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  • 平成26年10月

再生可能エネルギーに関する事業の実施状況等について


3 検査の状況

(1) 再生可能エネルギーに関する事業の実施状況等

ア 再生可能エネルギーに関する事業の実施状況

(ア) 再生可能エネルギーに関する事業費

前記のとおり、エネルギー基本法において、国は、基本計画について、その実施に要する経費に関し必要な資金の確保を図るため、毎年度、国の財政の許す範囲内で、これを予算に計上するなどその円滑な実施に必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととなっている。そして、7府省等が自ら若しくは委託者として、又は地方公共団体等が7府省等の国庫補助金等を活用して21年度から25年度までの間に導入した再エネ発電設備及び再エネ熱利用設備に係る7府省等の事業費(国庫補助金等を含む。)についてみると、図表1-1-1のとおり、計4680億1478万円となっており、経済産業省が計2656億1648万円(4680億1478万円の56.7%)と最も多く、次いで、環境省が計779億7780万円(同16.6%)、文部科学省が計536億3119万円(同11.4%)等となっていた。

図表1-1-1 再生可能エネルギーに関する事業費(平成21年度~25年度)

(単位:百万円)
所管府省等 区分 平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度
(構成比)
内閣府 再エネ発電設備 2,252 7,248 490 165 3,182 13,340 (3.2%)
再エネ熱利用設備 179 62 71 19 106 440 (0.8%)
2,432 7,311 562 185 3,289 13,780 (2.9%)
文部科学省 再エネ発電設備 7,342 32,543 1,862 2,962 4,839 49,551 (11.9%)
再エネ熱利用設備 59 1,890 630 610 888 4,080 (7.4%)
7,402 34,433 2,493 3,572 5,728 53,631 (11.4%)
農林水産省 再エネ発電設備 1,220 294 1,735 869 7,552 11,672 (2.8%)
再エネ熱利用設備 3,030 2,725 4,309 1,062 2,143 13,272 (24.2%)
4,250 3,020 6,045 1,932 9,696 24,945 (5.3%)
経済産業省 再エネ発電設備 28,367 71,414 65,319 52,853 39,136 257,091 (62.2%)
再エネ熱利用設備 761 683 1,225 2,763 3,091 8,524 (15.5%)
29,128 72,097 66,544 55,617 42,228 265,616 (56.7%)
国土交通省 再エネ発電設備 1,916 1,365 3,508 2,268 2,835 11,894 (2.8%)
再エネ熱利用設備 165 1,640 1,757 1,893 1,509 6,966 (12.7%)
2,082 3,006 5,265 4,162 4,344 18,860 (4.0%)
環境省 再エネ発電設備 13,893 8,597 9,676 10,157 17,072 59,397 (14.3%)
再エネ熱利用設備 9,571 4,109 1,085 2,462 1,351 18,580 (33.8%)
23,464 12,707 10,761 12,620 18,424 77,977 (16.6%)
NEDO 再エネ発電設備 931 330 361 0 8,617 10,241 (2.4%)
再エネ熱利用設備 1,068 1,892 0 0 0 2,961 (5.4%)
2,000 2,223 361 0 8,617 13,202 (2.8%)
合計 再エネ発電設備 55,925 121,794 82,953 69,278 83,236 413,188 (100%)
再エネ熱利用設備 14,837 13,004 9,080 8,811 9,091 54,826 (100%)
70,762 134,799 92,034 78,090 92,327 468,014 (100%)
注(1)
NEDOの事業費は、6府省の事業費との重複額を控除した額である。
注(2)
再エネ発電設備の事業費は、設備の機器費ベースで集計している。
注(3)
再エネ熱利用設備の事業費は、設備導入に係る事業費ベースで集計している。

上記7府省等の事業費を、①再生可能エネルギー設備を整備する事業(整備事業)、②再生可能エネルギーを利活用するための実証事業(実証事業)、③再生可能エネルギーを利活用するための研究事業(研究開発事業)に分類して集計したところ、これらの分類別の事業費は、図表1-1-2のとおり、整備事業が計4412億1002万円(4680億1478万円の94.2%)と最も多く、次いで、実証事業が計263億0188万円(同5.6%)等となっていた。

図表1-1-2 分類別の事業費(平成21年度~25年度)

(単位:百万円)
区分 平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度
(構成比)
整備事業 68,078 125,753 90,337 77,945 79,094 441,210 (94.2%)
実証事業 2,673 9,007 1,573 59 12,988 26,301 (5.6%)
研究開発事業 11 38 123 85 244 502 (0.1%)
70,762 134,799 92,034 78,090 92,327 468,014 (100%)

そして、7府省等のうち、整備事業を最も多く実施しているのは経済産業省(事業費2602億2477万円。4412億1002万円の58.9%)、次いで、環境省(同734億0441万円。同16.6%)となっており、実証事業を最も多く実施しているのはNEDO(同127億7543万円。263億0188万円の48.5%)、次いで、経済産業省(同53億6636万円。同20.4%)となっていた。

(イ) 再エネ発電設備の種類別の導入費用

7府省等が自ら若しくは委託者として、又は地方公共団体等が7府省等の国庫補助金等を活用して21年度から25年度までの間に導入した再エネ発電設備の1kW当たりの導入費用を種類別についてみると、図表1-2のとおり、海洋温度差発電設備が797万円/kW、バイオマス発電設備が37万円/kW、風力発電設備が35万円/kW、太陽光発電設備が33万円/kW、水力発電設備が10万円/kW、地熱発電設備が2万円/kWとなっている。このように最も高価な発電設備は海洋温度差発電設備、一方、最も安価な発電設備は地熱発電設備、次いで水力発電設備となっていた。地熱発電設備及び水力発電設備は、第四次計画において、発電コストが低廉で、安定的に発電することができるベースロード電源として位置付けられている。

なお、対象となった海洋温度差発電設備は、1設備であり、地方公共団体が実証事業で導入したものである。

図表1-2 再エネ発電設備の種類別の導入費用

区分 設備数 設備容量
(kW)
(A)
導入費用
(百万円)
(B)
1kW当たりの導入費用
(万円/kW)
(B/A)
太陽光(非住宅用)
注(1)
6,353 589,833 194,872 33
風力 104 107,518 37,720 35
水力
注(2)
105 268,660 27,230 10
バイオマス
注(3)
100 270,974 102,295 37
地熱 12 298,159 8,169 2
海洋温度差 1 50 398 797
注(1)
太陽光発電設備は、住宅用、信号機用、表示板用等の小規模(10kW未満)の発電設備を除いている。
注(2)
水力発電設備は、30,000kW以下の発電設備である。
注(3)
バイオマス発電設備は、発電設備に供給するバイオマス由来の燃料源を精製する設備を含む。
(ウ) 7府省等における再エネ発電設備の導入状況

7府省等が、自ら又は委託者として、21年度から25年度までの間に導入した再エネ発電設備の種類別の導入状況についてみたところ、図表1-3のとおり、計47設備(設備容量計10,338kW、事業費計191億6199万円)となっていた。そして、種類別に設備数をみると、太陽光発電設備が計22設備(47設備の46.8%)と最も多くなっており、次いで水力発電設備が計13設備(同27.6%)等となっていた。また、設備容量についてみると、風力発電設備が計4,380kW(10,338kWの42.3%)、次いで水力発電設備が計3,499kW(同33.8%)等となっていた。

図表1-3 7府省等における再エネ発電設備の導入状況(平成21年度~25年度)

区分 平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度
(構成比)
太陽光
(非住宅用)
注(1)
設備数 7 4 6 3 2 22 (46.8%)
設備容量(kW) 412 80 182 73 60 807 (7.8%)
事業費(百万円) 435 1,655 1,495 73 89 3,749 (19.5%)
風力 設備数 0 0 0 0 2 2 (4.2%)
設備容量(kW) 0 0 0 0 4,380 4,380 (42.3%)
事業費(百万円) 0 0 0 0 8,272 8,272 (43.1%)
水力

注(2)
設備数 1 3 2 4 3 13 (27.6%)
設備容量(kW) 0 76 2 239 3,182 3,499 (33.8%)
事業費(百万円) 7 286 96 496 4,113 5,000 (26.0%)
バイオマス

注(3)
設備数 5 0 0 0 4 9 (19.1%)
設備容量(kW) 616 0 0 0 820 1,436 (13.8%)
事業費(百万円) 429 0 0 0 1,094 1,524 (7.9%)
地熱 設備数 0 0 0 0 1 1 (2.1%)
設備容量(kW) 0 0 0 0 216 216 (2.0%)
事業費(百万円) 0 0 0 0 614 614 (3.2%)
設備数 13 7 8 7 12 47 (100%)
設備容量(kW) 1,028 156 184 312 8,658 10,338 (100%)
事業費(百万円) 872 1,942 1,591 570 14,185 19,161 (100%)
注(1)
太陽光発電設備は、住宅用、信号機用、表示板用等の小規模(10kW未満)の発電設備を除いている。
注(2)
水力発電設備は、30,000kW以下の発電設備である。
注(3)
バイオマス発電設備は、発電設備に供給するバイオマス由来の燃料源を精製する設備を含む。
注(4)
府省等別については別表1を参照。

47設備のうち、実証事業で導入した設備が23設備と最も多くなっていて、その全てが環境省又はNEDOが実施した事業で導入した設備であった。また、整備事業で導入した設備が17設備となっていて、この内訳についてみると、農林水産省が実施した事業で導入した設備が9設備(太陽光発電設備5設備、水力発電設備4設備)、国土交通省が実施した事業で導入した設備が4設備(太陽光発電設備2設備、水力発電設備2設備)等となっていた。

