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  • 平成24年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第1節 省庁別の検査結果 |
  • 第9 文部科学省 |
  • 平成23年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(3) 公的研究費の不正使用等の防止に関する取組について


平成23年度決算検査報告参照

1 本院が要求した改善の処置及び表示した意見

文部科学省並びに同省が所管する独立行政法人日本学術振興会及び独立行政法人科学技術振興機構は、大学等の研究機関に所属する研究者等に公募型の研究資金を配分している。また、文部科学省は各国立大学法人に運営費交付金を交付しており、各国立大学法人は同交付金の一部等及び上記の研究資金を財源として研究活動を実施している。しかし、研究機関において研究者が取引業者に直接研究用物品を発注する場合等における業者選定に事務部門による牽制が機能する仕組みを導入していなかったり、補完的な措置を十分に講じないまま検収業務を省略していたり、実効性のある内部監査が十分に実施されていなかったりしていた事態や、文部科学省において研究機関から提出される実施状況報告書の内容が研究機関における体制整備等の状況を的確に把握できるものとはなっていないなどの事態が見受けられた。

したがって、文部科学省において、研究機関に対して、業者選定に事務部門による牽制が機能する仕組みの導入を促したり、検収業務を確実に実施するよう指導して検収業務を省略する場合には補完的な措置を十分に講じさせたり、効果的な監査手法の導入など実効性のある内部監査の実施を促したりするとともに、実施状況報告書の内容を見直して、現地調査における指導及び助言に対する各研究機関の対応について、適時適切に検証するよう、文部科学大臣に対して平成24年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求し及び意見を表示した。

2 当局が講じた処置

本院は、文部科学本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、文部科学省は、本院指摘の趣旨に沿い、研究機関における公的研究費の不正使用等の防止に関する体制が整備され、その適切な運用が図られるよう、次のような処置を講じていた。

  • ア 24年11月及び12月に公的研究費の管理及び監査に関する研修会を全国で開催して、取引業者に取引帳簿の開示や監査及び調査に協力することなどを盛り込んだ誓約書の提出を義務付けるなど業者選定に事務部門による牽制が機能するようにする取組や取引帳簿の開示を求めるなど実効性のある監査手法を取り入れた内部監査を実施するよう指導した。
  • イ 24年12月に全ての研究機関に対して通知を発して、研究用物品の検収業務を確実に実施するよう指導するとともに、検収業務の体制整備の状況及びその運用実態を調査して、補完的な措置を十分に講じないまま検収業務を省略しているなど検収業務が確実に実施されていなかった研究機関に対しては改善報告を求めるなどした。
  • ウ 24年11月から公的研究費の不適切な経理があった研究機関を対象に「ガイドラインの実施等に関する履行状況調査」を順次実施して、同調査により確認された留意事項等について公表するとともに、その後の改善状況を適時適切に検証する態勢を整えた。また、25年度から実施状況報告書の様式に研究機関における体制整備等の状況を的確に把握するための「補足調査票」を追加して、全ての研究機関から提出させることとした。