適切に実施するよう都道府県に対して通知して、周知徹底を図るなどの処置を講ずるよう、厚生労働大臣に対して平成23年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求し及び同法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、失業者に対する雇用機会の創出という事業の実施をより適切なものとするよう、23年11月に都道府県に対して通知を発して、次のような処置を講じていた。
ア 両基金事業に係る委託契約については、雇用状況が変動することに伴う人件費等の変動を適切に反映できるように原則として精算条項に基づき支払額を確定させる概算契約とするよう周知徹底を図った。
イ 両基金事業の実施に当たり締結する概算契約については、精算時に支払額の確認を適切に実施するよう周知徹底を図った。