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  • 平成23年度|
  • 第4章 個別の検査結果|
  • 第2節 国会からの検査要請事項に関する報告

<参考:報告書はこちら>

公共土木施設等における地震・津波対策の実施状況等について


第5 公共土木施設等における地震・津波対策の実施状況等について

要請を受諾した年月日 平成23年12月8日
検査の対象 国土交通省、農林水産省
検査の内容 公共土木施設等における地震・津波対策の実施状況等についての検査要請事項
報告を行った年月日 平成24年10月17日

1 検査の背景及び実施状況

(1) 検査の要請の内容

 会計検査院は、平成23年12月7日、参議院から、国会法第105条の規定に基づき下記事項について会計検査を行いその結果を報告することを求める要請を受けた。これに対し同月8日検査官会議において、会計検査院法第30条の3の規定により検査を実施してその結果を報告することを決定した。

一、会計検査及びその結果の報告を求める事項
  (一)   検査の対象
        国土交通省、農林水産省
  (二)   検査の内容
        公共土木施設等における地震・津波対策の実施状況等に関する次の各事項
      〔1〕   地震・津波に対する耐震基準等の改定状況
      〔2〕   地震・津波対策に係る整備、補強等の進捗状況
      〔3〕   東日本大震災に伴う被災等の状況

(2) 公共土木施設等における地震・津波対策の概要

ア 災害対策基本法による地震・津波対策の枠組

 国の災害対策は、災害対策基本法(昭和36年法律第223号。以下「災対法」という。)に基づき内閣総理大臣を会長にして内閣府に設置された中央防災会議が作成する防災基本計画(昭和38年6月策定)を基礎として行われている。そして、同計画に基づき、国の指定行政機関及び指定公共機関は防災業務計画を作成し、都道府県は都道府県地域防災計画を作成し、市町村は市町村地域防災計画を作成している。
 災対法によれば、国の指定行政機関は、その責務として、都道府県及び市町村の地域防災計画の作成及び実施が円滑に行われるように、その所掌事務について、当該都道府県又は市町村に対して、勧告し、指導し、助言し、その他適切な措置をとらなければならないとされている。

イ 国土交通省防災業務計画

 国土交通省(13年1月5日以前は総理府北海道開発庁、運輸省及び建設省。以下同じ。)は、国土交通省防災業務計画において、堤防、道路施設等の地震・津波対策について、〔1〕 地方公共団体等と連携しつつ計画的かつ総合的に推進し、〔2〕 地震に対する安全性を確保するため、既存の施設を計画的に点検し、その結果に基づき、緊急性の高い箇所から計画的・重点的に耐震化を図るなどとしている。

ウ 農林水産省防災業務計画

 農林水産省は、農林水産省防災業務計画において、農林水産関係施設の地震・津波対策について、〔1〕 耐震性の強化、液状化の対策の充実等によりその安全性の確保に努め、〔2〕 ため池の決壊等による浸水想定区域、避難場所等を図示したハザードマップの作成及び一般住民等への配布等を推進し、〔3〕 山地災害の発生を防止するため、山地災害危険地区等における治山施設等の整備の促進を図るとともに、山地災害危険地区の住民への周知を図るなどとしている。

エ 地域防災計画

 地域防災計画は、当該地域に係る災害対策の基本となるものであり、災害の規模、緊急性等により国及び地方公共団体が緊密に連携して災害に対応できるように、都道府県地域防災計画においては防災業務計画に、市町村地域防災計画においては防災業務計画又は都道府県地域防災計画にいずれも抵触しないものとされており、防災基本計画と同様に、災害に対する予防、応急、復旧、復興対策のそれぞれの段階における体制整備の諸施策について記述されている。

オ 公共土木施設等の概要

 国は、公共土木施設について、災害の速やかな復旧を図ることを目的として、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和26年法律第97号)により、地方公共団体の財政力に適応するよう負担することとしており、その対象となる公共土木施設は、河川、海岸、砂防設備、地すべり防止施設、急傾斜地崩壊防止施設、道路、港湾、下水道、公園、林地荒廃防止施設(注1) 及び漁港としている。
 また、国は、特定の者に係る公共的施設ではあるが国土保全上必要なことから、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律(昭和25年法律第169号)等により、災害復旧事業に要する費用を補助し、災害の復旧を図ることとしており、その対象となる施設は、かんがい排水施設(注2) 、集落排水施設(注3) 等としている(以下、直轄事業又は補助事業(交付金事業を含む。)により整備されている上記の施設を合わせて「公共土木施設等」という。)。

(注1)
 林地荒廃防止施設  山林砂防施設(立木を除く。)又は海岸砂防施設(防潮堤を含み、立木を除く。)の治山施設をいう。
(注2)
 かんがい排水施設  ため池、ポンプ場、パイプライン、開水路等の農業用施設をいう。
(注3)
 集落排水施設  農村等の集落における生活雑排水等の汚水を処理するための管路、ポンプ、処理水槽、建屋等の施設をいう。

