独立行政法人農畜産業振興機構(以下「機構」という。)は、農林水産省からの交付金を財源として地方畜産団体に対して補助金を交付しており、地方畜産団体が実施する事業の中には当該補助金を財源として基金を造成しているものがある。このうち運用型の基金である運営特別基金及び運営基盤強化基金については、近年の低金利状況下において、運用益が少額になっていることなどにより多額の資金を有して基金事業として実施する必然性が乏しい状況になっていて、運用益を事業の安定的な財源にするという基金の役割が著しく低くなっているのに、多額の資金が保有されていた。
したがって、農林水産省及び機構において、両基金に係る補助金相当額を国又は機構に返還させた上で、これまで両基金が充てられていた経費の性質に鑑み必要に応じて年度ごとに補助金等を交付することとするなどして、財政資金の有効活用を図るよう処置を講ずるよう、農林水産大臣及び独立行政法人農畜産業振興機構理事長に対して平成23年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、農林水産本省及び機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、農林水産省及び機構は、本院指摘の趣旨に沿い、運営基盤強化基金については、23年度末に同基金を廃止して、補助金相当額を24年9月までに地方畜産団体から機構に返還させており、また、運営特別基金については、24年度末に同基金を廃止して補助金相当額を機構に返還させることとし、24年4月に開催した肉用子牛生産者補給金制度等業務推進全国会議において、その旨を地方畜産団体に対して周知している。