独立行政法人都市再生機構(以下「機構」という。)は、ニュータウン整備事業を実施しており、平成25年度までに工事を完了し、30年度までに土地の供給・処分完了に向けた取組を推進することとされている。しかし、造成工事に着手できない地区があり25年度までに工事を完了できないおそれがあったり、長期未処分地があり事業効果が発現していなかったり、仕掛不動産勘定等に係る土地の時価が地区によっては簿価を下回っている可能性があったり、宅地造成等経過勘定の繰越欠損金の解消方策を明確にしていなかったりする事態が見受けられた。
したがって、機構において、工事完了までの工程を明確に定めて区域の縮小等について関係機関等との協議等を十分に行ったり、長期未処分地の需要を喚起するための方策等を検討した上でこれまで以上に地方公共団体等の協力を得るよう努めたり、土地の時価を算定する際の精度の向上に向けた取組を行ったり、宅地造成等経過勘定の繰越欠損金の解消方策を検討したりするよう、独立行政法人都市再生機構理事長に対して24年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、機構本社において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、機構は、本院指摘の趣旨に沿い、25年度までに工事を完了できないおそれのある地区について、工事完了までに必要となる作業の工程を明確に定めるとともに、工事の早期完了に向けた方策を執るに当たって、財務状況に与える影響等に留意しながら、区域の縮小等について関係機関等との協議等を行う処置を講じていた。また、長期未処分地について、24年11月に通知を発し、需要を喚起するための各種方策を実施したり、より需要が見込まれる土地利用種別への変更等を検討した上でこれまで以上に地方公共団体等の協力を得られるよう当該地方公共団体等と協議したりする処置を講じていた。
そして、機構は、財務諸表作成時の土地の時価の算定については、25年度以降の決算において、時価の把握に要する費用に留意しつつ、算定の精度向上に向けた取組を行うこととしている。また、宅地造成等経過勘定の繰越欠損金については、ニュータウン整備事業の実施において将来発生するおそれのあるリスクについて検証中であり、25年度末を目途に公表を予定している第3期中期計画の策定と併せて検討することとしている。