人事院は人事・給与等業務・システム(以下「人給システム」という。)の企画、設計・開発等を行っており、内閣官房は最適化計画に沿ってシステムの設計・開発が進捗するよう、人事院に対する助言等を行っている。しかし、人給システムの移行作業の遅延に伴い多くの参加府省等の運用開始が遅延しているだけでなく、既に人給システムを運用している参加府省等においても安定的なシステム運用が実現できておらず、最適化効果の発現が大幅に遅延していたり、移行経費を最適化の実施に係る投資額として計上していなかったりする事態が見受けられた。
したがって、人事院において、参加府省等と人給システムの改修の優先順位等を調整した上で引き続き改修に努めて、改修業務についてテストの作業工程等を十分検討したり、プロジェクト管理支援業務について管理支援業者の技術的支援が十分受けられるよう契約期間等を検討したりするとともに、人給システムの移行作業について参加府省等と十分情報共有を図って移行支援を実施したり、ヘルプデスク業務について必要となる業務量等を検討したり、参加府省等の移行経費を最適化の実施に係る投資額として計上できるよう移行経費の合理的な算定方法について検討したりするよう、また、内閣官房において、人事院への助言を含む総合調整を行うよう、内閣総理大臣及び人事院総裁に対して平成24年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、内閣官房及び人事院において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、人事院は、本院指摘の趣旨に沿い、25年1月以降、人給システムの改修について参加府省等との会議等を通じて改修要望の優先順位を把握して調整した上で引き続き改修を実施し、改修したプログラムを導入する前にテストを行うよう工程を十分検討したり、プロジェクト管理支援業務について管理支援業者の技術的支援が十分受けられるように契約期間を検討したりする処置を講じていた。また、既に人給システムの運用を行っている府省等の実情等を把握して参加府省等と情報共有を図って移行支援を実施したり、ヘルプデスク業務について実際の業務の状況に合わせて同年4月に契約内容を変更したりするなどの処置を講じていた。
そして、移行経費の合理的な算定方法については、参加府省等の移行作業の業務内容を把握するための調査を実施した上で適切に検討することとしている。
また、内閣官房は、人事院がこれらの取組を実施するに当たり、人事院と参加府省等との間における正確な情報共有や適切な検討を行うことができるよう、参加府省等との会議等を通じて必要な助言を含む総合調整を行っている。