カ 東日本大震災の概要

 23年3月11日に発生した宮城県牡鹿半島の東南東沖130kmの海底を震源とする東北地方太平洋沖地震は、日本における観測史上最大の規模であるマグニチュード9.0を記録し、この地震により、場所によっては波高10m以上にも上る大津波が発生し、東北地方と関東地方の太平洋沿岸部に多大な被害がもたらされた。また、津波以外にも、地震の揺れや液状化、地盤沈下、ため池の決壊等によって、東北地方と関東地方の広大な範囲で被害が発生し、各種ライフラインも寸断された。

(3) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

ア 検査の観点及び着眼点

 本院は、国土交通省及び農林水産省が整備する公共土木施設等における地震・津波対策の実施状況等に関し、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、〔1〕 地震・津波に対する耐震基準等の改定状況、〔2〕 地震・津波対策に係る整備、補強等の進捗状況及び〔3〕 東日本大震災に伴う被災等の状況について、地震・津波対策に関する公共土木施設等の耐震基準等はどのように改定されてきたか、公共土木施設等は地震又は津波に対して有効に機能するよう整備されているか、公共土木施設等の耐震点検等は適切に実施され、その結果が反映されているか、公共土木施設等の被災内容等は適切に把握されているかなどの点に着眼して検査を実施した。

イ 検査の対象及び方法

 国土交通省及び農林水産省が直轄事業又は補助事業で整備した河川、海岸、砂防、道路、港湾、下水道、公園、治山、漁港、農業農村及び集落排水に係る公共土木施設等について、直轄事業は、5地方整備局等(注4) 、3農政局(注5) 及び3森林管理局(注6) において、補助事業は、近年、切迫性が指摘されている東海地震又は東南海・南海地震による被害が大きいと想定されている都府県を含む15都道府県(注7) においてそれぞれ検査を実施するとともに、国土交通本省、農林水産本省、林野庁、水産庁及び内閣府本府においても検査を実施した。
 検査は、公共土木施設等の整備事業の内容、地震・津波対策の実施状況、東日本大震災に伴う被災状況等について、資料を基に説明を受けたり、調書を徴したりなどするとともに、現地の状況等を確認するなどして会計実地検査を行った。
 なお、被災地域の実情を踏まえ、本年次は、東北地方整備局については、被災状況等について説明を受けるにとどめ、集計の対象から除外しており、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県等については、会計実地検査を行っていない。

(注4)
 5地方整備局等  東北、関東、近畿、四国各地方整備局、北海道開発局
(注5)
 3農政局  東北、東海、近畿各農政局
(注6)
 3森林管理局  北海道、東北、近畿中国各森林管理局
(注7)
 15都道府県  東京都、北海道(空知総合、石狩、胆振総合、日高、十勝総合、釧路総合各振興局管内)、大阪府、青森、神奈川、静岡、愛知、兵庫、岡山、広島、徳島、愛媛、高知、大分、宮崎各県

2 検査の結果

 検査の結果の概要は、次のとおりであり、主として災害予防対策に資するための施設に係る事業である河川、海岸、砂防、下水道、治山、農業農村整備、集落排水各事業において、ライフライン機能等の安全性を損なうような事態や、主として災害に対する応急復旧活動に資するための施設に係る事業である道路整備、港湾整備、公園、漁港整備各事業において、災害発生直後から必要な救助、救急活動等に支障が生ずるおそれのある事態が見受けられた。

(1) 地震・津波対策に係る整備、補強等の進捗状況

ア 河川、海岸、道路整備、港湾整備、下水道、漁港整備、農業農村整備各事業においては、耐震点検等を実施するに当たり、耐震点検の要領等が整備され施設管理者に通知等が行われていた。

イ 河川、海岸、道路整備、港湾整備、下水道、公園、漁港整備、農業農村整備、集落排水各事業においては、東日本大震災を踏まえて、耐震基準等が見直され、設計に用いる地震動や耐震設計の対象の見直し、津波の影響に対する設計方法の導入等が行われていた。

(2) 地震・津波対策に係る整備、補強等の進捗状況

ア 社会資本整備総合交付金事業においては、必要に応じて実施することとなっている中間評価がほとんど実施されておらず、また、実施された中間評価の中には、事業の進捗状況等を明確に把握できないものがあることなどから、全国的な緊急防災事業(以下「全国防災事業」という。)のような重要施策を同交付金事業で実施する場合、国において、社会資本総合整備計画で行うこととされた事業の進捗状況等について的確に把握できず、全国的、緊急的な整備の計画的推進に支障が生ずるおそれがある状況となっていた。

