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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
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  • 平成26年10月|
  • 第2 検査の結果|
  • 1 年金記録問題に関する事業の実施状況

年金記録問題に関する日本年金機構等の取組に関する会計検査の結果について


(7) 被保険者等の自主点検を促す施策

ア 「気になる年金記録、再確認キャンペーン」

機構は、前記の「ねんきんネット」の活用等のほか、25年1月から26年3月までの間、自身の年金記録に「漏れ」や「誤り」がないか気になる者に対して、再度、年金記録を確認し心当たりの記憶を申し出てもらうために、「気になる年金記録、再確認キャンペーン」を実施していた。

機構は、上記のキャンペーンにより、図表1-33のとおり、年金受給者等に対して「年金記録確認のお願い」等の約3545万枚のはがきを送付したり、被保険者に対して「ねんきん定期便」の約6551万枚にキャンペーンの案内を盛り込んだりして、前記の「ねんきんネット」による未統合記録の検索を働きかけたり、年金記録の漏れのチェックポイントを活用した年金記録の確認を求めたりしていた。

また、機構は、新聞、機構のホームページ等への掲載、市区町村等の関係機関約1,800団体等にポスター(約7万枚 、パンフレット(約331万枚)を配布するなど)の方法により年金記録の確認の呼びかけを行ったほか、市区町村の生活保護担当部局等の協力を得て、生活に困った高齢者等を対象に、生活相談の窓口における年金記録の発見の支援も行っていた。

図表1-33 「気になる年金記録、再確認キャンペーン」による各種お知らせの送付状況(平成26年3月末現在)

お知らせ名等 送付期間 対象者等 送付等数

「年金記録確認のお願い」

25年2月~10月

年金受給者
千枚
33,112
「ねんきん記録確認のお願い
・住民票コード登録のお願い」
25年8月
年金受給待機者
2,345
小計 35,457
「ねんきん定期便」 25年4月~26年3月 被保険者 65,517
100,974
ポスター

25団体
1,783市等
74
パンフレット

27団体
1,785市等
3,317
3,391

なお、上記のキャンペーンは、25年度末に終了したが、年金記録問題の解決には、被保険者等への働きかけにより被保険者等に自らの年金記録を確認してもらうことが重要である。このため、機構は、26年度以降も「ねんきん定期便」等による本人への働きかけや「ねんきんネット」の充実等を継続するとともに、年金機能強化法により、27年10月に予定されている年金受給資格期間の短縮(25年から10年へ)に際し行う広報で国民への働きかけを行うことを予定している。

イ 年金記録回復の具体的事例の公表

機構は、被保険者等の自主点検を促すなどの目的で、22年4月から24年3月までの間、年金記録回復事例のうち年金の増加金額が大きい上位10ケースの事例を毎週公表するとともに、1,000件の事例が集積されたところで、これらの事例を分析し、のようなケースで年金記録が見つかり、年金の増額につながっているか整理して、図表1-34のとおり、その結果を公表している。

この分析は、年金の増加金額が大きい事例を抽出して分析したものであり、これまでに回復した年金記録全体の傾向を示すものではないが、一つの指標として有意義なものと考えられる。

これによれば、ねんきん特別便、受給者便等の各種便を判明の契機としたものの割合が高くなっており、機構等からの能動的な働きかけが年金記録の回復に結びついていることが確認できる一方、年金相談によるものも全体の27.2%と相当数見受けられることから、年金受給者等からの申出が年金記録の回復のために有効であることがうかがえる。

図表1-34 年金記録回復の具体的事例(1,000事例)の分析

(機構ホームページより引用)

① 記録の状態 件数 割合
転職等による複数手帳保有者 837件 36.10%
旧姓名 719件 31.00%
氏名(読み仮名)相違 476件 20.50%
生年月日相違 217件 9.30%
報酬相違 33件 1.40%
加入期間相違 16件 0.70%
総務大臣(第三者委員会)あっせん 15件 0.6%
年金事務所段階における回復基準 8件 0.30%
2,321件 100.00%
② 判明した契機 件数 割合
ねんきん特別便 870件 37.50%
年金相談 632件 27.20%
受給者便 350件 15.10%
黄色便 348件 15.00%
グレー便    93件 4.00%
総務大臣(第三者委員会)あっせん    15件 0.70%
紙台帳とコンピュータの突合後の通知     8件 0.30%
ねんきん定期便     5件 0.20%
2,321件 100.00%
注(1)
1事例の中で、記録の状態が複数ある事例もあることから事例数(1,000事例)と件数の合計(2,321件)が異なる。
注(2)
②判明した契機の表は①記録の状態の表の件数を判明した契機ごとに分類したものである。