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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 平成26年10月|
  • 第2 検査の結果|
  • 1 年金記録問題に関する事業の実施状況

年金記録問題に関する日本年金機構等の取組に関する会計検査の結果について


(5) 年金記録等に係る年金相談等の実施状況

ア 年金相談業務の概要

機構は、国民年金、厚生年金保険の被保険者等からの年金の見込額、年金記録に関する相談等に対応するため、①年金事務所等の窓口に来訪した者に行う「来訪相談」、②年金事務所及び「ねんきんダイヤル」等のコールセンターにおける「電話相談」、③年金事務所において手紙等の文書による相談に応じる「文書相談」、④ 年金事務所等からの遠隔地に居住する年金受給者等のニーズへの対応等のため、年金事務所の職員等が市区町村、商工会議所等に赴いて行う「出張相談」を実施している。

そして、機構は、これらの年金相談業務を、年金記録問題発生後の年金相談業務の強化のために社会保険庁が締結してきた契約を引き継ぐなどして実施している。

すなわち、年金事務所における来訪相談については、一般的な年金相談に関する相談窓口(以下「一般相談窓口」という。)とは別に、年金記録に関する専用の相談窓口(以下「記録相談窓口」という。)を設置するとともに、これらの相談業務の一部を各都道府県社会保険労務士会(以下「各県社労士会」という。)に委託するなどして実施している。また、街角の年金相談センター及び街角の年金相談センター(オフィス)(注11)(以下「街角の年金相談センター等」という。)における来訪相談については、22年1月から、それまでの直営方式から全国社会保険労務士会連合会(以下「連合会」という。)へ委託する方式に変更して実施している。

電話相談については、一般的な年金相談に対応する「ねんきんダイヤル」とは別に、「ねんきん定期便専用ダイヤル」(23年4月からは「ねんきん定期便・ねんきんネット専用ダイヤル」)を設置するとともに、年金確保支援法により24年10月から国民年金保険料の後納制度が実施されることなどに伴い、同年8月に「後納制度・3号相談専用ダイヤル」(25年9月からは「国民年金保険料専用ダイヤル」)を設置している。これらの電話相談は、民間事業者に業務を委託するなどして実施している。

出張相談については、22年度以前は、職員が一般的な年金相談に応じるとともに、年金記録等に関する年金相談を各県社労士会に委託して実施していたが、23年度以降は、こうした区分けをしないで職員及び各県社労士会が実施している。また、一部の街角の年金相談センター(オフィス)においても機構からの委託により出張相談を行っている。

(注11)
街角の年金相談センター及び街角の年金相談センター(オフィス)27都道府県51か所に街角の年金相談センターが、15都府県21か所に街角の年金相談センター(オフィス)がそれぞれ設置されている。いずれも年金記録問題等による年金事務所の相談窓口の混雑緩和のために設置されたものである。街角の年金相談センター(オフィス)は平成23年7月以降に設置されたものであり、街角の年金相談センターが来訪相談のみを実施するものであるのに対して、街角の年金相談センター(オフィス)は来訪相談のほか、出張相談も実施しているものもある。

なお、年金相談業務には年金制度等に関する専門知識が必要となることから、委託を受けた各県社労士会は、更に社会保険労務士(以下「社労士」という。)に業務を委託している。

また、街角の年金相談センター等の年金相談等は、連合会が雇用する公的年金制度の相談窓口業務経験者又は公的年金の実務経験者で公的年金の相談窓口における相談対応が可能である者及び連合会が委託した社労士により実施されている。