イ 河川事業において、〔1〕 直轄事業においては、耐震性能照査等の優先実施箇所について、A、B及びCのランクを設定していたが、耐震対策工事が必要とされたランクAの河川堤防において、工事が完了している河川堤防はなかった。また、補助事業においては、河川堤防の照査等は、ほとんど実施されていなかった。〔2〕 河川への津波の遡上が予想される範囲(以下「河川津波遡上範囲」という。)に設置されている水門等の中に耐震性能照査等が実施されていない施設や、自動化等されていない施設があった。また、直轄事業におけるランクAの水門等において、耐震性能照査等が完了していない施設が見受けられた。

ウ 海岸事業において、〔1〕 海岸堤防の天端高等は東日本大震災以前の想定津波高と一概に比較できないが、想定津波高より低くなっている地区海岸が見受けられ、施設整備とソフト対策との連携による津波対策を推進する必要がある状況となっていた。〔2〕 耐震点検が実施されていない海岸堤防、必要な耐震対策工事が実施されていない海岸堤防が見受けられるなど、要求される耐震性能が確保されておらず想定する地震動に対して十分に機能しないおそれがある状況となっていた。〔3〕 所管部局ごとの海岸堤防について、耐震化に開差が生じていたり、港湾海岸とそれ以外の海岸の地震動の設定方法が区々となっていたりしていた。また、同一の背後地を持つ海岸保全施設と関連施設の耐震対策の取組が区々となっている地区海岸においては、地震・津波に対して、一体的な防護効果が発現しないおそれがある状況となっていた。〔4〕 開口部における閉鎖施設について、閉鎖施設が設置されていない開口部、耐震化が図られていない閉鎖施設、津波到達時間内に閉鎖作業が完了できない閉鎖施設が見受けられ、整備した海岸堤防の防護効果が津波に対して十分に発現しないおそれがある状況となっていた。また、津波到達時間内に、閉鎖作業は行えるものの、閉鎖操作者が閉鎖作業を完了してから避難できない閉鎖施設が見受けられ、閉鎖操作者の安全性が十分に確保されていない状況となっていた。〔5〕 海岸保全施設の廃止手続等の見直しを適切に行っていない地区海岸や、要指定延長として位置付けた箇所が把握できない地区海岸が見受けられた。〔6〕 津波浸水予測区域について、海岸堤防の施設整備の内容や閉鎖施設の実態に合っていない施設条件を用いて設定していて、適切でない津波浸水予測区域があった。また、津波ハザードマップについて、作成していなかったり、作成しているものの必要な情報を記載していなかったりしたものが見受けられた。

エ 砂防事業において、避難場所が所在する土砂災害危険箇所における土砂災害防止施設の整備率は、2割台となっていた。また、避難場所が所在する土砂災害危険箇所における基礎調査は完了していなかった。

オ 道路整備事業において、〔1〕 昭和55年の道路橋示方書より古い基準が適用されている橋りょうで耐震対策工事が実施されていない橋りょうのある緊急輸送道路の路線、地震発生時に被災のおそれのある、道路盛土並びに切土法面及び斜面のある緊急輸送道路の路線が見受けられ、地震発生時に緊急輸送が困難となり、指定拠点で行われる応急復旧活動に支障が生ずるおそれがある状況となっていた。〔2〕 公表している緊急輸送道路ネットワーク計画が、的確に見直しが行われておらず、高規格道路が反映されていないなど適切に改定されていない事態、緊急輸送道路ネットワーク計画のデータベースの保管場所等の耐震化が図られていないなど、緊急輸送道路の継続的、広域的な情報提供が確保されていない事態が見受けられ、広域的な応急復旧活動に必要な緊急輸送に支障が生ずるおそれがある状況となっていた。〔3〕 緊急輸送道路が隣接都府県と連続していない路線、緊急輸送道路の利用区分が都府県境で異なっている路線が見受けられ、緊急輸送道路の耐震性、道路啓開(注8) 等の連続性が確保されず、広域的な応急復旧活動に必要な緊急輸送に支障が生ずるおそれがある状況となっていた。〔4〕市町村が都道府県と十分に協議、調整等を行うことなく都道府県管理路線を緊急輸送道路に選定している路線、緊急輸送道路が隣接市町村と連続していない路線が見受けられ、広域的な応急復旧活動に必要な緊急輸送に支障が生ずるおそれがある状況となっていた。〔5〕 市町村が避難路に選定している都道府県管理路線について、整備方法及び道路啓開の協議、調整等を十分行っていない路線が見受けられ、避難路の計画的な耐震化及び市町村が想定している道路啓開が的確に行われず、住民の避難行動に支障が生ずるおそれがある状況となっていた。