整備事業のうち、農林水産省が実施した事業は、国営かんがい排水事業により整備された農業用用排水施設におけるダムや水路等に包蔵される水力エネルギー等を、電気エネルギーとして有効に活用することにより、エネルギー事情に貢献するとともに、土地改良施設の維持管理費の節減を図り、農業生産性の向上に資することを目的として太陽光発電設備及び小水力発電設備を導入するなどしたものである。

また、国土交通省が実施した事業は、同省等が管理するダムを対象として、ダムの維持管理費の縮減を図ることを目的として、ダムからの放流水を活用したダム管理用水力発電設備を導入するなどしたものである。

(エ) 7府省等における再エネ熱利用設備の導入状況

7府省等が、自ら又は委託者として、21年度から25年度までの間に導入した再エネ熱利用設備の種類別の導入状況についてみたところ、図表1-4のとおり、計39設備(設備容量計25,703,715kJ/h、事業費計39億2351万円)となっていた。そして、種類別に設備数をみると、バイオマス熱利用設備が計29設備(39設備の74.3%)と最も多く、次いで地中熱利用設備が計6設備(同15.3%)、太陽熱利用設備が計3設備(同7.6%)等となっていた。また、設備容量についてみると、バイオマス熱利用設備が計24,336,592kJ/h(25,703,715kJ/hの94.6%)と最も多く、次いで太陽熱利用設備が計523,705kJ/h(同2.0%)、地中熱利用設備が446,338kJ/h(同1.7%)等となっていた。

図表1-4 7府省等における再エネ熱利用設備の導入状況(平成21年度~25年度)

区分 平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度
(構成比)
バイオマス熱 設備数 15 4 0 0 10 29 (74.3%)
設備容量(kJ/h) 10,358,615 11,997,999 0 0 1,979,978 24,336,592 (94.6%)
事業費(百万円) 799 1,892 0 0 123 2,815 (71.7%)
雪氷熱 設備数 0 0 0 0 1 1 (2.5%)
設備容量(kJ/h 0 0 0 0 397,080 397,080 (1.5%)
事業費(百万円) 0 0 0 0 181 181 (4.6%)
太陽熱 設備数 2 0 0 0 1 3 (7.6%)
設備容量(kJ/h) 26,905 0 0 0 496,800 523,705 (2.0%)
事業費(百万円) 269 0 0 0 187 457 (11.6%)
地中熱 設備数 0 6 0 0 0 6 (15.3%)
設備容量(kJ/h) 0 446,338 0 0 0 446,338 (1.7%)
事業費(百万円) 0 469 0 0 0 469 (11.9%)
設備数 17 10 0 0 12 39 (100%)
設備容量(kJ/h) 10,385,520 12,444,337 0 0 2,873,858 25,703,715 (100%)
事業費(百万円) 1,068 2,362 0 0 492 3,923 (100%)
注(1)
府省等別については別表2を参照。
(オ) 国庫補助金等を活用した再エネ発電設備の導入状況

地方公共団体等が、21年度から25年度までの間に、国庫補助金等を活用して導入した再エネ発電設備(以下「再エネ発電設備(補助)」という。)の種類別の導入状況についてみたところ、図表1-5-1のとおり、計6,628設備(設備容量計1,524,856kW、発電設備に係る国庫補助金等計1808億8557万円)となっていた。そして、種類別の設備数は、太陽光発電設備が計6,331設備(6,628設備の95.5%)とその大部分を占めていた。また、設備容量は、太陽光発電設備が計589,026kW(1,524,856kWの38.6%)となっており、次いで地熱発電設備が297,943kW(同19.5%)等となっていた。なお、経済産業省所管の補助事業である太陽光発電設備(住宅用)については、地方公共団体以外の者が補助金により住宅に導入するものであり、10kW未満の小規模な発電設備であるものの、導入された設備の数が膨大なものとなっていることなどから、図表1-5-1には含めておらず(カ)で後述する。

図表1-5-1 再エネ発電設備(補助)の導入状況(平成21年度~25年度)

区分 平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度
(構成比)
太陽光
(非住宅用)
注(1)
設備数 1,138 2,982 573 588 1,050 6,331 (95.5%)
設備容量(kW) 43,564 432,513 68,267 14,530 30,150 589,026 (38.6%)
発電設備の設置費(百万円) 27,556 90,393 31,140 13,833 28,197 191,122 (54.3%)
発電設備に係る国庫補助金等(百万円) 16,106 60,854 14,820 6,567 16,967 115,316 (63.7%)
風力 設備数 42 14 27 5 14 102 (1.5%)
設備容量(kW) 58,504 560 39,662 57 4,355 103,138 (6.7%)
発電設備の設置費(百万円) 15,815 456 11,753 80 1,341 29,447 (8.3%)
発電設備に係る国庫補助金等(百万円) 4,942 220 4,624 17 1,200 11,006 (6.0%)
水力

注(2)
設備数 11 24 26 7 24 92 (1.3%)
設備容量(kW) 1,219 7,003 22,715 29,041 205,181 265,160 (17.3%)
発電設備の設置費(百万円) 1,330 3,654 9,202 3,601 4,440 22,230 (6.3%)
発電設備に係る国庫補助金等(百万円) 625 1,431 2,655 651 1,400 6,764 (3.7%)
バイオマス

注(3)
設備数 15 11 16 17 32 91 (1.3%)
設備容量(kW) 99,090 8,918 25,750 55,109 80,671 269,538 (17.6%)
発電設備の設置費(百万円) 33,487 6,960 17,392 23,105 19,825 100,770 (28.6%)
発電設備に係る国庫補助金等(百万円) 15,389 2,568 7,246 9,528 11,161 45,895 (25.3%)
地熱発電 設備数 0 2 1 3 5 11 (0.1%)
設備容量(kW) 0 30,100 28,800 49,000 190,043 297,943 (19.5%)
発電設備の設置費(百万円) 0 637 357 2,085 4,474 7,555 (2.1%)
発電設備に係る国庫補助金等(百万円) 0 117 71 399 915 1,503 (0.8%)
海洋温度差 設備数 0 0 0 0 1 1 (0.0%)
設備容量(kW) 0 0 0 0 50 50 (0.0%)
発電設備の設置費(百万円) 0 0 0 0 398 398 (0.1%)
発電設備に係る国庫補助金等(百万円) 0 0 0 0 398 398 (0.2%)
設備数 1,206 3,033 643 620 1,126 6,628 (100%)
設備容量(kW) 202,377 479,095 185,194 147,737 510,451 1,524,856 (100%)
発電設備の設置費(百万円) 78,189 102,102 69,847 42,706 58,678 351,525 (100%)
発電設備に係る国庫補助金等(百万円) 37,063 65,193 29,419 17,164 32,044 180,885 (100%)
注(1)
太陽光発電設備は、住宅用、信号機用、表示板用等の小規模(10kW未満)の発電設備を除いている。
注(2)
水力発電設備は、30,000kW以下の発電設備である。
注(3)
バイオマス発電設備は、発電設備に供給するバイオマス由来の燃料源を精製する設備を含む。
注(4)
都道府県別については別表3を参照。

また、再エネ発電設備(補助)計6,628設備のうち、年間計画発電量が設定され、25年度の実績発電量が把握できる計4,407設備の発電の状況についてみたところ、図表1-5-2のとおり、25年度の年間計画発電量計2,587,665,601kWhに対する実績発電量計2,496,206,154kWhの割合は96.4%となっていた。これを設備別にみると、太陽光発電設備(4,209設備)は112.6%、水力発電設備(63設備)は100.6%などとなっていて、風力発電設備の75.9%を除いて、計画発電量に対する実績発電量の割合は90%以上となっていた。

一方、年間計画発電量に対する25年度の実績発電量の割合が50%以下であった設備が計123設備あり、このうち太陽光発電設備が82設備と大半を占めていた。これら82設備の年間計画発電量計1,661,510kWhに対する25年度の実績発電量計648,502kWhの割合は39.0%となっていた。

図表1-5-2 再エネ発電設備(補助)の発電の状況(平成25年度)

区分 対象設備数 計画発電量
kWh/年)
(A)
実績発電量M
(kWh/年)
(B)
計画比

(B)/(A)
うち割合(B/A)が50%以下の設備
対象設備数 計画発電量
(kWh/年)
(C)
実績発電量
(kWh/年)
(D)
計画比

(D)/(C)
太陽光(非住宅用) 4,209 253,707,052 285,778,125 (112.6%) 82 1,661,510 648,501 (39.0%)
風力 78 264,250,118 200,815,160 (75.9%) 28 114,748,922 48,570,202 (42.3%)
水力 63 175,745,714 176,971,716 (100.6%) 10 15,480,973 1,136,915 (7.3%)
バイオマス 52 1,366,380,917 1,339,241,475 (98.0%) 3 912,180 41,537 (4.5%)
地熱 5 527,581,800 493,399,676 (93.5%) 0 0 0 (0.0%)
4,407 2,587,665,601 2,496,206,154 (96.4%) 123 132,803,586 50,397,156 (37.9%)

地方公共団体等が再エネ発電設備(補助)計6,628設備を導入した主な目的について設備の種類別にみたところ、図表1-6のとおり、導入目的を自家消費としている設備が計3,186設備(6,628設備の48.0%)と最も多くなっており、次いで教育としている設備が計2,371設備(同35.7%)となっていた。そして、導入目的を自家消費としている割合が最も多い設備はバイオマス発電設備(74.7%)となっており、教育としている割合が最も多い設備は太陽光発電設備(37.3%)となっていた。

また、6,628設備を、前記の整備事業、実証事業、研究開発事業に分類すると、整備事業が6,539設備(98.6%)、実証事業が80設備(1.2%)、研究開発事業が9設備(0.1%)となっていた。

