農林水産省は、都道府県に対して、青年農業者等育成センター等が新たに就農しようとする青年等に対して貸し付ける就農支援資金の貸付財源として必要な資金の一部を無利子で貸し付けている。しかし、34府県において、就農支援資金の貸付け見通しを適切に反映させて貸付事業計画を策定していないため、これらの府県の青年農業者等育成センターが多額の資金を活用することなく保有している事態が見受けられた。
したがって、農林水産省において、青年農業者等育成センターが保有する就農支援資金を貸し付けるための資金の適切な規模について都道府県に算定基準等を示して検討させるとともに、適切な規模を超えるものについて、そのうちの国の貸付金相当額を国に繰上償還するよう都道府県に対して求めるなどして、財政資金の有効活用を図るよう、農林水産大臣に対して平成23年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、農林水産本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、農林水産省は、本院指摘の趣旨に沿い、23年11月に地方農政局等に対して通知を発し、青年農業者等育成センターが保有する就農支援資金を貸し付けるための資金の適切な規模について、過去5年間の貸付実績が反映されるようにした算定基準等を都道府県に示して検討させるとともに、適切な規模を超える資金のうち国の貸付金相当額を国に繰上償還させることとするなどの処置を講じていた。