イ 各県社労士会に委託するなどして年金事務所等で行う年金相談業務の実施状況

(ア) 年金事務所における年金相談窓口の運営状況

機構は、前記のとおり、年金事務所に一般相談窓口及び記録相談窓口を設置し 、機構の職員及び社労士を配置して相談業務を実施している。

年金事務所における年金相談窓口の運営状況は、図表1-17のとおりとなっていた。

図表1-17 年金事務所における年金相談窓口の運営状況

時点\区分 一般相談窓口 記録相談窓口 相談窓口計
窓口数 機構職員 社労士 窓口数 機構職員 社労士 窓口数 機構職員 社労士
正規職員

注(1)
准職員
注(2)
特定業
務契約
職員等
注(3)
正規職
准職員 特定業
務契約
職員等
正規職
准職員 特定業
務契約
職員等
平成22年6月1日
現在
1,612 264 224 1,049 92
注(4)
(5.7%)
327 17 6 48 243 1,939 281 230 1,097 335
23年10月1日
現在
1,679 240 198 1,057 184
注(4)
(11.0%)
214 5 4 29 163 1,893 245 202 1,086 347
24年4月1日
現在
1,728 362 180 951 235
注(4)
(13.6%)
195 7 9 50 136 1,923 369 189 1,001 371
25年4月1日
現在
1,772 508 139 779 346
注(4)
(19.5%)
104 5 8 20 72 1,876 513 147 799 418
26年4月1日
現在
1,785 648
注(5)
(36.3%)
97 601 439
注(4)
(24.6%)
47 3 5 29 0 1,832 651 102 630 439
注(1)
平成25年4月1日現在及び26年4月1日現在の正規職員等欄は、正規職員及び定年退職し引き続き機構に再雇用された者並びに年金相談専任職員の合計である。
注(2)
(注14)参照
注(3)
特定業務契約職員((注15)参照)及びアシスタント契約職員(注(4)参照)の合計。
注(4)
一般相談窓口数に占める社労士の割合。
注(5)
一般相談窓口数に占める正規職員等の割合。

一般相談窓口数は、22年6月の1,612に対して、26年4月には1,785に増加している一方で、記録相談窓口数は、22年6月の327に対して、26年4月には47となっていた。これは、年金記録問題に係る相談が減少してきたことを踏まえたことによるものであった。

また、年金相談窓口の従事者については、記録相談窓口での相談は従前、その大半を社労士が行ってきたが、記録相談窓口数の削減に伴い、26年4月以降、社労士は従事しなくなった。これに対して、一般相談窓口数に占める社労士の割合は、22年6月の5.7%から26年4月の24.6%へと増加していた。これは、記録相談窓口の減少に伴い、各県社労士会への委託内容を一般相談窓口での相談に変更したことによるものであった。

また、機構は、年金相談がお客様と直接接点をもつ大切な基幹業務であることなどを踏まえて、その年金相談体制の確立のため、23年10月に「年金相談体制の確立に向けて (平成23年10月24日日本年金機構理事長)を示し、その中の別紙」「年金相談体制の確立に向けた基本方針」において、26年度当初までに原則として年金相談の中核部分は正規職員等で対応する体制(常設の一般相談窓口のおおむね4割を正規職員等で実施する体制。以下「4割体制」という。)の構築に取り組むとともに、年金相談業務の質的向上と効率化を図ることとしている。なお、常設の一般相談窓口が4ブース以下の年金事務所(以下「小規模年金事務所」という。)は、正規職員等を1名以上常設の一般相談窓口に配置することで差し支えないとしている。

そして、26年4月現在における常設の一般相談窓口で従事する者のうち正規職員等が占める割合は、機構全体で36.3%となっていた。また、各年金事務所では図表1-18のとおり、上記の通知により4割体制を構築することとしている常設の一般相談窓口が5ブース以上の197年金事務所のうち27年金事務所で、26年4月時点で、4割体制が確保されていなかった。なお、機構は、このうち15年金事務所について23年10月以降にブース数を増やしていたことから、25年2月に示された「年金事務所における年金相談・年金給付体制の確立に向けた基本方針」に基づき、27年度当初までに4割体制を確保することとしている。

また、115の小規模年金事務所のうち3年金事務所では、26年4月時点で、正規職員等が1名も常設の一般相談窓口に配置されていなかった。

図表1-18 各年金事務所の年金相談窓口の体制状況

態様 常設の一般相談窓口が5ブース以上の年金事務所 小規模年金事務所
うち、平成26年4月1日において、4割体制が確
保されていなかった年金事務所
うち、26年4月1日に
おいて、1名も正規職
員等が配置されてい
なかった年金事務所
(b)
うち、27年度当初までに4割体制
を確保することとされた年金事
務所を除いた年金事務所(a)
年金事務所数 197 27 12 115 3 312