そして、前記のとおり、再エネ発電設備(補助)の導入設備数の大部分を占めている太陽光発電設備計6,331設備についてその主たる導入目的をみたところ、自家消費3,065設備(6,331設備の48.4%)、教育2,366設備(同37.3%)、普及啓発320設備(同5.0%)、売電260設備(同4.1%)等となっていた。

図表1-6 再エネ発電設備(補助)の導入目的

区分 主たる導入目的
自家消費 売電(電力
会社等に売
電するた
め)
教育(学校
等において
環境等の教
育を行うた
め)
普及啓発
(住民や事
業者に対す
る普及啓発
のため)
モデル・実
証(モデ
ル・実証事
業で活用す
るため)
研究(研究
開発で活用
するため)
その他
太陽光
(非住
宅用)
設備数 3,065 260 2,366 320 63 2 255 6,331
(構成比) (48.4%) (4.1%) (37.3%) (5.0%) (0.9%) (0.0%) (4.0%) (100%)
風力 設備数 20 52 5 7 12 3 3 102
(構成比) (19.6%) (50.9%) (4.9%) (6.8%) (11.7%) (2.9%) (2.9%) (100%)
水力 設備数 30 45 0 4 2 0 11 92
(構成比) (32.6%) (48.9%) (0.0%) (4.3%) (2.1%) (0.0%) (11.9%) (100%)
バイオ
マス
設備数 68 12 0 0 2 4 5 91
(構成比) (74.7%) (13.1%) (0.0%) (0.0%) (2.1%) (4.3%) (5.4%) (100%)
地熱 設備数 3 7 0 0 0 0 1 11
(構成比) (27.2%) (63.6%) (0.0%) (0.0%) (0.0%) (0.0%) (9.0%) (100%)
海洋温
度差
設備数 0 0 0 0 1 0 0 1
(構成比) (0.0%) (0.0%) (0.0%) (0.0%) (100.0%) (0.0%) (0.0%) (100%)
設備数 3,186 376 2,371 331 80 9 275 6,628
(構成比) (48.0%) (5.6%) (35.7%) (4.9%) (1.2%) (0.1%) (4.1%) (100%)
(注)
1設備についての目的が複数ある場合は、主たるもの一つに整理している。

さらに、太陽光発電設備の主たる導入目的と導入場所との関係についてみたところ、図表1-7のとおり、学校に導入されている太陽光発電設備が計3,982設備(6,331設備の62.8%)と多数に上っており、その導入目的は、教育2,336設備、自家消費1,318設備となっているが、中には売電を主たる導入目的としている設備も150設備見受けられた。このように、学校に多数の太陽光発電設備が導入されているのは、地球温暖化対策の推進や環境教育への活用を目的とする文部科学省の施策によるものである。また、このほかに、その他の公共施設(公民館等)に導入されている太陽光発電設備については、自家消費を主な導入目的としているなどの状況が見受けられた。

図表1-7 太陽光発電設備の導入目的と導入場所

区分 主たる導入目的別の設備数
自家消費 売電(電
力会社等
に売電す
るため)
教育(学
校等にお
いて環境
等の教育
を行うた
め)
普及啓発
(住民や
事業者に
対する普
及啓発の
ため)
モデル・
実証(モ
デル・実
証事業で
活用する
ため)
研究(研
究開発で
活用する
ため)
その他
(構成比)



学校 1,318 150 2,336 75 6 0 97 3,982 (62.8%)
庁舎 295 3 2 59 5 1 42 407 (6.4%)
ごみ処理施設 24 0 2 9 0 0 1 36 (0.5%)
上下水道施設 71 4 0 2 0 0 3 80 (1.2%)
その他の公共施設 596 24 21 99 9 1 66 816 (12.8%)
民有地 727 72 4 68 36 0 41 948 (14.9%)
公用地 34 7 1 8 7 0 5 62 (0.9%)
3,065 260 2,366 320 63 2 255 6,331 (100%)
(注)
1設備についての目的が複数ある場合は、主たるもの一つに整理している。

地方公共団体等が導入した再エネ発電設備(補助)計6,628設備により発電された電気について、その電気事業者への売電の状況をみたところ、図表1-8のとおり、売電を行っている設備は計3,051設備(6,628設備の46.0%)となっていた。また、この3,051設備のうち、発電した電気の全量を売電している設備は計342設備(同5.1%)、一部を売電している設備は2,709設備(同40.8%)となっていた。

図表1-8 再エネ発電設備(補助)により発電された電気の売電の状況

区分 売電を行っている設備数 売電を行ってい
ない設備数
発電した電気の全量を
売電している設備数
発電した電気の一部を
売電している設備数
太陽光 2,893 250 2,643 3,438 6,331
風力 57 52 5 45 102
水力 53 31 22 39 92
バイオマス 40 1 39 51 91
地熱 8 8 0 3 11
海洋温度差 0 0 0 1 1
3,051 342 2,709 3,577 6,628
(構成比) (46.0%) (5.1%) (40.8%) (53.9%) (100%)
(カ) 経済産業省所管の国庫補助金を活用した太陽光発電設備(住宅用)の導入状況

経済産業省は、20年度から、京都議定書目標達成計画等で示されている太陽光発電の導入目標を達成するなどのため、住宅用太陽光発電システムの価格低下を促しつつ市場拡大を図ることを目的として「住宅用太陽光発電導入支援復興対策基金造成事業費補助金交付要綱」(平成23・10・31財資第28号)等に基づき、国庫補助金(住宅用太陽光発電導入支援対策費補助金、住宅用太陽光発電導入支援復興対策基金造成事業費補助金等)を一般社団法人太陽光発電協会に交付し、同協会が国庫補助金を財源とした基金を造成してこれを活用することなどにより、太陽光発電設備(住宅用)の導入に対する支援を行っている。対象となる設備は、地方公共団体以外の者が住宅に導入する太陽光発電設備であり、10kW未満の小規模な発電設備であるものの、導入された設備数は膨大なものとなっている。20年度から25年度までの間に導入された太陽光発電設備(住宅用)の状況についてみたところ、図表1-9のとおり、設備数計1,091,724設備、設備容量計4,749,976kW、国庫補助事業実績額計2214億2663万円となっていた。年度別の導入状況についてみると、設備数及び設備容量は、ともに堅調に推移している。なお、同補助金は、行動計画において目指すとされた太陽光発電システムの価格の低減がおおむね達成されたことに伴い25年度末の申請受付をもって終了した。

図表1-9 経済産業省所管の国庫補助金を活用した太陽光発電設備(住宅用)の導入状況

区分 平成20年度 21年度 22年度 23年度 24年度 25年度
太陽光発電設備
(住宅用)
設備数 1,531 102,544 187,664 235,817 276,051 288,117 1,091,724
設備容量(kW) 5,814 391,118 750,759 1,023,613 1,267,132 1,311,540 4,749,976
国庫補助金交付額(百万円) 8,845 41,539 53,003 153,650 257,038
国庫補助事業実績額(百万円) 8,285 17,989 54,659 51,942 51,543 37,006 221,426
(キ) 国庫補助金等を活用した再エネ熱利用設備の導入状況等

地方公共団体等が、21年度から25年度までの間に、国庫補助金等を活用して導入した再エネ熱利用設備(以下「再エネ熱利用設備(補助)」という。)の導入状況についてみたところ、図表1-10のとおり、計1,122設備(設備容量計1,121,442,492kJ/h、国庫補助金等交付額計509億0257万円)となっていた。そして、種類別の設備数は、バイオマス熱利用設備が663設備(1,122設備の59.0%)と最も多くなっており、次いで太陽熱利用設備が205設備(同18.2%)、地中熱利用設備が164設備(同14.6%)等となっていた。また、設備容量は、バイオマス熱利用設備が1,037,925,148kJ/h(1,121,442,492kJ/hの92.5%)と最も多く、次いで地中熱利用設備が38,022,965kJ/h(同3.3%)、温泉熱利用設備が15,169,656kJ/h(同1.3%)等となっていた。

図表1-10 再エネ熱利用設備(補助)の導入状況(平成21年度~25年度)