 道路啓開  道路上の障害物を除去し、緊急車両等の走行に支障のない程度に道路陥没、亀裂等の舗装破損箇所の応急復旧を行うこと

カ 港湾整備事業において、〔1〕 防災拠点港湾として一体となって機能を発揮する耐震性を強化した係留施設(以下「耐震強化岸壁」という。)、広場及び臨港道路の各施設の所要の整備等が完了していないなどしていて、一部の港湾について、受け持つべき緊急物資量に対して取扱能力が不足している状況となっていた。また、想定される最大規模の地震直後から緊急物資輸送が可能な耐震強化岸壁(以下「特定耐震強化岸壁」という。)が整備されていないなどの港湾が見受けられた。〔2〕 耐震強化岸壁等が地域防災計画に位置付けられていなかったり、これらに接続する臨港道路が緊急輸送道路として選定されていなかったりなどしている港湾が見受けられた。〔3〕 津波による被害が想定される港湾について、港内の津波ハザードマップ等が作成されていない港湾が見受けられた。また、避難路となる臨港道路の橋りょうの耐震対策等が実施されていなかったり、それらの状況について港湾管理者から市町村へ情報提供していなかったりする事態が見受けられた。

キ 下水道事業において、〔1〕 下水道施設の耐震化について、重要な管路及び終末処理場の消毒施設等は、ともに耐震化が図られていない施設が多数見受けられ、耐震化が図られていない施設の中には、耐震点検が実施されておらず平成9年に大幅改定される前の下水道指針を適用して設計した管路及び施設が見受けられ、計画的かつ効率的な耐震化の進捗が図られないおそれがある状況となっていた。〔2〕 耐震点検を実施して、耐震対策工事が必要とされて長期間が経過している下水道施設が見受けられ、耐震点検を実施した効果が発現されないおそれがある状況となっていた。〔3〕 緊急輸送道路等に埋設された管路や終末処理場の消毒施設等について、耐震化が図られていない事態や避難場所に位置付けられている終末処理場の施設の耐震化の状況について、防災担当部局との情報共有が十分に行われていない事態が見受けられ、地震発生時の円滑な交通等に支障が生ずるおそれがある状況となっていた。〔4〕 管路工事の液状化対策について、密度試験や所要の強度試験を行っておらず、施工管理が十分でない工事が見受けられ、大規模地震発生時において、液状化対策の効果が十分に発現されないおそれがある状況となっていた。

ク 公園事業において、〔1〕 防災公園の避難スペースについて、池や人が立ち入ることのできない植栽地等避難者の収容に適さない部分を除いた避難が可能な面積(以下「有効避難面積」という。)を算定し公表していない公園事業主体、公表面積に有効避難面積に適さない面積を含めている公園事業主体、案内標示等の設置をしていない公園事業主体、1人当たりの面積が基準の2m2 を下回っている公園事業主体が見受けられ、避難者を確実に収容できないおそれがある状況となっていた。〔2〕 災害発生時における防災公園としての運営方法等を明確にしていない公園事業主体が見受けられ、救護活動等に支障が生ずるおそれがある状況となっていた。〔3〕 津波浸水予測区域内に立地しているが、公園内に津波から避難できる高台等が整備されておらず、また、防災公園の立地条件等の情報を住民等に十分周知していない公園事業主体が見受けられ、津波発生時の住民の避難行動に混乱が生ずるおそれがある状況となっていた。

ケ 治山事業において、〔1〕 山地災害危険地区における治山施設の整備は事業が進捗していない状況となっていた。また、山地災害危険地区の被害想定区域において、危険度の判定の際に重要となる避難場所及び災害弱者関連施設が一部の地区で保全対象施設として把握されていなかった。〔2〕 山地災害危険地区が所在する市町村における住民への周知状況をみると、地域防災計画における山地災害危険地区に関する情報の記載、ハザードマップの作成等を行っている市町村は全体の一部となっていた。

コ 漁港整備事業において、〔1〕 耐震強化岸壁の整備が未着手となっていたり、同岸壁の耐震点検が実施されていなかったり、岸壁背後にある漁港施設用地やアクセス道路の液状化対策の検討が実施されていなかったりする防災拠点漁港が見受けられた。〔2〕 防災拠点漁港における緊急物資の仕分及び一時保管場所として必要とされる面積が不足している漁港が見受けられた。〔3〕 厳しい地形条件に立地している漁港背後集落等の避難場所が津波等の浸水予測区域内に立地している集落が見受けられた。

サ 農業農村整備事業において、〔1〕 農業用施設の耐震点検は、施設の重要度に応じて検討されることになっているが、農業農村整備事業を実施するに当たり、土地改良法(昭和24年法律第195号)に基づく受益者の同意等の原則があることなどから、耐震点検が行われていないため池等の施設が多数見受けられた。〔2〕 ため池については、決壊による下流への影響度が大きいため池が多数あり、これらのため池の地震対策等が遅れている状況の中、地域に応じたソフト対策を推進するためにハザードマップの作成を推進しているが、ハザードマップの作成はため池全体の3.3%となっていた。

