国土交通省及び港湾管理者は、港湾整備事業として岸壁等の係留施設等の整備を実施している。しかし、船舶の大型化傾向により大水深岸壁を整備したものの航路及び泊地の整備がこれに対応していなかったり、貨物需要が十分見込めるものの所要の静穏度が確保されていないため荷役障害が発生していたり、連続するバース(一隻の船舶が占める施設の単位)から成り供用までに長期間を要する岸壁の整備を一括して行っていたことから貨物需要の動向の変化に対応できていなかったりしていたため、岸壁の利用が低調となっている事態が見受けられた。
したがって、国土交通省において、今後整備される岸壁が十分に利用され、岸壁、航路及び泊地が一体として機能するよう、港湾整備に関する港湾管理者との間の調整が十分に図られる体制を整えたり、貨物需要の動向等を十分踏まえて防波堤等の整備を促進する体制を整えたり、貨物需要の動向に柔軟に対応できる整備方法を採ったりすることについて港湾管理者に助言等を行うとともに、既に整備された岸壁が有効活用されるように、これら岸壁に係る航路、泊地及び防波堤について投資の重点化を図るよう、国土交通大臣に対して平成23年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。