区分 平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度
(構成比)
バイオマス熱 設備数 120 129 180 81 153 663 (59.0%)
設備容量(kJ/h) 112,141,788 134,977,293 322,650,105 327,888,058 140,267,904 1,037,925,148 (92.5%)
事業費(百万円) 32,860 18,907 14,573 20,430 137,766 224,537 (47.4%)
うち国庫補助対象事業費 26,797 14,541 13,101 17,556 18,810 90,806 (66.9%)
うち国庫補助金等交付額 11,949 7,527 7,081 6,616 4,754 37,930 (74.5%)
雪氷熱 設備数 3 3 2 3 5 16 (1.4%)
設備容量(kJ/h) 124,500 39,157 0 270,000 687,506 1,121,163 (0.0%)
事業費(百万円) 49 666 14 414 1,161 2,307 (0.4%)
うち国庫補助対象事業費 49 468 132 160 1,074 1,886 (1.3%)
うち国庫補助金等交付額 49 170 7 79 833 1,140 (2.2%)
温度差熱 設備数 7 0 4 2 2 15 (1.3%)
設備容量(kJ/h) 7,870,717 0 1,029,793 1,967,850 273,515 11,141,875 (0.9%)
事業費(百万円) 3,184 0 196 644 69 4,094 (0.8%)
うち国庫補助対象事業費 2,155 0 189 630 65 3,040 (2.2%)
うち国庫補助金等交付額 725 0 92 210 33 1,061 (2.0%)
太陽熱 設備数 25 36 37 48 59 205 (18.2%)
設備容量(kJ/h) 523,767 1,582,421 938,256 2,749,837 2,714,202 8,508,484 (0.7%)
事業費(百万円) 1,412 7,693 2,390 7,190 87,565 106,252 (22.4%)
うち国庫補助対象事業費 1,282 2,722 2,073 2,183 9,240 17,502 (12.9%)
うち国庫補助金等交付額 624 967 852 484 912 3,841 (7.5%)
空気熱 設備数 8 6 0 1 2 17 (1.5%)
設備容量(kJ/h) 3,906,000 4,473,000 0 780,000 394,200 9,553,200 (0.8%)
事業費(百万円) 249 644 0 47 28 969 (0.2%)
うち国庫補助対象事業費 79 547 0 47 17 692 (0.5%)
うち国庫補助金等交付額 26 350 0 23 13 413 (0.8%)
地中熱 設備数 11 14 32 35 72 164 (14.6%)
設備容量(kJ/h) 1,980,794 3,530,830 10,744,124 4,645,882 17,121,335 38,022,965 (3.3%)
事業費(百万円) 726 5,412 3,457 74,594 49,142 133,333 (28.1%)
うち国庫補助対象事業費 410 3,017 1,855 8,516 6,015 19,816 (14.6%)
うち国庫補助金等交付額 273 1,565 929 1,252 1,718 5,739 (11.2%)
温泉熱 設備数 10 4 9 7 12 42 (3.7%)
設備容量(kJ/h) 1,526 732,243 1,834,236 4,886,618 7,715,033 15,169,656 (1.3%)
事業費(百万円) 380 211 338 546 660 2,137 (0.4%)
うち国庫補助対象事業費 356 207 319 448 579 1,911 (1.4%)
うち国庫補助金等交付額 118 61 116 144 333 774 (1.5%)
設備数 184 192 264 177 305 1,122 (100%)
設備容量(kJ/h) 126,549,093 145,334,944 337,196,514 343,188,246 169,173,695 1,121,442,492 (100%)
事業費(百万円) 38,863 33,536 20,970 103,867 276,393 473,632 (100%)
うち国庫補助対象事業費 31,132 21,504 17,672 29,543 35,803 135,656 (100%)
うち国庫補助金等交付額 13,768 10,642 9,080 8,811 8,598 50,902 (100%)
(注)
都道府県別については別表4を参照。

地方公共団体等が上記の1,122設備を導入した主な目的について設備の種類別にみたところ、図表1-11のとおり、導入目的を自家消費としている設備が計957設備(1,122設備の85.2%)と最も多くなっており、次いで普及啓発としている設備が計89設備(同7.9%)等となっていた。

図表1-11 再エネ熱利用設備(補助)の導入目的

区分 主たる導入目的
自家消費 教育(学校等において環境等の教育を行うため) 普及啓発(住民や事業者に対する普及啓発のため) モデル・実証(モデル・実証事業で活用するため) 研究(研究開発で活用するため)
バイオマス熱 設備数 557 4 64 37 1 663
(構成比) (84.0%) (0.6%) (9.6%) (5.5%) (0.1%) (100%)
雪氷熱 設備数 8 1 3 4 0 16
(構成比) (50.0%) (6.2%) (18.7%) (25.0%) (0%) (100%)
温度差熱 設備数 9 1 2 3 0 15
(構成比) (60.0%) (6.6%) (13.3%) (20.0%) (0%) (100%)
太陽熱 設備数 182 8 13 2 0 205
(構成比) (88.7%) (3.9%) (6.3%) (0.9%) (0%) (100%)
空気熱 設備数 17 0 0 0 0 17
(構成比) (100%) (0%) (0%) (0%) (0%) (100%)
地中熱 設備数 144 8 7 5 0 164
(構成比) (87.8%) (4.8%) (4.2%) (3.0%) (0%) (100%)
温泉熱 設備数 40 0 0 2 0 42
(構成比) (95.2%) (0%) (0%) (4.7%) (0%) (100%)
設備数 957 22 89 53 1 1,122
(構成比) (85.2%) (1.9%) (7.9%) (4.7%) (0.0%) (100%)
(注)
1設備についての目的が複数ある場合は、主たるもの一つに整理している。

イ 再生可能エネルギー設備の廃止及び休止の状況

(ア) 再生可能エネルギー設備の廃止の状況

7府省等が自ら若しくは委託者として、又は地方公共団体等が国庫補助金等を活用して導入した再生可能エネルギー設備のうち、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(昭和40年大蔵省令第15号)に規定される耐用年数内の設備(国の場合)又は「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」(昭和30年法律第179号。以下「補助金適正化法」という。)に基づき定められる処分制限財産の処分制限期間内の設備(地方公共団体等の場合)を対象として、21年度から25年度までの間に廃止された設備についてみたところ、図表1-12のとおり、計8設備となっていた。そして、事業主体は、これらの設備はいずれも一定期間は稼働していたとしており、廃止の主な理由を、設備が破損したことなどとしている。

図表1-12 廃止された再エネ発電設備等

区分 所管省庁等 事業主体 設備数 設備容量(kW) 事業費(千円) 国庫補助金等交付額(千円) 事業開始年度 事業終了年度 処分制限期間 廃止年度 国庫補助金返還の有無 国庫補助金の返還額(千円) 廃止した理由
太陽光 経済産業省 石川県羽
咋郡宝達
志水町
1 10 12,600 6,300 16 16 15 23 2,224 設置施設(庁舎)の敷地及び建物売却に伴う
取得財産の撤去
太陽光 経済産業省 宗教法人 東光寺 1 13 7,287 3,107 16 16 15 25 火災により発電設備が焼失したため
風力 文部科学省 佐賀県 1 3 注(1) 30,345 注(2) 10,640 13 13 17 25 授業で使用する見込みがなくなったこと、設
置している教室棟を耐震改修で改築すること
となったため
風力 経済産業
省及びN
EDO
エコ・パ
ワー株式
会社
1 1,500 207,675 55,380 12 14 17 21 42,371 風車翼が停止不能となる事故の影響による、
ナセル内各機器の損傷等のため
風力 NEDO エコ・パ
ワー株式
会社
2 600×2 278,337 88,359 11 12 17 23 43,197 アンカーボルト折損事故のため
風力 NEDO 京都府 1 750 236,985 106,643 12 13 17 24 特異な地形による乱流により制御機が故障、
運転不能のため
バイオ
マス熱
NEDO (株)ペト
ロ二十一
1 148,163 41,600 19 20 15 24 17,204 事業主体が破産したため
注(1)
本件事業では、風力発電設備のほか、太陽光及び水力発電設備を導入しており、事業費はこれらの設備費の合計額である。
注(2)
風力、太陽光及び水力発電設備の設備費の合計額に対する国庫補助金等交付額である。
(イ) 再生可能エネルギー設備の休止の状況

7府省等が自ら若しくは委託者として、又は地方公共団体等が国庫補助金等を活用して、21年度から25年度までの間に導入した設備のうち、26年3月末時点において休止している設備は、図表1-13のとおり、計41設備となっていた。そして、事業主体は、休止の主な理由を、故障の原因を調査中のため(16設備)、修理や部品等の調達に時間を要しているため(5設備)などとしている。また、これら41設備の中には、1年以上休止している設備が計8設備見受けられた。

図表1-13 休止している再エネ発電設備等

区分 休止している設備 休止している主な理由 再稼働の予定
うち1年以
上休止して
いる設備
故障の原因
を調査中の
ため
修理や部品
等の調達に
時間を要し
ているため
その他 再稼働する
予定である
検討中であ
再稼働しな
太陽光 設備数 18 4 10 4 4 16 2 0
設備容量(kW) 317 100 126 112 79 258 59 0
発電設備の設置費(百万円) 488 106 195 214 78 437 50 0
発電設備に係る国庫補助金等(百万円) 255 37 111 104 39 230 25 0
風力 設備数 4 1 3 0 1 3 1 0
設備容量(kW) 2,041 1 2,040 0 1 2,040 1 0
発電設備の設置費(百万円) 649 9 639 0 9 639 9 0
発電設備に係る国庫補助金等(百万円) 256 4 252 0 4 252 4 0
バイオマス 設備数 1 0 0 1 0 1 0 0
設備容量(kW) 1,990 0 0 1,990 0 1,990 0 0
発電設備の設置費(百万円) 1,230 0 0 1,230 0 1,230 0 0
発電設備に係る国庫補助金等(百万円) 83 0 0 83 0 83 0 0
バイオマス熱 設備数 3 1 1 0 2 3 0 0
設備容量(kJ/h) 18,119 1,276 1,276 0 16,843 18,119 0 0
事業費(百万円) 42 33 33 0 9 42 0 0
  うち国庫補助金等交付額 18 14 14 0 4 18 0 0
太陽熱 設備数 5 1 1 0 4 4 1 0
設備容量(kJ/h) 5,824,955 836,800 164,155 0 5,660,800 5,660,800 164,155 0
事業費(百万円) 1,642 14 44 0 1,597 1,597 44 0
  うち国庫補助金等交付額 379 14 20 0 358 358 20 0
地中熱 設備数 10 1 1 0 9 9 1 0
設備容量(kJ/h) 1,726,433 117,352 81,000 0 1,645,433 1,609,081 117,352 0
事業費(百万円) 258 4 11 0 246 254 4 0
  うち国庫補助金等交付額 109 1 2 0 106 107 1 0
設備数 41 8 16 5 20 36 5 0
(注)
定期点検で休止している設備を除いている。

1年以上休止している設備の事例を示すと次のとおりである。

<事例1-1>国庫補助事業により導入したペレット製造設備等が稼働を休止している事例

秋田県横手市は、平成22年度に、森林整備加速化・林業再生事業(林野庁所管)により、ペレット製造設備等(簡易木質ペレット製造機1台及び木質ペレット温風器4台)を事業費1491万円(国庫補助金同額)で導入している。同設備等は、製材工場から発生する端材等から木質バイオマス燃料を製造し利用するバイオマス熱利用設備であり、同市は、同設備等を貸し付けることにより、木質バイオマス事業の推進を図ることとしており、23年1月に、同設備等を秋田県南木材高 度加工協同組合に貸し付けていた。

