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  • 平成24年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第1節 省庁別の検査結果 |
  • 第8 財務省 |
  • 平成22年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

社会保険診療報酬の所得計算の特例に係る租税特別措置について


平成22年度決算検査報告参照
平成23年度決算検査報告参照

1 本院が表示した意見

医業又は歯科医業を営む医師又は歯科医師(以下「医業事業者」という。)に対する社会保険診療報酬の所得計算の特例(以下「特例」という。)は、小規模医療機関の事務処理の負担を軽減することにより、その経営の安定化を図り、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図ることを目的として、各年における社会保険診療報酬の金額が5000万円以下である医業事業者が、社会保険診療報酬に係る売上原価、経費等の合計額(以下「実際経費」という。)により収支計算することに代えて、社会保険診療報酬の金額を4段階の階層に区分して、各階層の金額に所定の経費率を乗じて計算した金額の合計額(以下「概算経費」という。)を必要経費とすることができるとするものである。しかし、多額の自由診療収入があっても社会保険診療報酬の金額が5000万円以下であることにより特例を適用していたり、社会保険診療報酬の金額に対する概算経費の割合と実際経費の割合とに開差があることにより概算経費と実際経費との差が多額となっていたり、特例を適用していた者のほとんどが実際経費を計算した上で概算経費と比較して有利な方を選択していたりしている事態が見受けられた。

したがって、財務省及び厚生労働省において、特例が有効かつ公平に機能しているかの検証を行い、その目的に沿ったより適切なものとするための検討を行うなどするよう、財務大臣及び厚生労働大臣に対して平成23年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

本院は、財務本省及び厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、財務省及び厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

  • ア 財務省は本院が表示した意見を23年11月に税制調査会に示して、税制調査会はこれを検討事項としていた。そして、税制調査会で検討が行われた結果、平成24年度税制改正大綱(平成23年12月10日閣議決定)で、厚生労働省において特例の適用実態を精査した上で、25年度税制改正において更に検討することとされた。
  • イ 厚生労働省は、24年6月から同年8月にかけて特例の適用実態の調査を行い、この調査結果を精査するとともに、特例の制度の在り方について検討を行い、その結果を同年11月に税制調査会に報告した。また、財務省は、その検討結果について確認等を行った。

そして、この検討結果に基づき、25年度税制改正において議論が行われ、平成25年度税制改正の大綱(平成25年1月29日閣議決定)において、特例の適用対象者から医業及び歯科医業に係る収入金額が一定額を超える者を除外する措置を講ずることとされた。

なお、上記の改正内容を盛り込んだ租税特別措置法(昭和32年法律第26号)の一部改正を含む所得税法等の一部を改正する法律(平成25年法律第5号)が、25年3月30日に公布され、医業事業者に係る当該改正部分は26年1月1日から施行することとされた。