前記のとおり、年金相談が大切な基幹業務であることなどを踏まえると、4割体制が確保されていなかった12年金事務所及び1名も正規職員等が配置されていなかった3年金事務所(図表1-18の(a)+(b))においては 「年金相談体制の確立、に向けた基本方針」に沿った正規職員等の配置を行う必要があると認められる。

なお、会計検査院は、前記のとおり、平成22年度決算検査報告において、「年金相談業務に係る契約の実施に当たり、契約の履行確認を徹底するなどするよう適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求め、並びに委託する年金相談窓口数の見直しを行うなどして、年金相談業務の実施等が経済的なものとなるよう意見を表示したもの」を掲記している。そして、機構は、上記の指摘の趣旨を踏まえ、「平成22年度会計検査院決算検査報告に関する対応について」(平成24年3月22日年金相談部)において、相談実績を踏まえた「窓口ブース設置基準」を定め、各県社労士会に委託する1ブース1日当たりの平均相談件数を16件とし、各年度の4月から10月までの相談実績を基準にして、1日当たりの平均相談件数が「窓口ブース設置基準」の5割(8件)以下の年金相談窓口については、第4四半期から見直しを行うこととしている。

機構が各県社労士会に委託した年金相談窓口数に係る見直しの状況は、次のとおりとなっていた。

機構は、「窓口ブース設置基準」を踏まえ、一般相談窓口と記録相談窓口のそれぞれの相談実績を把握するなどして窓口の削減に取り組んでいた。

このほか、ねんきん定期便等を契機とする相談を専門に行うために設置している記録相談窓口について、その相談件数が減少したことにより窓口数を削減するとともに、社労士を有効活用するために、記録相談窓口に配置していた社労士を一般相談窓口に配置転換するなどしていた。

これらの結果、24、25両年度の年金相談窓口は、図表1-19のとおりとなっていた。

図表1-19 各県社労士会に委託した年金相談窓口数の見直し状況

(単位:窓口数)
平成24年度 24年4月から10月までの1か月当たりの平均委
託窓口数
25年1月から3月までの1か月当たりの平均委
託窓口数
窓口の1か月
当たりの平均
削減数
(A)-(B)
一般相談窓口 記録相談窓口 計(A) 一般相談窓口 記録相談窓口 計(B)
7,838 1,483 9,321 8,122 629 8,751 570
25年度 25年4月から10月までの1か月当たりの平均委
託窓口数
26年1月から3月までの1か月当たりの平均委
託窓口数
窓口の1か月
当たりの平均
削減数
(A)-(B)
一般相談窓口 記録相談窓口 計(A) 一般相談窓口 記録相談窓口 計(B)
9,645 500 10,145 9,089 401 9,490 655
(注)
窓口数は、開所した各日のブース数の1か月分累計である。

(イ) 年金事務所等における年金相談件数の実績

22年度から25年度までの間の年金事務所における来訪相談の件数及びそのうち年金記録に関する相談の実績は、図表1-20のとおりとなっており、25年度の来訪相談件数は、年金記録問題が大きな社会的関心事項となっていた20年度の約1240万件に比べて、半数以下の約560万件となっていた。

図表1-20 来訪相談件数及びそのうち年金記録に関する相談の実績

(単位:件)
年度 平成22 23 24 25 (参考)20
来訪相談件数 6,634,409 6,479,091 6,320,255 5,607,703 12,409,872
うち年金記録に関する相談 832,312 527,140 475,617 565,415 4,990,335
来訪相談件数に占める年金記録に関
する相談の割合
12.5% 8.1% 7.5% 10.1% 40.2%