シ 集落排水事業において、〔1〕 汚水処理施設の耐震対策は、施設の重要度等に応じて実施するとされているが、ほとんどの既存の施設は、要求される耐震性能が確保されているのか把握されていない状況となっていた。〔2〕 管路施設において重要な管路には、土質状況等から液状化のおそれのある地盤等に敷設されている管路が見受けられた。また、液状化が生ずるおそれがあるとしていた管路工事において、液状化対策が十分に行われていない工事が見受けられた。

(3) 東日本大震災に伴う被災等の状況

 本年次に把握した被災事例の件数は限られているが、その中には、耐震点検の結果、耐震対策工事を実施した公共土木施設等については被害が軽減されていた事例や、耐震点検の結果、耐震対策工事が必要と診断されていたにもかかわらず、耐震対策工事を実施していなかった公共土木施設等については被災していた事例等が見受けられた。

3 検査の結果に対する所見

 国は、阪神・淡路大震災以降、公共土木施設等の地震・津波対策を耐震基準の見直しを行いつつ実施してきた。実施に当たっては、必要な箇所の公共土木施設等の整備のほか、最新の耐震基準に基づき、耐震対策工事を行うなど既設の公共土木施設等の耐震化を図ってきた。また、近年、大規模地震発生の切迫性が指摘されていることから、公共土木施設等の整備内容が地域の実情に応じた適切なレベルに達するよう、地震防災に関する特別の措置を定めた法令等を整備するなどして、地震・津波対策を推進している。
 公共土木施設等の地震・津波対策は、災対法の規定による防災基本計画に基づき、国土交通省及び農林水産省が作成した防災業務計画と地方公共団体が作成した地域防災計画に基づいて実施されることになっており、両省は、地方公共団体の地域防災計画に基づく地震・津波対策が円滑に実施されるよう、地方公共団体に対して、適切な指導、助言等を行うこととされている。
 しかし、公共土木施設等の地震・津波対策の実施状況等について検査した結果、今後、地震・津波対策を推進していくに当たり、留意しなければならない状況が見受けられた。
 一方、我が国の財政は引き続き厳しい状況にあることから、財政の健全化が重要な課題となっている。このような状況の下、公共土木施設等の地震・津波対策は、今後も推進していかなければならず、施設の緊急度及び重要度を考慮した上で地震・津波対策を実施することが重要である。
 したがって、主として、災害予防対策に資する施設については国民の生命や財産を守るために、災害に対する応急復旧活動に資する施設については災害発生直後からの救助、救急活動等が円滑に行えるようにするために、施設の耐震化を推進することなどが引き続き重要であることから、東日本大震災を踏まえて既に講じた事項に加えて、国土交通省は次の(1)、(2)のアからクまで及び(3)の点に留意して、また、農林水産省は次の(1)、(2)のウ及びケからシまで並びに(3)の点に留意して、地震・津波対策を適切かつ計画的、効率的に実施するよう努める必要がある。

(1) 地震・津波に対する耐震基準等の改定状況

 国土交通省及び農林水産省において、東日本大震災を踏まえて、必要に応じて施設における耐震基準等の見直しなどを着実に実施するとともに、施設管理者に適切に情報を提供する。

(2) 地震・津波対策に係る整備、補強等の進捗状況

ア 全国的に緊急に実施する全国防災事業のような重要施策については、国と地方との間で施設に係る情報を的確に共有することが重要であり、社会資本整備総合交付金事業で実施する場合は、国において、事業の進捗状況等を効率的に把握する方法を検討するなどして、全国的、緊急的な整備を計画的に推進する。

イ 河川事業については、国土交通省において、自ら又は都道府県及び政令指定都市(以下「政令市」という。)に助言するなどして次の事項を実施することにより、河川管理施設の耐震化等を効率的に推進し、河川管理施設が災害予防対策に資する施設として有効に機能するようにする必要がある。

(ア) 国土交通省において、〔1〕 耐震対策工事が必要と診断されたランクAの河川堤防について、優先的に工事を進める。〔2〕 河川津波遡上範囲に設置されている水門等やランクAの水門等について、優先的に耐震性能照査等を実施する取組を進めるとともに、河川津波遡上範囲に設置されている水門等のうち、津波到達時までに手動閉鎖ができないおそれがある水門等については閉鎖作業の自動化等を進める。〔3〕 河川堤防、水門等について、耐震性能照査等における優先度の考え方を都道府県及び政令市に対して通知することなどにより、都道府県及び政令市における地震・津波対策の計画的かつ着実な実施に資する。

(イ) 都道府県及び政令市において、〔1〕 河川堤防について、H7河川耐震点検マニュアルによる耐震点検結果等を活用して堤内地側に浸水被害が生ずる危険性が高いと想定される河川を把握したり、国土交通省の優先度の考え方を参考にしたりすることなどにより、耐震性能照査等を計画的かつ着実に実施する。〔2〕 河川津波遡上範囲に設置されている水門等について、耐震性能照査等を優先的に実施し、このうち、津波到達時までに手動閉鎖ができないおそれがある水門等については閉鎖作業の自動化等を進める。

