防衛省は、平成12年の総合評価落札方式による一般競争入札により、富士重工業株式会社(以下「富士重工」という。)が提案したT—7初等練習機(以下「T—7」という。)を調達することを決定し、その後、富士重工の子会社である富士航空整備株式会社に基地内におけるT—7の整備を委託(以下「委託整備」といい、これに係る費用を「委託整備費用」という。)している。しかし、委託整備費用の実績額が富士重工の提案経費に比べて多額に上っているのに、防衛省において、委託整備費用の執行状況を適切に把握しておらず、富士重工の提案内容と整備作業の実態を的確に把握し分析するなどしてその結果を委託整備に係る契約に適切に反映させるための取組を十分に行っていない事態が見受けられた。
したがって、防衛省において、委託整備に係る全体の経費の執行について適切に把握するとともに、委託整備に係る富士重工の提案経費に比べて実績額が多額に上っている要因について詳細に分析するなどして、その結果を今後の委託整備に係る契約に適切に反映させるための取組を行うよう、防衛大臣に対して24年9月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、防衛省内部部局、航空幕僚監部等において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、防衛省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。