国土交通省は、浚渫工事費の積算に当たり、積算基準に基づき浚渫船の付属作業船の運転経費として、浚渫作業の際に浚渫船のアンカーの設置、回収等を行う揚錨船の運転経費を計上している。しかし、スパッド式グラブ浚渫船の使用を指定した浚渫工事の付属作業船については、引船等を使用していたり、揚錨船を使用していても揚錨作業を行わずスパッド式グラブ浚渫船の移動補助等に使用していたりしているにもかかわらず、付属作業船の運転経費に引船より高価な揚錨船の運転経費を計上することを標準としていて、施工の実態を積算基準に反映させていない事態が見受けられた。
したがって、国土交通省において、スパッド式グラブ浚渫船の使用を指定した浚渫工事については、付属作業船の実態調査を行い、その結果を積算基準に反映して経済的な積算を行うよう、国土交通大臣に対して平成24年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、24年度中に実施したスパッド式グラブ浚渫船の使用を指定した浚渫工事を対象に付属作業船の実態調査を行い、この結果を踏まえて、25年7月に付属作業船の運転経費に引船の運転経費を計上することとして経済的な積算を行うよう積算基準を改訂して、同年9月から適用することとする処置を講じていた。