しかし、同組合の経営状況が悪化したことから、ペレット製造量は同年1月から3月までの累計で4㎥に止まっており、利用計画の57㎥/月を大きく下回っていた。そして、同組合は同年6月に操業を休止し、24年4月には破産手続を開始したことなどから、同市は、同年11月に同設備等の貸付けを解除した。このため、同設備等は稼働を休止している。

なお、同市によれば、貸付けの再開に向けて新たな貸付先を探しているとしている。

また、会計実地検査では、20年度以前に導入した設備の状況も確認するなどしており、以下の事例のとおり、20年度以前に国庫補助事業で導入した設備が休止しているものが見受けられた。

<事例1-2> 国庫補助事業により導入した風力発電設備が稼働を休止している事例

沖縄県は、平成10、11、13各年度に、畑地帯総合整備事業(担い手育成型)(農林水産省所管)の一環として、同県島尻郡南大東村幕上東地区において、発電した電気を売電することにより、かんがいに係る維持管理費を低減することを目的として、風力発電設備(250kW、1基、処分制限期間17年間)を事業費3億7995万余円(うち国庫補助金2億8496万余円)で導入している。そして、同県は、12年度に同設備の稼働を開始した。

しかし、蓄電池が劣化したなどのため、同県は、18年5月に同設備の稼働を休止していた。

そして、26年4月の会計実地検査時点においても、同設備は、ブレード等が分解されてタワー近くに存置されていたり、設備全体にさびが発生したりしていて、今後の稼働も見込めない状況となっていた。

ウ 7府省等が実施している再生可能エネルギーに関する事業の重複等の状況

7府省等が実施している再生可能エネルギーに関する国庫補助事業には、類似の事業が多数見受けられ、また、各国庫補助事業に関する情報は府省ごとに発信されている。このような状況について、地方公共団体に見解を徴したところ、これらの情報の把握や類似事業の比較分析等に相当の時間を要することなどから、いわゆる事業の縦割りによる弊害等について問題があるなどとしている。

そこで、前記のとおり、学校は、太陽光発電設備の導入場所として全導入数の約6割を占めていることから、21年度から25年度までの間に地方公共団体等が太陽光発電設備を学校に導入するに当たり活用した国庫補助金等の所管府省についてみたところ、図表1-14のとおり、5府省、計3,830設備(国庫補助金等交付額546億2445万円)となっており、その内訳は、文部科学省が3,506設備(同483億1522万円)、環境省が145設備(同28億9476万円)、内閣府が121設備(同27億2507万円)、経済産業省が46設備(同5億7099万円)、国土交通省が12設備(同1億1839万円)となっていた。

図表1-14 学校に導入された太陽光発電設備に係る国庫補助金等の所管府省(平成21年度 ~25年度)

区分 設備数 国庫補助金等交付額
(百万円)
内閣府 121 2,725
文部科学省 3,506 48,315
経済産業省 46 570
国土交通省 12 118
環境省 145 2,894
3,830 54,624

上記のように、地方公共団体等が学校に太陽光発電設備を導入した際に活用した国庫補助金等を所管する府省は5府省に上っている。また、各府省が実施する国庫補助事業の目的は様々であり、例えば、文部科学省における目的は環境教育のため、環境省における目的は防災拠点の機能維持のためなどとなっている。

そして、太陽光発電設備を導入した地方公共団体によれば、上記のように各府省が異なる目的別に様々な国庫補助事業を用意していることは、選択の幅が広がるなどという面において歓迎するとしている。一方、国庫補助事業を所管する府省が複数にまたがることから各府省がどのような国庫補助事業を行っているのかについて情報収集が困難であることなどの問題点を指摘する地方公共団体も見受けられる。

エ 7府省等が実施している再生可能エネルギーに関する事業の相互連携

23年11月に実施された提言型政策仕分け(原子力・エネルギー等:省エネルギー、再生可能エネルギー利用等の促進方策)において、省エネルギー、再生可能エネルギーの利用、低炭素化促進のための施策については、予算の概算要求前に、関係省庁の事業について事前の効果測定、重複排除、優先順位付け等の調整を行う仕組みを構築すべきとの提言がなされた。これを受けて、警察庁(26年度のみ)、総務省、文部科学省(25年度のみ)、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省及び環境省は、25年度及び26年度予算の概算要求において「省エネ・再エネ関連事業調整会議」を設けるなどして、各省庁の事業の重複排除及び連携促進を図っている。

そして、25年度予算の概算要求において、経済産業省は、「省エネ型ロジスティクス等推進事業費補助金」について国土交通省と、また、「地域バイオディーゼル流通システム技術実証事業」について農林水産省と調整を行うなどして、計10事業について事業の重複を排除し、それぞれの事業の役割を明確にするなどして連携を図ったとしている。また、環境省は、「省エネ型データセンター構築・活用促進事業」について総務省と、「地域循環型バイオガスシステム構築モデル事業」について農林水産省と調整を行うなどして、計18事業について連携を図ったとしている。

この一例を示すと参考事例1-1のとおりである。

<参考事例1-1>再生可能エネルギーに関する事業の実施に当たり、環境省が農林水産省と 連携を図っている事例

環境省は、平成25年度に農林水産省との連携事業として、地域循環型バイオガスシステム構築モデル事業(25年度エネルギー対策特別会計予算額5億円)を実施した。

同事業は、従来自家消費が主であったバイオガスを地域への熱供給等に活用して、環境負荷の少ない地域づくりを推進するモデルシステムを構築するもので、環境省が農林水産省における農山漁村に係る知見を活用することにより、農山漁村地域におけるエネルギー起源二酸化炭素の排出抑制とこれらの地域の振興の相乗効果を期待して実施したものである。

そして、事業の実施に当たり、農林水産省は、環境省より同事業に関して会計機関の委任を受け、事業者の選定、事業費の支払等の同事業に係る事務を行い、25年度において2件の事業を実施した。

このほか、国における再生可能エネルギーに関する事業の相互連携を図る場としては、我が国全体の科学技術を俯瞰し、総合的・基本的な科学技術政策の企画立案及び総合調整を行うことを目的とした総合科学技術・イノベーション会議(26年4月以前は総合科学技術会議)、バイオマスの活用の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを目的としたバイオマス活用推進会議がある。

(2) 再エネ法に基づく固定価格買取制度の実施状況等

ア 再エネ法に基づく固定価格買取制度の概要等

(ア) 再エネ法に基づく固定価格買取制度の概要

前記のとおり、23年に再生可能エネルギー源の利用を促進することとして、再エネ法が制定され、再エネ法に基づき、24年7月1日から、電気事業者が再エネ事業者から再エネ電気を買い取ることを義務付けた固定価格買取制度が導入され実施されている。

電気事業者が再エネ電気の買取りに要する費用については、電気の使用者から、使用した電気に係る電気料金と併せて再エネ電気の供給の対価の一部として賦課金(以下「再エネ賦課金」という。)を徴収することにより賄うこととなっている。

また、国は、再エネ法に基づき、エネルギーの安定的かつ適切な供給の確保を図る観点から、基本計画が変更されるごと又は少なくとも3年ごとに、再エネ賦課金の負担が電気を事業で大量に使用する者に与える影響等を踏まえ、再エネ法の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて固定価格買取制度に必要な措置を講ずるものとされている。

(イ) 再エネ電気の調達価格及び調達期間

再エネ法によれば、経済産業大臣は、毎年度、再エネ発電設備の区分、設置の形態及び規模ごとに調達価格及び調達期間(以下「調達価格等」という。)を定めることとされている。

調達価格は、再エネ発電設備による再エネ電気の供給を調達期間にわたり安定的に行うことを可能とする価格として、当該供給が効率的に実施される場合に通常要すると認められる費用等を基礎とし、我が国における再エネ電気の供給量の状況、再エネ発電設備を用いて再エネ電気を供給しようとする者が受けるべき適正な利潤等を勘案して定めるものとされている。また、調達期間は、再エネ発電設備による再エネ電気の供給の開始から、その供給の開始後に行われる再エネ発電設備の重要な部分の更新の時までの標準的な期間を勘案して定めるものとされている。そして、経済産業大臣は、調達価格等を定めるに当たっては、調達価格等算定委員会(注13)の意見を聴かなければならないこと及び再エネ賦課金の負担が電気の使用者に対して過重なものとならないよう配慮しなければならないこととされている。

そして、経済産業大臣は、再エネ法に基づき、24年度以降、毎年度調達価格等について定めて、これらを告示している(以下「調達告示」という。)。

また、調達告示によれば、再エネ法の施行日の前に発電を開始した再エネ発電設備に係る調達期間は、調達告示に規定する調達期間から、発電開始日から再エネ法の施行の日までの期間に相当する期間を除いた期間とするとされている。