ウ 海岸事業については、海岸関係省庁において、自ら又は地方公共団体等の海岸管理者に助言するなどして次の事項を実施することにより、海岸保全施設の耐震化等を効率的に推進するとともに、ソフト対策の充実を図るなどして、海岸保全施設が災害予防対策に資する施設として有効に機能するようにする必要がある。

(ア) 海岸関係省庁において、海岸保全施設の整備、耐震化等について、進捗状況の把握に努めるなどして地震・津波対策の計画的な推進を図るとともに、津波防災地域づくりに関する法律(平成23年法律第123号)に基づく津波浸水想定等を踏まえた実効性のあるハザードマップの作成及び見直しが進捗するよう、地方公共団体を積極的に支援する。

(イ) 海岸管理者等において、〔1〕 海岸堤防の天端高等の設計に当たり、東日本大震災における各種検討会の報告を踏まえるなどして、具体的な検討を行う。〔2〕 海岸保全施設の耐震対策に当たっては、東日本大震災における各種検討会の報告を踏まえるなどして、背後地の状況等から緊急度及び重要度を考慮した上で、可能な限り早急に耐震点検を実施して、耐震性能を把握するとともに、耐震対策が必要とされた場合は適切に対策を実施する。〔3〕 管理者が異なる海岸堤防及び関連施設について、施設管理者との連携を十分に図るなどして、施設の機能及び目的、海岸の背後地の状況等を考慮した上で、可能な限り、耐震性能、耐震設計時に用いる地震動の設定方法等の防護水準の整合を計画的に確保する。〔4〕 東日本大震災を踏まえ、閉鎖施設の操作者の安全を最優先とした上で、津波発生時に閉鎖施設を確実に閉鎖できる体制を整備する。〔5〕 海岸保全施設の廃止手続や海岸保全区域の見直しが必要な地区海岸については、適切に海岸法(昭和31年法律第101号)等に基づく所要の手続又は見直しを行うとともに、要指定延長として位置付ける地区海岸については、その箇所を適切に把握する。〔6〕 海岸堤防の整備に当たって、海岸堤防の背後地の利用状況を適切に把握する。また、津波防災地域づくりに関する法律に基づき津波浸水想定を設定する都道府県に対して必要な情報を提供するとともに、津波浸水想定等を踏まえた実効性のあるハザードマップの作成及び見直しが進捗するよう、市町村を積極的に支援する。

エ 砂防事業については、国土交通省において、都道府県に対して、避難場所が所在する土砂災害危険箇所について、土砂災害防止施設をより優先的に整備することはもとより、優先的に基礎調査を実施するよう助言するなどして、避難場所の安全性の確保を図る必要がある。

オ 道路整備事業については、国土交通省において、自ら又は都道府県等に助言するなどして次の事項を実施することにより、緊急輸送道路等の耐震化等を効率的に推進し、緊急輸送道路等が災害に対する応急復旧活動に資する施設として有効に機能するようにする必要がある。また、国土交通省は、地域の緊急輸送道路の耐震化対策等が円滑かつ適切に推進されるよう、地域防災の一次的災害対策実施主体である市町村に都道府県ネットワーク協議会への参加を求めるなど、都道府県と市町村との間での情報共有を図る場を提供するなどの必要がある。

(ア) 国土交通省、都道府県及び市町村において、緊急輸送道路の橋りょう等について、地域防災計画等の緊急度及び重要度を勘案するなどした上で、耐震化を計画的により一層推進し、当面耐震化が困難と思われる路線については、地震発生時の具体的な対応方法等の検討を行う。

(イ) 都道府県において、〔1〕 緊急輸送道路ネットワーク計画が適切に改定されるよう、策定された緊急輸送道路ネットワーク計画の適時適切な見直しを図る。〔2〕 緊急輸送道路の継続的かつ広域的な情報提供が確保されるよう、データベースの保管場所等の耐震化を図り、事前に管内以外の行政機関も含めて広域的に緊急輸送道路を公表する。〔3〕 緊急輸送道路の耐震性、道路啓開等の連続性が確保されるよう、隣接都道府県と十分に協議、調整等を行う。

(ウ) 市町村において、〔1〕 緊急輸送道路の計画的な耐震化が確保されるよう、都道府県管理路線を緊急輸送道路に選定する場合は、路線の計画的な耐震化について、都道府県と十分に協議、調整等を行う。〔2〕 緊急輸送道路の連続性が確保されるよう、隣接市町村と十分に協議、調整等を行う。〔3〕 避難路の計画的な耐震化及び避難路の地震発生時に想定している道路啓開が的確に行われるよう、避難路に選定している都道府県管理路線について、都道府県と十分に協議、調整等を行う。

