国土交通省は、阪神・淡路大震災により被災した住宅の再建を促進するため、兵庫県が行う被災住宅再建対策事業に対して国庫補助金を交付して、兵庫県は交付を受けたこの国庫補助金と同額の補助金を財団法人兵庫県住宅建築総合センターに交付している。そして、同センターは、これにより住宅復興助成基金を造成して、再建住宅の建設又は購入を行う者が独立行政法人住宅金融支援機構(平成19年3月31日以前は住宅金融公庫)等から貸付けを受ける場合に、貸付利率のうち2.5%を超える部分(最大で0.5%)の利息相当額について5年間利子補給を行う業務を行っている。しかし、9年9月以降は、貸付利率が2.5%を下回っていることなどから、17年度以降は、利子補給業務の実績がなく、今後における基金の需要額に対し過大となっている額が、基金規模の見直しを行わないまま利子補給業務の完了まで当該基金に滞留する見込みとなっている事態が見受けられた。
したがって、国土交通省において、早期に国庫に返納させる手続を進めるなどして、基金規模の見直しを図る処置を講ずるよう、国土交通大臣に対して23年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、国土交通本省及び兵庫県において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、利子補給業務に使用する見込みのない資金を早期に国庫に返納させる手続の詳細について兵庫県と調整を行い、24年3月に、使用する見込みのない資金のうち一部を国庫に返納させるとともに、残額についても26年3月までに返納することとした報告書の提出を受けるなどして、基金規模の見直しを図る処置を講じていた。