経済産業大臣が定めて告示した調達価格等は、図表2-1のとおりとなっている。

図表2-1 調達告示における調達価格等

再エネ発電
設備の区分
太陽光 風力 水力 バイオマス 地熱
調達区分 10kW以上 10kW未満 20kW以上 20kW未満 洋上風力
(20kW以上)
1000kW以上~
30000kW未満
200kW以上~
1000kW未満
200kW未満 特定水力発電設備 注(2) メタン発酵バイオガス
、固形燃料燃焼(リサ
イクル木材)等
1.5万kW以上 1.5万kW未満
(200kW以上~
1000kW未満)
(1000kW以上~
30000kW未満)
注(1)
平成24年度
調達価格
40円 42円等 22円 55円 24円 29円 34円 13円~39円 26円 40円
25年度 調達価格 36円 38円等 22円 55円 24円 29円 34円 13円~39円 26円 40円
26年度
調達価格
32円 37円等 22円 55円 36円 24円 29円 34円 21円 14円 13円~39円 26円 40円
調達期間 20年 10年 20年 20年 20年 20年 20年 20年 20年 20年 20年 15年 15年
注(1)
平成24年7月1日から25年3月31日まで
注(2)
特定水力発電設備とは、水力発電設備のうち、水車及び発電機、変圧器、遮断機その他の電気設備の全部並びに水圧管路の全部若しくは一部のみを新設し、又は更新するもの
注(3)
10kW未満の太陽光発電設備以外の再エネ発電設備の調達価格は、本表の金額に消費税相当額を加えて得た額である。なお、消費税率は、平成24、25両年度については調達価格の5%、26年度については同8%である。

調達価格には、再エネ発電設備の建設価格が織り込まれている。また、通常よりも高い価格で売電を行うことにより再エネ事業者が得ることとなる利益は、賦課金の形で電気の使用者、最終的には国民の負担となる。これらのことなどを勘案して、再エネ発電設備に交付された補助金と売電による利益とが重複し、再エネ事業者に対していわば二重の給付となることを回避する観点から、調達告示によれば、再エネ事業者が、固定価格買取制度の導入目的(再生可能エネルギー源の利用等の促進)と政策目的が重複する経済産業省所管の国庫補助金である地域新エネルギー等導入促進対策費補助金、新エネルギー等事業者支援対策費補助金、新エネルギー事業者支援対策費補助金及び中小水力・地熱発電開発費等補助金(以下、これらを合わせて「4補助金」という。)を活用して導入した再エネ発電設備で発電した電気については、調達価格から国庫補助金相当額を控除することとされている(図表2-2参照)。

図表2-2 調達価格から国庫補助金相当額を控除する算式

図表2-2 調達価格から国庫補助金相当額を控除する算式画像

(ウ) 再エネ賦課金の算定

前記のとおり、再エネ賦課金は、電気事業者により、再エネ電気の供給の対価の一部として、電気料金と併せて電気を使用する全ての者から徴収されている。

そして、各電気事業者が供給する電気に占める再エネ電気の割合がそれぞれ異なることから、この不均衡を調整し、電気使用者への再エネ賦課金の負担を全国一律のものとするため、再エネ法に基づき、以下のように算定することとされている。

① 経済産業大臣は、固定価格買取制度に関する電気事業者間の費用負担の調整業務を実施するための機関(以下「調整機関」という。)を指定する。上記の調整業務は、経済産業省令で定める期間ごとに、電気事業者から、電気の使用者から徴収した再エネ賦課金に相当する額を納付させたり(以下、この納付させる額を「納付金」という。)、また、電気事業者に対し、当該電気事業者が再エネ電気の調達に要した費用(以下「調達費用」という。)から当該電気事業者が再エネ電気の調達をしなかったとしたならば当該再エネ電気の量に相当する量の電気の発電等に要することとなる費用の額(以下「回避可能費用」という。)を控除した額及び政府が講ずる予算の措置に係る資金をもって交付金を交付したりする(以下、この交付金を「再エネ交付金」という。)ものである。

② 経済産業大臣は、毎年度、当該年度の開始前に、当該年度において調整機関が全ての電気事業者に交付する再エネ交付金の見込額の合計額等を当該年度における全ての電気事業者が供給することが見込まれる電気の量の合計量で除して得た電気の1kWh当たりの額を基礎とするなどして納付金単価を定め、遅滞なくこれを告示する(以下、この告示を「納付金告示」という。)。

③ 電気事業者は、電気の使用者に対し、供給した電気の量に当該電気を供給した年度における納付金単価に相当する金額を乗じて得た額を再エネ賦課金として請求する。

すなわち、再エネ賦課金の額は、納付金単価に電気事業者が電気の使用者に供給した電気の量を乗じて得た額となる。再エネ賦課金と納付金及び再エネ交付金の関係は図表2-3のとおりとなっている。そして、経済産業大臣は調整機関に一般社団法人低炭素促進機構を指定し、上記の調整業務を行わせている。

図表2-3 再エネ賦課金と納付金及び再エネ交付金等の仕組み(概念図)

図表2-3 再エネ賦課金と納付金及び再エネ交付金等の仕組み(概念図)画像

再エネ賦課金の算定式及び納付金単価は図表2-4のとおりとなっている。

図表2-4 再エネ賦課金の算定式及び納付金単価

図表2-4 再エネ賦課金の算定式及び納付金単価画像

24、25両年度における国全体の再エネ賦課金、調整機関が納付させた納付金、調整機関が交付した再エネ交付金等の額は、図表2-5のとおり、電気事業者が電気の使用者から徴収した再エネ賦課金は24年度1174億円、25年度3031億円となっており、調整機関が電気事業者から納付させた納付金は24年度1118億円、25年度2881億円となっている。また、調達費用は24年度1782億円、25年度5791億円となっており、回避可能費用は24年度610億円、25年度1950億円となっていた。そして、調達費用から回避可能費用を控除した再エネ交付金の額は、24年度1172億円、25年度は3841億円となっていた。

なお、電気事業者が電気の使用者から電気料金を徴収する際には、上記の再エネ賦課金のほかに、太陽光発電の余剰電力買取制度に基づく太陽光発電促進付加金も併せて徴収している。

図表2-5 再エネ賦課金、納付金、再エネ交付金等の額

年度 再エネ賦課金 納付金 調達費用 回避可能費用 再エネ交付金
(A) (B) (A)-(B)
平成24年度 1174億円 1118億円 1782億円 610億円 1172億円
25年度 3031億円 2881億円 5791億円 1950億円 3841億円
注(1)
再エネ賦課金の額と納付金の額は、電気事業者が電気の使用者から再エネ賦課金を徴収する時期と調整機関が電気事業者から納付金を納付させる時期とが異なるなどのために、一致しない。
注(2)
再エネ交付金の額には、再エネ法に基づき政府が講ずる予算の措置に係る資金70億円(平成24年度)及び183億円(25年度)が含まれている。
(エ) 固定価格買取制度における認定状況等

再エネ事業者が固定価格買取制度に基づき、再エネ発電設備を設置して再エネ電気の売電を行うためには、経済産業大臣から、当該再エネ発電設備が、一定の基準等を満たしていることについての認定を受ける必要がある(以下、この基準等を「認定基準等」といい、認定を受けた設備を「認定設備」という。)。そして、主な認定基準等は、次のとおりとなっている。

① 再エネ発電設備について、調達期間にわたり安定的かつ効率的に再エネ電気を発電することが可能であると見込まれるものであること

② 当該認定の申請に係る再エネ発電設備を設置する場所及び当該設備の仕様が決定していること

③ 風力発電設備であって、その出力が20kW未満のものであるときは、日本工業規格又はこれと同等の性能及び品質を有するものであることが確認できるものであること

④ 水力発電設備であるときは、当該水力発電設備に係る発電機の出力が30,000kW未満であること

⑤ RPS法による新エネルギー等発電設備の認定を受けたものでないこと

なお、余剰電力買取制度に基づく認定を受けた発電設備については、固定価格買取制度の認定を受けたものとみなされ、これらの発電設備は固定価格買取制度に移行している。

24年12月から26年3月までの間における認定設備の件数(以下「認定件数」という。)等の推移についてみたところ、図表2-6のとおりとなっていた。そして、26年3月末における認定件数は1,199,482件、このうち運転を開始した件数(以下「導入件数」という。)は619,701件となっており、これを24年12月末の件数と比べてみると、認定件数で5.3倍、導入件数で4.4倍に増加しており、26年3月末の認定件数に対する導入件数の割合は51.6%となっていた。また、26年3月末における認定設備の出力(以下「認定出力」という。)は68,641,620kW、このうち運転を開始した出力(以下「導入出力」という。)は8,953,520kWとなっており、これを24年12月末の出力と比べてみると、認定出力で13.1倍、導入出力で10.3倍に増加しており、26年3月末の認定出力に対する導入出力の割合は13.0%となっていた。

図表2-6 再エネ発電設備の認定等の推移(平成24年12月~26年3月)

年月 件数 出力
認定件数
(A)
導入件数
(B)
認定件数に対する
導入件数の割合
(B)/(A)
認定出力
(C)
導入出力
(D)
認定出力に対する
導入出力の割合
(D)/(C)
(件) (件) (%) (kW) (kW) (%)
平成24年 12月 224,534 138,309 61.5% 5,234,544 867,167 16.5%
25年 1月 268,083 165,956 61.9% 7,369,186 1,083,355 14.7%
2月 384,510 194,371 50.5% 13,059,552 1,350,120 10.3%
3月 437,991 228,444 52.1% 21,089,147 1,768,057 8.3%
4月 446,125 267,630 59.9% 21,611,139 2,549,907 11.7%
5月 489,946 307,891 62.8% 22,371,421 3,048,290 13.6%
6月 517,797 344,682 66.5% 22,913,851 3,664,819 15.9%
7月 554,115 383,748 69.2% 23,606,761 4,085,661 17.3%
8月 582,228 420,903 72.2% 24,210,240 4,665,565 19.2%
9月 617,482 450,845 73.0% 24,863,630 5,190,027 20.8%
10月 666,253 478,041 71.7% 26,210,762 5,852,130 22.3%
11月 721,510 504,672 69.9% 27,969,436 6,452,918 23.0%
12月 774,451 534,377 69.0% 30,311,308 7,043,523 23.2%
26年 1月 851,455 562,278 66.0% 33,222,754 7,612,185 22.9%
2月 986,001 590,505 59.8% 41,205,022 8,149,528 19.7%
3月 1,199,482 619,701 51.6% 68,641,620 8,953,520 13.0%