そして、来訪相談件数に占める年金記録に関する相談の件数の割合は、25年度は10.1%となっており、20年度の40.2%に比べて、大幅に減少している。

また、22年度から25年度までの出張相談における相談件数及びそのうち年金記録に関する相談の実績は、図表1-21のとおりとなっており、出張相談における相談件数は、毎年減少してきており、25年度には約9万件となって、20年度の約31万件に対して約3割の件数となっていた。

図表1-21 出張相談における相談件数及びそのうち年金記録に関する相談の実績

(単位:件)
年度 平成22 23 24 25 (参考)20
出張相談における相談件数 131,954 118,294 108,652 96,161 311,057
うち年金記録に関する相談 16,066 7,845 6,701 8,260 134,391
出張相談における相談件数に占める
年金記録に関する相談の割合
12.2% 6.6% 6.2% 8.6% 43.2%

そして、出張相談における相談件数に占める年金記録に関する相談の件数の割合は、25年度において8.6%となっており、20年度の43.2%に比べて、大幅に減少している。

ウ 連合会に委託して街角の年金相談センター等で行う年金相談業務の実施状況

機構は、前記のとおり、連合会に委託して、街角の年金相談センター等における年金相談業務を実施している。

(ア) 街角の年金相談センター等における年金相談窓口の運営状況

街角の年金相談センター等における年金相談窓口の運営状況は、図表1-22のとおりとなっており、その年金相談窓口数は、22年4月に253となっていたが、25年4月には284に増加していた。

図表1-22 街角の年金相談センター等における年金相談窓口の運営状況

時点\区分 街角の年金相談センター 街角の年金相談センター(オフィス)
センター数 年金相談
窓口数
職員 社労士 センター数 年金相談
窓口数
職員 社労士 センター数 年金相談
窓口数
職員 社労士
平成22年4月1日
現在
51 253 195 60 51 253 195 60
23年4月1日現在 51 253 190 65 51 253 190 65
24年4月1日現在 51 253 189 68 10 20 10 12 61 273 199 80
25年4月1日現在 51 254 182 78 15 30 14 19 66 284 196 97
注(1)
「職員」とは、連合会が雇用する職員をいう。
注(2)
窓口によっては、曜日や時間帯により職員が担当する場合と社労士が担当する場合とがある。

これは、街角の年金相談センター(オフィス)を23年7月以降新設するなどしたためであった。

なお、機構は、前記のとおり、会計検査院の指摘の趣旨を踏まえ、「窓口ブース設置基準」を定め、連合会に委託する1ブース1日当たりの平均相談件数を14件とし、毎年4月1日を基準日として、その前2年間の平均相談件数が「窓口ブース設置基準」に対して2割以上増減した場合に年金相談窓口数の見直しを行うこととしている。

機構が連合会に委託した年金相談窓口に係る見直しの状況は、次のとおりとなっていた。

機構は、25年4月に契約を変更して、「窓口ブース設置基準」を踏まえて、街角の年金相談センターの6年金相談窓口を増設するとともに5年金相談窓口を減らしていた。また、26年4月の契約更新時には、25年度に特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢(男子)が60歳から61歳に引き上げられたことにより、相談件数が例年と比較して大幅に減少したことや、前記のとおり、27年10月に予定されている年金機能強化法の施行により年金受給資格期間が10年に短縮されることに伴い相談件数が増加することが見込まれることから見直しを行っていなかったが、機構が定めている外部委託実施要領(平成22年1月1日要領第26号)に基づいて契約書・仕様書の見直しを行い、業務委託契約の仕様書に、新たに「窓口ブース設置基準」の内容をサービスレベルアグリーメント(注12)に盛り込むことにより、適切な年金相談窓口数を確保する体制を整備している。

以上のことから、今後も、定期的に年金相談件数の状況を的確に把握した上で、連合会に委託する年金相談窓口数を適切なものとする必要があると思料される。

(注12)
サービスレベルアグリーメント  サービスの利用者と受託事業者との間で提供されるサービスの品質についての保証内容を取り決める契約で、相談窓口件数、相談窓口稼働率、相談窓口待ち時間等の客観的なサービス項目の内容を定めるとともに、それが実現できなかった場合で、かつ、その改善が見込めない場合には、契約の全部又は一部を解除できることを定めるもの

