農林水産省は、肉用子牛生産者補給金制度において、制度発足時に定めた省令規格における肉用子牛の平均的な体重の範囲を20年以上の間一度も改正していなかった。このため、家畜市場で取引されている肉用子牛の体重の実態を反映していない省令規格に基づいて算定された単価により肉用子牛生産者補給金及び肉用牛繁殖経営支援交付金が交付されている事態が見受けられた。
したがって、農林水産省において、肉用子牛生産者補給金制度及びこれを補完する肉用牛繁殖経営支援事業が適切に実施されるよう、既存の家畜市場取引データを活用することなどによる省令規格の見直しの方法を直ちに検討して、省令規格の改正を速やかに実施するとともに、今後の省令規格の見直しに当たっての条件や見直しの方法及び必要な家畜市場取引の売買データの収集、蓄積等を実施する体制を確立するよう、農林水産大臣に対して平成24年4月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、農林水産本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、農林水産省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。