文部科学省並びに同省が所管する独立行政法人日本学術振興会及び独立行政法人科学技術振興機構は、大学等の研究機関に所属する研究者等に公募型の研究資金を配分している。また、文部科学省は各国立大学法人に運営費交付金を交付しており、各国立大学法人は同交付金の一部等及び上記の研究資金を財源として研究活動を実施している。しかし、研究機関において研究者が取引業者に直接研究用物品を発注する場合等における業者選定に事務部門による牽制が機能する仕組みを導入していなかったり、補完的な措置を十分に講じないまま検収業務を省略していたり、実効性のある内部監査が十分に実施されていなかったりしていた事態や、文部科学省において研究機関から提出される実施状況報告書の内容が研究機関における体制整備等の状況を的確に把握できるものとはなっていないなどの事態が見受けられた。
したがって、文部科学省において、研究機関に対して、業者選定に事務部門による牽制が機能する仕組みの導入を促したり、検収業務を確実に実施するよう指導して検収業務を省略する場合には補完的な措置を十分に講じさせたり、効果的な監査手法の導入など実効性のある内部監査の実施を促したりするとともに、実施状況報告書の内容を見直して、現地調査における指導及び助言に対する各研究機関の対応について、適時適切に検証するよう、文部科学大臣に対して平成24年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求し及び意見を表示した。
本院は、文部科学本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、文部科学省は、本院指摘の趣旨に沿い、研究機関における公的研究費の不正使用等の防止に関する体制が整備され、その適切な運用が図られるよう、次のような処置を講じていた。