カ 港湾整備事業については、国土交通省において、地方公共団体等の港湾管理者に助言するなどして次の事項を実施することにより、震災時に防災拠点港湾が災害に対する応急復旧活動に資する施設として有効に機能するようにする必要がある。

(ア) 港湾管理者において、防災拠点港湾で受け持つべき緊急物資の取扱能力が確保できるよう、他事業との優先順位等を十分に検討した上で、耐震強化岸壁等の防災拠点港湾の施設の整備等の促進に努めるとともに、他の防災拠点との連携等及び緊急物資の取扱能力の確保のための各種方策についても検討する。また、想定される最大規模の地震直後からの緊急物資の輸送等に対応できるよう、特定耐震強化岸壁については、他事業との優先順位等を十分に検討した上で、その整備を促進し、既設の耐震強化岸壁については、想定される最大規模の地震直後も利用できるのかを確認して、必要に応じて耐震対策の実施に努める。

(イ) 港湾管理者において、震災時に緊急物資等の輸送や救援活動等に有効に活用できるよう、〔1〕 港湾管理者である地方公共団体の地域防災計画に、耐震強化岸壁等の施設が位置付けられ、防災拠点港湾が所在する市町村の地域防災計画にも同様に位置付けられるよう、地方公共団体の防災担当部局と調整を行う。〔2〕 耐震強化岸壁が、これと分かるように標識等による表示を行う。〔3〕 耐震強化岸壁等に接続する臨港道路が緊急輸送道路に選定されて連続性が確保されるよう、地方公共団体の防災担当部局と十分な連携を図る。〔4〕 港湾管理者自らが整備し管理している港湾施設について、港湾関係の建設団体等と協定を締結するなどして応急復旧の体制を整える。

(ウ) 港湾管理者において、津波による被害が想定される港湾での津波発生時に、港湾施設利用者が安全かつ円滑に避難できるよう、避難時に有用な港湾施設の耐震対策の情報を市町村へ提供するなどして、市町村による津波ハザードマップ等の作成を支援する。また、避難路となる臨港道路における橋りょうの耐震点検を実施し、必要に応じて耐震対策の実施に努める。

キ 下水道事業については、国土交通省において、地方公共団体等の下水道事業主体に助言するなどして次の事項を実施することにより、下水道施設の耐震化を効率的に推進するとともに、管路工事で適切な液状化対策を推進するなどして、下水道施設が災害予防対策に資する施設として有効に機能するようにする必要がある。

(ア) 国土交通省において、下水道施設の耐震化について、調査等により進捗状況の把握に努めるなどして耐震化の計画的な推進を図るとともに、管路工事の液状化対策に関して埋戻し土の締固め及び固化に係る施工方法等の留意事項等をより具体的に下水道事業主体に示すなどして適切な推進を図る。

(イ) 下水道事業主体において、〔1〕 耐震化が図られていない重要な管路及び終末処理場の消毒施設等については、早期に又は機械設備の改築更新時に、耐震点検を実施し、耐震対策工事の必要性の有無を把握して計画的かつ効率的に耐震化を図る。〔2〕 耐震点検を実施して長期間経過している下水道施設について、可能な限り、耐震点検を実施した効果の早期発現を図る。〔3〕 下水道施設の耐震化に当たっては、下水道の機能や地域防災計画上の重要度、緊急度等を考慮するなどして計画的に耐震対策工事を行う。また、地域防災計画の重要度を考慮する場合には、防災担当部局等関係部局との情報の共有を図る。〔4〕 管路工事の液状化対策について、締固め度等の具体数値や現場測定試験の位置、頻度等を仕様書等に明示するなどして適切な液状化対策を実施する。

ク 公園事業については、国土交通省において、自ら又は地方公共団体の公園事業主体に助言するなどして次の事項を実施することにより、防災公園が災害発生時に避難地等の応急復旧活動に資する施設として有効に機能するようにする必要がある。

(ア) 国又は地方公共団体において、〔1〕 防災公園の有効避難面積等を正確に把握するとともに、防災公園として十分な1人当たり必要面積の確保に向けて、地方公共団体の防災担当部局と必要な情報を共有するなど十分な連携を図る。また、案内標示等を設置するなどして、住民等が避難地を適切に把握できる措置を講ずる。〔2〕 立地条件等について、災害発生時の円滑な避難に資する情報を正確に住民等に周知するために、地方公共団体の防災担当部局と必要な情報を共有するなど十分な連携を図る。

(イ) 国又は都道府県において、市町村等と必要な情報を共有するなど十分な連携を図り、災害発生時の役割分担等、防災公園としての運営方法等について明確にしておく。

ケ 治山事業については、林野庁において、自ら又は地方公共団体に助言するなどして次の事項を実施することにより、山地災害危険地区における治山施設の整備を推進するとともに、避難場所等の安全を確保するなどソフト対策の充実等を図り、治山施設が災害予防対策に資する施設として有効に機能するようにする必要がある。

