国は、独立行政法人住宅金融支援機構(以下「機構」という。)の証券化支援事業等を円滑に実施させるため、証券化支援勘定及び住宅融資保険勘定(以下「証券化支援勘定等」という。)へ出資を行っている。そして、これらの政府出資金には、運用益対応出資金とリスク対応出資金の2種類があり、勘定ごとにそれぞれの必要額を算定している。しかし、国土交通省において、それぞれの出資金が果たしている役割に重複があることを政府出資金の必要額の算定に反映しておらず、また、機構において、不要財産の国庫返納に係る見直しが十分でないまま、政府出資金について必要額を超えて保有している事態が見受けられた。
したがって、国土交通省及び機構において、それぞれの出資金が果たしている役割に重複している部分があることを考慮して真に必要となる政府出資金の額を検討し、必要額を超えて保有されていると認められる政府出資金については、機構において国庫に返納したり、国土交通省において追加出資の際にその分を控除したりするなど必要な処置を講ずることにより、証券化支援勘定等における政府出資金を適切な規模とするよう、国土交通大臣及び独立行政法人住宅金融支援機構理事長に対して平成23年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、国土交通本省及び機構本店において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、国土交通省及び機構は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
すなわち、国土交通省及び機構は、24年3月末の機構の事業の一部廃止に伴う減資を反映した政府出資金の額を基に必要となる政府出資金の額を算定して、運用益対応出資金のうち223億円について低減することとした。そして、このうち100億円については、国土交通省において同年4月に機構に追加出資を行う際にその額に相当する額を控除しており、残りの123億円については、機構において同年度中に国庫に返納して、政府出資金を減額することとした。