国の会計制度においては、会計年度独立の原則の例外として歳出予算の経費の金額を翌年度に繰り越して使用することができる制度(以下「繰越制度」という。)が定められており、予算統制を図るためにも適切に繰越しを行い、かつ繰り越した翌年度において適切に執行することが重要である。しかし、明許繰越しにおいて、繰越しの承認を受けた事項の内容と繰越予算の執行がかい離するなどしている事態が見受けられた。
したがって、財務省において、明許繰越しにおける事務簡素化の流れを踏まえつつ、繰越事務に携わる関係者に対する説明会を行うなどして繰越制度の趣旨を周知徹底するとともに、繰越予算の執行は適切に行われているかなどについて事後的に検証を行うことが可能となる仕組みを検討するよう、財務大臣に対して平成24年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、財務本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、財務省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。