国土交通省は、「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」(平成12年法律第57号。以下「土砂災害防止法」という。)等に基づき都道府県が行う基礎調査に対して補助を行っている。そして、都道府県はこの基礎調査に基づき土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域(以下、これらを合わせて「警戒区域等」という。)を指定することができ、市町村は警戒区域等の指定があったときは、土砂災害防止法に定められた警戒避難体制の整備に関する所定の手続を行わなければならないこととされている。しかし、基礎調査の結果の受領後、長期間にわたり道府県が警戒区域等の指定を行っていなかったり、市町村が土砂災害警戒区域の指定後に所定の手続を行っていなかったりしている事態が見受けられた。
したがって、国土交通省において、基礎調査の結果をより早期に活用できるよう、都道府県に対して、今後の基礎調査の実施に当たっては、基礎調査を行う地区単位の適切な設定や、基礎調査終了後に行われる事務のうち、あらかじめ対応が可能なものについて実施するなどの検討を行うこと、地元市町村と十分な意見調整を行うこと、市町村が行う所定の手続の実施状況について情報共有・連携を図り適切な支援に努めることなどを助言するよう国土交通大臣に対して平成23年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、24年4月に、各都道府県に対して通知等を発して、基礎調査の結果をより早期に活用できるよう次のような処置を講じていた。