国土交通省は、道路整備事業に伴う移転補償費の算定に当たり、キュービクル式の受変電設備(以下「キュービクル」という。)について、建物と一体となって建物の効用を全うするために設けられている建築設備としていたり、機械設備としていたりしており、その取扱いが区々となっている事態が見受けられた。しかし、キュービクルは、建物と一体でなくても機能するもので、取り外して移設することが容易な特徴を有し、その更新期間は、一般に建物の標準耐用年数に比べて短いものとなっていることから、建築設備として移転補償費を算定するのではなく機械設備として算定するのが合理的であり、これによると、移転補償費も低減されることとなる。
したがって、国土交通省において、キュービクルの移転補償費を機械設備として算定することを仕様書等で明確にするとともに、地方整備局等に対して周知徹底を図り、また、都道府県等に対しても同様に助言することにより、移転補償費の算定を適切なものとする処置を講ずるよう、国土交通大臣に対して平成23年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、24年3月に地方整備局等に対して事務連絡を発して、キュービクルの移転補償費の算定に当たり、キュービクルを機械設備として取り扱うことを機械設備調査算定要領等において明確にして、同年4月の移転補償費の算定から適用することについて周知徹底を図るとともに、都道府県等に対しても同様の内容について助言するなどの処置を講じていた。