図表2-6 再エネ発電設備の認定等の推移(平成24年12月~26年3月)画像

上記のように、固定価格買取制度の導入以降、認定件数及び認定出力は増加傾向にある。しかし、認定件数に対する導入件数の割合は6割前後で推移しており、認定出力に対する導入出力の割合は更に低調な状況となっていた。

そこで、26年3月末における種類別の認定設備の状況についてみたところ、10kW未満の太陽光発電設備を除く認定設備において、認定件数に対する導入件数の割合が30.1%から13.3%と低調となっており、認定出力に対する導入出力の割合は10.5%から1.0%と更に低調となっていた。そして、特に、認定件数が多数に上っている10kW以上の太陽光発電設備の認定件数に対する導入件数の割合は20.6%と低調となっており、また、認定出力に対する導入出力の割合は10.2%と更に低調になっていることが、再エネ発電設備全体の件数、出力における導入の割合を押し下げている要因となっていた(図表2-7-1及び2-7-2参照)。

図表2-7-1 再エネ発電設備の種類別の認定等の状況(平成26年3月末)

再エネ発電設備の区分 認定件数
(A)
導入件数
(B)
認定件数に対する導
入件数の割合
(B)/(A)
認定出力
(C)
導入出力
(D)
認定出力に対する導
入出力の割合
(D)/(C)
(件) (件) (%) (kW) (kW) (%)
太陽光発電 10kW未満 615,798 499,123 81.0% 2,687,638 2,276,405 84.6%
10kW以上 583,224 120,469 20.6% 63,037,677 6,439,482 10.2%
うちメガソーラー
(1000kW以上)
8,780 1,110 12.6% 37,509,142 2,126,114 5.6%
風力 116 20 17.2% 1,040,495 109,558 10.5%
水力 173 40 23.1% 297,689 5,603 1.8%
バイオマス 156 47 30.1% 1,564,530 122,333 7.8%
地熱 15 2 13.3% 13,591 140 1.0%
1,199,482 619,701 51.6% 68,641,620 8,953,520 13.0%

図表2-7-2 認定件数及び認定出力の再エネ発電設備の種類別内訳(平成26年3月末)

図表2-7-2 認定件数及び認定出力の再エネ発電設備の種類別内訳(平成26年3月末)画像

上記のような状況を踏まえ、経済産業省は、特段の理由なく認定設備の運転を開始しない事業者がいるとして、24年度中に認定を受けた運転開始前の400kW以上の太陽光発電設備計4,699件(これに係る認定出力1331万kW)について、認定基準等を踏まえて当該設備を設置する場所及び当該設備の仕様がそれぞれ土地の取得若しくは賃貸借又は発注により決定しているかなどについて再エネ法の報告規定に基づき調査し、26年2月にその結果を公表している(図表2-8参照)。この調査結果によれば、設置場所又は仕様のいずれかが未決定のもの、いずれも未決定のもの及び調査に対し未回答等のものがあり、その認定件数は計1,643件(4,699件の34.9%)、これらに係る認定出力は737万kW(1331万kWの55.3%)となっていた。そして、経済産業省によれば、これら1,643件の再エネ発電設備について、順次、行政手続法(平成5年法律第88号)に基づく聴聞を開始し、聴聞においても当該設備の設置場所及び仕様が未決定と認められた場合には、当該設備の認定を取り消すこととしている。

図表2-8 太陽光発電設備に関する調査結果

図表2-8 太陽光発電設備に関する調査結果画像

イ 固定価格買取制度と国の負担等

認定設備の中には国庫補助金等を活用して導入された設備(以下「認定設備(補助)」という。)があり、調達告示により、認定設備(補助)のうち4補助金を活用して導入された設備については、調達価格から交付された国庫補助金相当額を控除することとされている。これは、経済産業省によれば、調達価格から控除の対象とする国庫補助金等は、固定価格買取制度の導入の際に存在していた国庫補助金等のうち、固定価格買取制度と政策目的が重複するものとし、全府省に対して確認を行った結果、4補助金のみが調達価格から控除される対象となったとしている。

そこで、認定設備(補助)を対象として、7府省等における認定設備(補助)に対する国庫補助金等の交付状況及び認定設備(補助)に対して交付された国庫補助金等の取扱状況について分析を行った。

(ア) 認定設備(補助)に対する国庫補助金等の交付状況

7府省等が認定設備(補助)の導入に対して交付した国庫補助金等の状況は、図表2-9のとおり、計853設備(認定出力計328,993kW)となっている。これを再エネ発電設備の種類別にみると、太陽光発電設備746設備(853設備の87.4%)、風力発電設備32設備(同3.7%)、水力発電設備39設備(同4.5%)及びバイオマス発電設備36設備(同4.2%)となっていて、その大部分が太陽光発電設備となっていた。そして、上記853設備の導入に対して交付された国庫補助金等の額は計592億余円、このうち、バイオマス発電設備36設備に対して交付された国庫補助金等の額は計360億余円(592億余円の60.7%)となっていた。このように、設備数は太陽光発電設備が全体の大部分を占めているのに対して、国庫補助金等の額はバイオマス発電設備の方が大きくなっているのは、バイオマス発電設備の1設備当たりの発電出力が大きいことなどによる。

図表2-9 認定設備(補助)の導入に対して交付された国庫補助金等の状況

区分 設定設備数 認定出力
(kW)
発電設備の設置費
(百万円)
発電設備に係る国庫補助金等
(百万円)
(構成比)
太陽光 746 (87.4%) 40,978 26,904 13,512
風力 32 (3.7%) 59,613 16,299 5,720
水力 39 (4.5%) 14,320 9,003 4,050
バイオマス 36 (4.2%) 214,082 79,229 36,005
853 (100%) 328,993 131,436 59,288

7府省等が認定設備(補助)に対して交付した国庫補助金等を所管府省等別にみると、図表2-10のとおりであり、このうち最も設備数の多い太陽光発電設備746設備については、内閣府が29設備(746設備の3.8%)、文部科学省が539設備(同72.2%)、農林水産省が18設備(同2.4%)、経済産業省が25設備(同3.3%)、国土交通省が55設備(同7.3%)、環境省が80設備(同10.7%)となっていて、その大部分が文部科学省の国庫補助金等を活用したものとなっていた。

図表2-10 府省等別認定設備(補助)の国庫補助金等の状況

区分 再エネ発電設備の区分 認定設備に係る
国庫補助金等
(百万円)
太陽光
(設備数)
風力
(設備数)
水力
(設備数)
バイオマス
(設備数)
地熱
(設備数)
その他
(設備数)

(設備数)
内閣府 29 0 1 0 0 0 30 1,089
文部科学省 539 0 0 0 0 0 539 5,472
農林水産省 18 0 4 5 0 0 27 3,799
経済産業省 25 32 29 0 0 0 86 12,130
国土交通省 55 0 1 3 0 0 59 2,071
環境省 80 0 2 28 0 0 110 34,524
NEDO 0 0 2 0 0 0 2 201
746 32 39 36 0 0 853 59,288
(イ) 認定設備(補助)に対して交付された国庫補助金等の取扱い

都道府県等が認定設備(補助)を導入する際に活用した国庫補助事業は、計41事業であった。そして、これらの国庫補助事業において認定設備(補助)に対する国庫補助金等の取扱いがどのようになっているかをみると、図表2-11のとおり、国庫補助金等の取扱いに関する規定がないものが17事業と最も多くなっていた。

一方、調達価格から当該国庫補助金等相当額を控除することとされている国庫補助事業が4補助金の4事業あるほか、一部の国庫補助事業においては、国庫補助金等相当額を返還させていたり、認定設備(補助)に係る売電収入の使途を限定していたりするなどしていた。

上記取扱いの区分ごとに認定設備(補助)を分類すると、計853設備のうち、国庫補助金等を返還しなくてもよいこととしている設備は470設備(853設備の55.0%)、国庫補助金等の取扱いに関する規定がない設備は169設備(同19.8%)、売電収入の使途を限定している設備は95設備(同11.1%)、固定価格買取制度の調達価格から国庫補助金等相当額を控除することとしている設備は84設備(同9.8%)、自家消費分と売電分との割合で案分するなどして国庫補助金等相当額を一部返還させることとしている設備は26設備(同3.0%)、売電は補助事業の対象外であることから国庫補助金等を全額返還させることとしている設備は3設備(同0.3%)等となっていた。

国庫補助金等を返還しなくてもよいこととしている470設備は、文部科学省が当該補助事業の目的を勘案して国庫補助金等の取扱いをこのように定めており、その全てが同省所管の補助事業により導入されているものであった。

図表2-11 認定設備(補助)に対して交付された国庫補助金等の取扱状況

区分 認定設備(補助 認定設備(補助)に対して交付された国庫補助金等の取扱状況
固定価格買取制度の
調達価格から国庫補
助金等相当額を控除
することとしている
自家消費分と売電分と
の割合で按分するなど
して国庫補助金等相当
額を一部返還させるこ
ととしている
売電は補助事業の対
象外であることから
国庫補助金等を全額
返還させることとし
ている
国庫補助金等を返還
しなくてもよいこと
としている
国庫補助金等の取扱
いに関する規定がな
売電収入の使途を限
定している
その他
事業数 設備数 事業数 設備数 事業数 設備数 事業数 設備数 事業数 設備数 事業数 設備数 事業数 設備数 事業数 設備数
内閣府 1 30 0 0 0 0 0 0 0 0 1 30 0 0 0 0
文部科学省 7 539 0 0 0 0 1 1 4 470 2 68 0 0 0 0
農林水産省 9 27 0 0 0 0 1 2 0 0 2 6 5 18 1 1
経済産業省 6 86 4 82 0 0 0 0 0 0 2 4 0 0 0 0
国土交通省 12 59 0 0 5 26 0 0 0 0 7 33 0 0 0 0
環境省 6 110 0 0 0 0 0 0 0 0 3 28 1 77 2 5
NEDO 0 2 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
41 853 4 84 5 26 2 3 4 470 17 169 6 95 3 6
注(1)
各府省の事業別については別表5を参照。
注(2)
NEDOの事業は、経済産業省の事業と重複しているため、事業数には計上していない。

