国土交通省は、自動車損害賠償責任保険及び自動車損害賠償責任共済(以下、これらを合わせて「責任保険」という。)への加入の徹底を図り、無保険車の運行を防止するための対策(以下「無保険車対策」という。)として、監視活動及び街頭取締りを行っており、小型バイクの責任保険への加入状況に係る管理業務については、業者に請け負わせて実施している。また、これらの無保険車対策とは別に、運輸支局等の整備担当部門において、警察当局等と協力して、車検証は有効期間内かの確認等を行う街頭検査を行っている。しかし、監視活動及び街頭取締りが通達等に沿って行われていない事態や、無保険車対策が効果的に行われていない事態が見受けられた。
したがって、国土交通省において、無保険車対策については監視活動及び街頭取締りを通達に沿って適切に実施するよう地方運輸局等に対して周知徹底するとともに、管理業務については小型バイクの責任保険への加入状況に係るデータ(以下「契約データ」という。)をより有効に活用できるような取組を行ったり、街頭取締りにおいて無保険車を発見した際には警察当局にその旨を伝達することや整備担当部門が街頭検査で車検切れ車を発見した際にはその情報を責任保険担当部門で活用することについて地方運輸局等に対して周知徹底したり、車検対象車も無保険車対策の対象として自動車登録検査業務電子情報処理システム(以下「MOTAS」という。)の情報を活用することなどについての検討を行ったりするよう、国土交通大臣に対して平成23年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求め、並びに同法第36条の規定により改善の処置を要求し及び意見を表示した。
本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 監視活動及び街頭取締りについては、23年11月に地方運輸局等に対して事務連絡を発して、通達に沿って、監視活動を同一箇所において重複して行わないように注意したり、街頭取締りを1か月に1回程度実施したりするなど適切に実施することについて周知徹底を図った。
イ 管理業務では、契約データにより責任保険への加入を促す警告ハガキを送付しているが、このことについて契約データをより有効に活用できるよう、同年12月に保険会社等に対して契約データの入力方法を統一するよう要請したことにより、保険会社等において入力方法の統一が図られた。
ウ 街頭取締りにおいて無保険車を発見した際には協力して取締りを実施している警察当局にその旨を伝達すること及び整備担当部門が街頭検査で発見した車検切れ車についての情報を責任保険担当部門で活用することについては、同年11月に地方運輸局等に対して事務連絡を発して、周知徹底を図った。
エ 無保険車対策として、車検対象車を対象としているMOTASの情報を活用するなどして車検切れ車に関するデータの収集及び分析を行い、無保険車対策の効果的な実施について検討した。