国立大学法人北海道大学、国立大学法人埼玉大学、国立大学法人東京大学、国立大学法人東京医科歯科大学、国立大学法人東京外国語大学、国立大学法人東京芸術大学、国立大学法人一橋大学、国立大学法人福井大学、国立大学法人信州大学、国立大学法人静岡大学、国立大学法人名古屋大学、国立大学法人京都大学、国立大学法人大阪大学、国立大学法人高知大学、国立大学法人九州大学及び国立大学法人鹿児島大学(以下、これらを合わせて「16国立大学法人」という。)は、教育研究等の業務を確実に実施するために必要であるとして、国から土地や建物を承継している。しかし、具体的な処分計画又は利用計画等を策定しないまま、利用していない土地等や利用が低調である施設を保有していたり、施設の運営が規程の趣旨に沿っていない状況にあるのに、本来の施設の使用目的を見直していなかったりしている事態が見受けられた。
したがって、16国立大学法人において、利用していない土地等について、今後も引き続き保有することに合理的な理由が存在するか否かを検討して、保有することに合理的な理由が存在しない場合には、具体的な売却等の処分計画を策定し、合理的な理由が存在する場合には、具体的な利用計画等を策定したり、本来の施設の使用目的を見直したりして、当該資産の有効活用を図るよう、16国立大学法人のうち、国立大学法人東京芸術大学長に対しては平成22年10月に、残りの15国立大学法人の各学長に対しては23年10月に、それぞれ会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、16国立大学法人のうち、9国立大学法人(注1)
において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。そして、残りの7国立大学法人(注2)
に対しては、その後の処置状況の報告を求めて、その報告内容を確認するなどの方法により検査を行った。
検査の結果、国立大学法人北海道大学、国立大学法人埼玉大学、国立大学法人東京医科歯科大学、国立大学法人東京外国語大学、国立大学法人東京芸術大学、国立大学法人一橋大学、国立大学法人福井大学、国立大学法人信州大学、国立大学法人静岡大学、国立大学法人名古屋大学、国立大学法人京都大学、国立大学法人大阪大学、国立大学法人高知大学、国立大学法人九州大学及び国立大学法人鹿児島大学は、本院指摘の趣旨に沿い、役員会又はプロジェクト・チーム等において、利用していない土地等について、今後も引き続き保有する合理的な理由の有無や保有する場合の具体的な利用方法等の検討を行っていた。そして、22年12月から24年6月までの間に具体的な利用計画等を策定して、引き続き保有することに合理的な理由が存在しない土地等については、処分に向けた手続を進めるとともに、合理的な理由が存在する土地等については、土地の利用を開始したり、施設の用途を変更したり、利用の向上を図るための施策を実施したりなどして、有効活用を図る処置を講じていた。
また、国立大学法人東京大学は、利用していない土地及び運営が同法人の定めた規程の趣旨に沿っていない施設について、今後も引き続き保有する合理的な理由の有無や保有する場合の具体的な利用方法等の検討を行っていた。そして、24年4月に具体的な利用計画等を策定して一部の土地については利用を開始するなどしていたものの、豊島団地及び三鷹市新川団地の土地については、策定した利用計画に基づき、留学生のための国際学生宿舎等として24年度以降に具体的な整備を行って利用を開始する予定であるとしている。
(注1) | 9国立大学法人 北海道、東京、東京医科歯科、東京芸術、信州、名古屋、京都、大阪、九州の各国立大学法人
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(注2) | 7国立大学法人 埼玉、東京外国語、一橋、福井、静岡、高知、鹿児島の各国立大学法人
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