(イ) 街角の年金相談センター等における年金相談件数の実績

22年度から25年度までの街角の年金相談センター等における来訪相談件数及びその実績の内訳は、図表1-23のとおりとなっており、来訪相談件数は、22年度に約85万件となっていたが、25年度に約79万件となっていた。

図表1-23 来訪相談件数及びその内訳の実績

(単位:件)
年度 平成22 23 24 25
来訪相談件数 859,213 863,052 896,812 792,678
うち街角の年金相談センター 859,213 848,235 844,822 718,534
うち街角の年金相談センター
(オフィス)
14,817 51,990 74,144
うち年金記録に関する相談 99,211 69,473 73,819 83,901
来訪相談件数に占める年金記録に関する相談の
割合
11.5% 8.0% 8.2% 10.6%

また、出張相談については、25年度に、街角の年金相談センター(オフィス)21オフィスのうち、出張相談の需要が高い地域に出張相談を行うための基地的な施設として設置された8オフィスが出張相談を行っていて、その相談件数は約3,000件となっていた。

エ 民間事業者に委託して行う電話相談業務の実施状況

機構は、前記のとおり、電話相談を民間事業者に委託してコールセンターにおいて実施している。

(ア) 「ねんきんダイヤル」について

「ねんきんダイヤル」の電話相談に係るオペレータの設置席数及び総コール数の推移は、図表1-24のとおりとなっており、総コール数は、年金記録問題が大きな社会的関心事項となっていた20年4月に約226万件となっていたが、その後は減少するなどしており、近年は50万件前後となっていた。

図表1-24 「ねんきんダイヤル」の設置席数及び総コール数の推移

図表1-24 「ねんきんダイヤル」の設置席数及び総コール数の推移画像

また、22年度の1月当たりの平均コール数は575,585件となっていたが、25年度の1月当たりの平均コール数は396,250件となっていた。

そして、設置席数は、総コール数が最大であった20年4月に443席としていたが、22年1月に733席、26年1月に876席としていた。これは、総コール数の変化を踏まえつつ、応答率(総コール数に対する応答数(オペレータが応答した件数)の比率をいう。以下同じ。)の向上を目指して変更したことなどによるものと思料される。

また、機構の各種通知等の発送時期と総コール数及び応答率の推移は、図表1-25のとおりとなっていた。

図表1-25 各種通知等の発送時期と総コール数及び応答率の推移

図表1-25 各種通知等の発送時期と総コール数及び応答率の推移画像

(注)
機構は、毎年6月に年金額の改定通知書、年金振込通知書を、10月に年金振込通知書(介護保険料の変更)を年金受給者に対して送付している。

22年4月以降、前記のとおり、設置席数を増加させるなどしたことにより応答率は上昇傾向となっていて、おおむね90%前後となっていた。また、各年度の平均応答率は22年度57.2%、23年度60.1%、24年度78.7%、25年度84.9%となっていた。そして、応答率が一時的に低下している時期が見受けられたが、これは、機構が年金額の改定通知書等を送付した時期と重なることから、これらの通知に係る電話相談が多くあったことが一因であると思料される。

なお、機構は、相談事跡を作成するためのコールセンター支援システムの入力を簡素化するなどして処理時間の短縮を図ったり、上記の通知書等に関するコールセンターの応答数を減少させるためにQ&Aをホームページに掲載したりするなどして応答率の向上に努めており、また、繁忙期には、設置席数を増加するなどしてコール数の増加に対応しているとしている。

しかし、コール数は年金額の改定通知書等が送付された直後に急増する傾向が見られるため、総コール数の少ない月の設置席数をコール数が増加すると見込まれる月に充てるなど総コール数に応じた設置席数とする弾力的な運用を引き続き行っていく必要があると認められる。

