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  • 平成24年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
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  • 第54 独立行政法人国立がん研究センター |
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  • 予算経理・補助金

研究用物品の購入に当たり、研究者が業者に虚偽の関係書類を作成させ、所属する研究機関に架空の取引に係る購入代金を支払わせる不適正な会計経理を行っていたもの[独立行政法人国立がん研究センター](438)-(454)


会計名及び科目
国立高度専門医療センター特別会計 (項)医療技術開発等研究費(項)政策医療推進費
部局等
独立行政法人国立がん研究センター(平成22年3月31日以前は国立がんセンター)
<予算経理>
医療技術開発等の概要
民間等外部の機関からの委託を受けて治験等の受託研究を行うもの
不適正な会計経理により支払われた医療技術開発費の額(1)
7,401,941円(平成19年度〜21年度)
<補助金>
助成の根拠
予算補助
補助事業者(事業主体)
16研究者
補助事業
がん研究助成
がん研究助成事業の概要
がん対策に関する企画及び行政を推進し並びにがん医療の向上に資する研究事業を行うもの
不適正な会計経理により支払われた助成対象経費
11,745,344円(平成19年度〜21年度)
不当と認める助成金交付額(2)
11,345,600円(平成19年度〜21年度)
(1)及び(2)の計
18,747,541円(平成19年度〜21年度)

1 研究用物品の購入等に係る会計経理の概要

(1) 独立行政法人国立がん研究センターの概要

独立行政法人国立がん研究センター(以下「センター」という。)は、平成22年4月1日に、厚生労働省の施設等機関として設置されていた国立がんセンターに係る権利及び義務を継承して設立された。そして、がんその他の悪性新生物に係る医療に関し、調査、研究及び技術の開発等の業務を行っている。

センターは、上記の業務の実施に当たり、独立行政法人化前は、研究で使用する設備備品及び消耗品(以下「研究用物品」という。)の購入に必要な経費を、厚生労働省所管国立高度専門医療センター特別会計(以下「特別会計」という。)の(項)医療技術開発等研究費の(目)医療技術開発等研究費及び(項)政策医療推進費の(目)がん研究助成金から支出しており、研究用物品の購入等の契約については、会計法(昭和22年法律第35号)等の会計法令に従い、給付の完了の確認をするために必要な検査をしなければならないなどとされていた。

また、特別会計は、22年度に廃止されたが、21年度以前の年度の決算に関する事務については、センターの事務として、従前の例によりセンターが行うこととされている。

(2) 医療技術開発費及びがん研究助成金の概要

センターは、独立行政法人化前は、民間等外部の機関からの委託を受けて治験等の受託研究を実施しており、これに要する経費については、委託者が負担する受託研究費を特別会計に歳入として受け入れ、特別会計から、医療技術開発等研究費(以下「医療技術開発費」という。)として支出していた。

また、センターは、がん対策に関する企画及び行政を推進し並びにがん医療の向上に資する研究事業を行うことを目的として、特別会計から、がん研究助成金(以下「助成金」という。)を交付していた。そして、がん研究助成金取扱規程(昭和38年厚生省告示第422号。以下「取扱規程」という。)等によると、助成金の交付を受けた研究者は、助成金の管理及び経理の事務を所属機関の長に委任することとされていた。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

センターは、厚生労働科学研究費補助金等について、交付を受けたセンターの職員であった研究者1名が取引先の業者に架空の取引を指示して虚偽の納品書、請求書等を作成させ、これによりセンターに購入代金を支払わせて、その代金を業者に預けて別途に経理していたことなどを25年2月に公表した。

そこで、本院は、合規性等の観点から、医療技術開発費及び助成金が会計法令、取扱規程等に従って適正に執行されているかなどに着眼して、医療技術開発費及び助成金について、センターにおいて納品書、請求書等により会計実地検査を行った。そして、助成金等の管理が適切でないと思われる事態があった場合には、センターに報告を求めて、その報告内容を確認するなどの方法により検査した。

(2) 検査の結果

検査したところ、次のとおり適正とは認められない事態が見受けられた。

センターは、治験等の受託研究を実施するために、医療技術開発費により多数の研究用物品の購入を行っており、19年度から21年度までの間に、9名の研究者から納品書、請求書等の提出を受けて、その購入代金を業者に支払っていた。また、センターは、助成金を交付した研究者から委任を受けて、助成金の経理事務を行っており、同期間に、16名の研究者から研究用物品を購入したとする納品書、請求書等の提出を受け、その購入代金を業者に支払っていた。

しかし、このうち、医療技術開発費7,401,941円については、下表のとおり、上記9名の研究者が業者に架空の取引を指示するなどして研究用物品を購入したとする虚偽の納品書、請求書等を作成させて、これによりセンターに架空の取引に係る購入代金を支払わせていたものであり、その全額を業者に預けて別途に経理していた。また、助成金についても、上記16名の研究者が同様の方法によりセンターに支払わせた11,745,344円(これに係る助成金交付額11,345,600円)を業者に預けて別途に経理していた。

したがって、センターにおいて、不適正な会計経理により、医療技術開発費7,401,941円が支払われていたり、助成金11,345,600円が過大に交付されていたりして、計18,747,541円が不当と認められる。

このような事態が生じているのは、研究者において、助成金等の原資が税金等であるにもかかわらず事実に基づく適正な会計経理を行うという基本的な認識が欠けていたこと、センターにおいて、研究用物品の納品検査等が十分でなかったことなどによると認められる。

表 医療技術開発費及び助成金における不適正経理額

(単位:円)
研究者 医療技術開発費
年度 不適正経理額
c 平成—
d 19、20 3,600,000
e 19、20 576,860
g
h
i 19、20 840,857
j 19、20 703,830
k 19 590,956
l 20 589,127
m 21 269,850
n 19 160,717
o 19 69,744
p
q
r
s
t
u
v
w
x
(438) 19〜21 7,401,941
(単位:円)
研究者 助成金
年度 不適正経理額 過大交付額
(439) c 平成20 479,913 480,000
(440) d 19、20 2,280,137 2,249,216
(441) e 19 929,722 902,444
(442) g 902,444 1,126,524 1,034,784
(443) h 19、20 695,075 695,075
i
(444) j 19 1,086,201 953,000
k
(445) l 19〜21 1,718,686 1,714,000
m
n
o
(446) p 19 641,374 622,556
(447) q 19、20 567,493 561,600
(448) r 20 479,862 474,605
(449) s 19、20 449,925 450,000
(450) t 19、20 411,474 392,287
(451) u 20 343,875 340,108
(452) v 19 204,587 204,000
(453) w 20 159,873 156,000
(454) x 19 170,623 152,000
19〜21 11,745,344 11,345,600
(注)
独立行政法人国立がん研究センターの研究者cからe、g及びhについては本件以外にも不当事項を掲記しており、同一の研究者を同一のアルファベットで表示している(前掲参照 )。