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  • 平成23年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 厚生労働省|
  • 平成22年決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

生活保護の実施における長期入院患者に係る医療扶助の支給について


(12) 生活保護の実施における長期入院患者に係る医療扶助の支給について

 (平成22年度決算検査報告参照

1 本院が要求した改善の処置

 生活保護における医療扶助の実施に当たって、都道府県、市町村又は特別区(以下、これらを合わせて「事業主体」という。)は、医療について専門的な判断を踏まえた助言指導を行う嘱託医を委嘱して、入院期間が180日を超えた被保護者(以下「長期入院患者」という。)については、入院継続の必要性がある者と、入院継続の必要性について主治医の意見を聞く必要がある者とに分類する嘱託医の書面検討を行い、入院を継続する必要性があると認められる者以外の者は、退院の可能性について主治医の意見を聴取することとなっている。しかし、事業主体において、嘱託医の書面検討を行っていなかったり、退院の可能性について主治医の意見を聴取していなかったりしていて、長期入院患者の実態把握が適切に行われておらず、入院の必要性がない長期入院患者に対して退院に向けた指導及び援助が行われないまま、医療扶助を継続している事態が見受けられた。
 したがって、厚生労働省において、事業主体に対して、現業員、嘱託医、主治医等の間で長期入院患者の実態把握等について組織的な連携を行うよう技術的助言等を行い、また、長期入院患者の実態把握の必要性等について周知徹底を図り、嘱託医の書面検討の結果等を記載する様式等を示したり、主治医から退院の可能性を確認するため聴取すべき事項を示したりなどして長期入院患者の実態把握等を確実に行うことができるようにするとともに、厚生労働省、都道府県等が事業主体に対して行う監査の際に、長期入院患者の実態把握等について確認し、改めて指導を徹底することとする処置を講ずるよう、厚生労働大臣に対して平成23年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。

2 当局が講じた処置

 本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
 検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、24年3月に都道府県等に通知を発するなどして、次のような処置を講じていた。

ア 事業主体に対して、長期入院患者の状況、検討経過等についての一連の状況を確認できる様式を示し、現業員、嘱託医、主治医等の間で長期入院患者の実態把握等について組織的な連携を行うよう技術的助言を行った。

イ 同月の全国厚生労働関係部局長会議等において、長期入院患者の実態把握の適正実施について徹底を図るとともに、実態把握対象者名簿の様式を改正して嘱託医の書面検討の結果等を記載することとしたり、調査票の様式を改正して主治医から退院の可能性を確認するために聴取すべき事項を記載することとするなどして、長期入院患者の実態把握等を確実に行うことができるようにした。

ウ 厚生労働省、都道府県等が事業主体に対して実施する監査の際に事前に提出する調書に長期入院患者の実態把握等に関する項目を追加するなどして、指導の徹底を図ることとした。