(イ) 「ねんきん定期便・ねんきんネット専用ダイヤル」について

「ねんきん定期便・ねんきんネット専用ダイヤル」の電話相談に係るオペレータの設置席数及び総コール数の推移は、図表1-26のとおりとなっていた。

図表1-26 「ねんきん定期便・ねんきんネット専用ダイヤル」の設置席数及び総コール数の推移

図表1-26 「ねんきん定期便・ねんきんネット専用ダイヤル」の設置席数及び総コール数の推移画像

総コール数は全体的に減少傾向となっていた。そして、設置席数は、600席から800席までの間を推移した時期を経て、総コール数が減少し、おおむね15万件となった23年1月以降に200席、総コール数がおおむね10万件を下回るようになった24年4月以降に100席とし、25年以降は総コール数の増加を踏まえるなどして設置席数を増加していた。

また、機構のねんきん定期便等の発送時期と総コール数及び応答率の推移は、図表1-27のとおりとなっていた。

図表1-27 ねんきん定期便等の発送時期と総コール数及び応答率の推移

図表1-27 ねんきん定期便等の発送時期と総コール数及び応答率の推移画像

22年1月以降、応答率はおおむね90%以上で推移していたが、応答率が一時的に低下している時期が見受けられた。これは、機構が未送達便や「気になる年金記録、再確認キャンペーン」のお知らせを発送した時期と重なることから、これらを契機とした電話相談が多くあったことが一因であると思料される。

(ウ) 「国民年金保険料専用ダイヤル」について

「国民年金保険料専用ダイヤル」の電話相談によるオペレータの設置席数及び総コール数の推移は、図表1-28のとおりとなっていた。

図表1-28 「国民年金保険料専用ダイヤル」の設置席数及び総コール数の推移

図表1-28 「国民年金保険料専用ダイヤル」の設置席数及び総コール数の推移画像

総コール数に一定の傾向は見られなかった。そして、機構は、設置席数を年金確保支援法により国民年金の後納制度が実施された24年10月以前には300席としていたが、その後は総コール数の増減を見込むなどして、200席から30席の間で変更していた。

また、機構の国民年金に関する通知の発送時期と総コール数及び応答率の推移は、図表1-29のとおりとなっていた。

図表1-29 国民年金に関する通知の発送時期と総コール数及び応答率の推移

図表1-29 国民年金に関する通知の発送時期と総コール数及び応答率の推移画像

24年8月以降、応答率はおおむね90%以上で推移していたが、応答率が一時的に低下している時期が見受けられた。これは、機構が第3号被保険者の不整合期間を第1号被保険者期間に変更することを勧奨する通知を送付した時期と重なることから、当該通知に係る電話相談が多くあったことが要因であると思料される。

オ 機構が主体となって実施している年金相談業務

機構は、前記のとおり、年金事務所で、来訪相談のほか、電話相談、文書相談を行っている。22年度から25年度までの全国の年金事務所における電話相談及び文書相談の件数とそのうち年金記録に関する相談の実績は、図表1-30のとおりとなっており、電話相談については、20年度は約415万件となっていたが、25年度は約287万件となっていて、22年度以降、減少傾向となっていた。また、文書相談については、20年度は約10万件となっていたが、25年度は約16万件となっていた。

図表1-30 電話相談及び文書相談の件数とそのうち年金記録に関する相談の実績

(単位:件)
年度 平成22 23 24 25 (参考)20
電話相談 年金相談件数 3,994,468 4,082,068 3,743,226 2,874,166 4,158,773
うち年金記録に関する相談 333,972 245,611 170,156 133,401 800,281
年金相談件数に占める年金記録に
関する相談の割合
8.4% 6.0% 4.5% 4.6% 19.2%
文書相談 年金相談件数 75,117 93,268 99,257 167,046 104,032
うち年金記録に関する相談 16,101 16,882 17,112 36,339 53,041
年金相談件数に占める年金記録に
関する相談の割合
21.4% 18.1% 17.2% 21.8% 51.0%

電話相談及び文書相談の相談内容についてみると、25年度の年金相談件数に占める年金記録に関する相談の件数の割合は、それぞれ4.6%、21.8%となっており、20年度に比べて減少していた。