(ア) 林野庁及び都道府県において、〔1〕 近年の局地的な集中豪雨、地震等による土砂災害等の復旧治山対策を実施するとともに、山地災害危険地区内の保全対象施設への被害を未然に防止するため、予防治山対策の推進に努める。〔2〕 災害発生時に重要となる避難場所及び災害弱者関連施設について、山地災害危険地区の危険度の判定に反映できるよう、その施設の把握に努める。

(イ) 林野庁において、関係市町村が、地域防災計画への山地災害危険地区の情報掲載、ハザードマップの作成及び山地災害危険地区の情報を現地に表示する標識の設置を一層促進するよう、その方策を検討する。

コ 漁港整備事業については、水産庁において、自ら又は地方公共団体に助言するなどして次の事項を実施することにより、防災拠点漁港が緊急物資の輸送等、災害発生時に対する応急復旧活動に資する施設として有効に機能するようにする必要がある。

(ア) 水産庁又は地方公共団体等において、〔1〕 耐震強化岸壁の整備が未着手となっている防災拠点漁港については、事業着手に向けた方策を検討する。〔2〕 耐震強化岸壁の耐震点検や背後用地及びアクセス道路の液状化対策の検討が行われていない防災拠点漁港について、耐震対策の計画的な推進を図る。〔3〕 緊急物資の仕分及び一時保管場所として必要とされる面積が不足している防災拠点漁港について、漁業協同組合等の関係機関と連携を図るなどして可能な限り緊急物資の仕分及び一時保管場所の確保に努める。

(イ) 市町村において、厳しい地形条件に立地している漁港背後集落等の避難場所について津波等に対応できる場所に位置しているかを確認するとともに、必要に応じた高台等への避難場所等の整備等を計画的に推進する。

サ 農業農村整備事業については、農林水産省において、自ら又は地方公共団体等に助言するなどして次の事項を実施することにより、農業用施設の耐震化を効率的に推進するとともに、ため池のハザードマップの整備を推進するなどして、農業用施設が災害予防対策に資する施設として有効に機能するようにする必要がある。

(ア) 農林水産省において、〔1〕 農業用施設の耐震整備の実施によりその安全性の確保に努めるとともに、その重要性について、改めて地方公共団体等に周知する。〔2〕 ため池のハザードマップを作成していない市町村に対して、ため池のハザードマップの被害想定の手法等を具体的に示すとともに、ハザードマップの作成の重要性について、改めて地方公共団体等に周知する。

(イ) 地方公共団体等において、〔1〕 農業用施設の重要度等に応じた検討により耐震点検が必要とされた施設について、施設の耐震点検を実施し、その結果、耐震整備が必要とされた場合は、耐震補強の重要性を受益者に説明するなどして、耐震整備の実施に努める。〔2〕 ため池のハザードマップを整備して住民に提供するなど、地域に応じたソフト対策を推進する。

シ 集落排水事業については、農林水産省において、自ら又は地方公共団体等に助言するなどして次の事項を実施することにより、集落排水施設の耐震化を効率的に推進していくとともに、管路工事の液状化対策を推進するなどして、集落排水施設が災害予防対策に資する施設として有効に機能するようにする必要がある。

(ア) 農林水産省において、〔1〕 集落排水施設の重要度等に応じた検討により耐震点検が効率的かつ適切に行えるよう、改めて市町村等に周知するなどして耐震対策の推進を図る。〔2〕 管路工事の液状化対策の必要性、埋戻し土の締固め等による具体的な施工方法等について、改めて地方公共団体等に周知するとともに、その実効性の確保に努める。

(イ) 地方公共団体等において、〔1〕 集落排水施設の重要度等に応じた検討により耐震点検が必要とされた施設について、施設の耐震点検を実施し、耐震対策の必要性の有無を把握する。〔2〕 農業集落排水施設震災対策マニュアル等に留意して管路工事の液状化対策を適切に実施する。

(3) 東日本大震災に伴う被災等の状況

 国土交通省及び農林水産省において、東日本大震災に伴う被災状況について適切に把握することにより、引き続き耐震基準等を適時適切に見直したり、耐震点検や耐震対策工事の必要性について十分に検討したりなどして、各事業の地震・津波対策に反映させる。

 本院としては、今後、東日本大震災により甚大な被害を受けた東北地方整備局並びに岩手県、宮城県、福島県、茨城県及び千葉県を含む地方公共団体等において、地震・津波対策に係る公共土木施設等の整備、補強等の進捗状況、東日本大震災に伴う被災等の状況等について引き続き検査を実施して、検査の結果については、取りまとめが出来次第報告することとする。