固定価格買取制度の認定に当たり、補助金適正化法に基づき国庫補助金等を返還しているもの及び固定価格買取制度による売電収入について使途を限定しているもの並びに、国庫補助金等の取扱いに関する規定がなく国庫補助金等を返還することとはなっていないもの及び国庫補助金等を返還しなくてもよいこととしているものの事例を示すと、次のとおりである。

<参考事例2-1-1>補助金適正化法に基づき、国庫補助金を一部返還している事例

国土交通省は、再エネ法の施行を受けて、平成24年9月に「再生可能エネルギーの固定価格買取制度における下水道事業の補助金等交付の考え方等について」を都道府県等に通知している。同通知によれば、売電は当初の国庫補助金等の交付目的を逸脱していることから、売電の用に供する発電施設が処分制限期間内である場合は、当該発電施設の整備に係る国庫補助金等交付額のうち残存価額を国庫返納することが必要であるとしている。

このため、神奈川県横浜市は、同通知に基づき、同市の下水道センターの消化ガス発電設備(事業費23億6394万余円(うち国庫補助金12億9969万余円))は、発電開始から固定価格買取制度における認定までに3年を経過していて、同発電設備の処分制限期間が7年間であるため残存期間は4年であること、同発電設備による発電量のうち固定価格買取制度により余剰売電している割合は34%であることなどに基づき、国庫補助金返還額を算出するなどして、25年2月に、補助金適正化法に基づき同省に2億4915万余円を返還していた。

<参考事例2-1-2>売電収入の使途を限定している事例

環境省は、地域における再生可能エネルギー等の地域資源を活用した災害に強い自立・分散型エネルギーシステムの導入等を支援するため、平成23年度に再生可能エネルギー等導入地方公共団体支援基金(グリーンニューディール基金)事業を創設し、24、25両年度も同様の事業を実施している(24、25両年度の事業名は再生可能エネルギー等導入推進基金事業。以下、これらの事業を「基金事業」という。)。

基金事業は、地方公共団体に基金を造成し、地方公共団体が基金を活用することにより地域における再生可能エネルギーの導入等を図るものである。

環境省が24年5月に作成した「基金事業の取扱いについて」などによれば、基金事業を活用して導入した再エネ発電設備で発電した電力を売電するに当たり、再エネ事業者の初期費用を勘案して高価格での買取義務が定められている固定価格買取制度を活用することはできないが、電気事業者との個別契約において価格等を決定し、売電することは可能とすることとされている。ただし、この売電収入は、当該収入を管理するための基金を別途設置し、再生可能エネルギーの導入支援等の目的以外に使用してはならないとして売電収入の使途を限定していた。

<参考事例2-2-1> 固定価格買取制度の適用に当たり、国庫補助金の取扱いに関する規定がなく国庫補助金を返還することとはなっていない事例

福島県会津若松市所在の株式会社グリーン発電会津は、固定価格買取制度開始前の平成22、23両年度に、農林水産省所管の資源循環型地域活力向上対策事業により、未利用材バイオマス等を活用したバイオマス発電設備(設備容量5,700kW)を事業費20億1414万余円(うち国庫補助金9億5911万余円)で整備している。同発電設備は、24年7月に稼働を開始し、同年8月に経済産業省より固定価格買取制度の設備認定を受けている。

同事業は固定価格買取制度開始以前の23年度に終了していることから、実施要綱等には固定価格買取制度における国庫補助金の取扱いに関する規定はない。また、同事業の目的は、地域資源の活用による地域の活性化であり、固定価格買取制度の目的(再生可能エネルギー源の利用等の促進)とは異なっていることから、4補助金のように調達価格から国庫補助金相当額を控除することとはなっておらず、同会社は、設備認定に当たり、経済産業省から上記の取扱いなどについて確認を得ている。そして、農林水産省は、これらのことから、固定価格買取制度の適用を受けて売電を行う場合でも国庫補助金の返還を求めることとはならないとしている。

<参考事例2-2-2> 固定価格買取制度の適用に当たり、国庫補助金を返還しなくてもよいこととしている事例

文部科学省所管の公立学校施設整備費負担金は、公立の義務教育諸学校等の施設の整備を促進するため、公立の義務教育諸学校の建築に要する経費について国がその一部を負担するものである。そして、同負担金を活用して再エネ発電設備を導入した地方公共団体のうち多くの地方公共団体において、発電した電力は自家消費することを基本としているものの、一部の地方公共団体においては、固定価格買取制度の設備認定を受けて発電した電力を調達価格で売電し、売電収入を地方公共団体の一般財源として繰り入れていた。

本件負担金の目的は、固定価格買取制度の目的(再生可能エネルギー源の利用等の促進)とは異なっていることから、4補助金のように調達価格から負担金相当額を控除することとはなっていない。また、文部科学省によれば、発電量が小規模であること及び公立学校に設置されるなど公共性の高いものであることから、固定価格買取制度の適用を受けて売電を行う場合でも負担金を返還しなくてもよいとしている。

以上のとおり、認定設備(補助)を導入する際に活用した国庫補助金等の取扱いに関する規定がない又は国庫補助金等を返還しなくてもよいこととしている国庫補助事業が多数あり、これに係る認定設備(補助)639設備については、当該国庫補助金等の交付目的が固定価格買取制度の導入目的(再生可能エネルギー源の利用等の促進)とは異なっていることなどを理由に、調達価格から国庫補助金等相当額を控除せずに売電が行われていたり、国庫補助金等が返還されていなかったりしていた。

しかし、前記のとおり、固定価格買取制度における調達価格には再エネ発電設備の建設価格が織り込まれており、また、通常よりも高い価格で売電を行うことにより、再エネ事業者が得ることとなる利益は、賦課金の形で最終的に国民の負担となるものであることから、再エネ発電設備の導入に国庫補助金等を活用するとともに、固定価格買取制度に基づき売電を行う場合は、国庫補助金等の交付目的を逸脱していないかなどについて、適宜、確認していく必要がある。

(ウ) 減免措置の実施状況

前記のとおり、再エネ法に基づき、電気の使用者は、電気事業者に対して電気料金と併せて再エネ賦課金を支払わなければならないこととされている。しかし、再エネ賦課金の負担が電気の使用者である事業者の事業活動の継続に与える影響を特に配慮する必要があることから、特例として再エネ賦課金の減免措置(以下「減免措置」という。)が設けられている。減免措置の適用に関して、経済産業大臣は、再エネ法に基づき、毎年度、当該年度の開始前に、経済産業省令で定めるところにより、下記の適用条件を満たす事業者からの申請を受けたときに、年間の当該事業に係る電気使用量が100万kWhを超える事業所を、減免措置の対象事業所として認定している。

① 当該事業が製造業に属するものである場合にあっては、製造業に係る電気の使用に係る原単位(注14)の平均の8倍を超える事業の事業者

② 当該事業が製造業以外の業種に属するものである場合にあっては、製造業以外の業種に係る電気の使用に係る原単位の平均の政令で定める倍数(14倍)を超える事業の事業者

(注14)
原単位 売上高千円当たりの電気事業者から供給を受けた電気使用量(kWh/千円)

また、減免措置における減免額は、再エネ法に基づき、政府が講ずる予算の措置に係る資金をもって補塡することとされており、その補塡額は、再エネ賦課金から当該事業の電気の使用に係る原単位に応じて100分の80を乗じて得た額とされている。このため、経済産業省は、調整機関に対して再生可能エネルギー固定価格買取制度施行事業費補助金(以下「減免補助金」という。)を交付しており、調整機関は、同省から交付された減免補助金を財源の一部として、電気事業者に対して再エネ交付金を交付している。減免補助金の対象事業者及び同省が調整機関に交付した減免補助金は、図表2-12のとおり、24年度855事業者、70億円、25年度1,031事業者、183億8180万円となっていた。また、減免措置の対象事業者は、24年度から25年度にかけて1.20倍となっており、調整機関への減免補助金の交付額は、24年度から25年度にかけて2.62倍となっていた。

図表2-12 減免補助金の対象事業者及び調整機関への減免補助金交付額(平成24、25両年度)

年度 減免補助金の対象事業者 調整機関への減免補助金の交付額 (参考)
再エネ賦課金の
納付金単価
(事業者) 24年度比
(倍)
(百万円) 24年度比
(倍)
(円/kWh)
平成24年度 855 7,000 0.22
25年度 1,031 1.20 18,381 2.62 0.35
26年度(参考) 1,015 1.18 29,000 4.14 0.75

このように、減免補助金の対象事業者の増加率よりも減免補助金の交付額の増加率が大きくなっているのは、納付金告示により定められた納付金単価が24年度から25年度にかけて1.59倍に増加していることに伴い、再エネ賦課金が増加し、これに伴い減免措置の対象となる再エネ賦課金も増加したことが主な要因と考えられる。

そして、第四次計画において、「再生可能エネルギーは、2013年から3年程度、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していく。」とされていることなどから、固定価格買取制度を活用して設置する再エネ発電設備は今後ますます増加していくことが見込まれており、現在の減免措置の適用条件等が継続した場合、減免補助金も同様に増加していくこととなる。

(3) 地方公共団体における再生可能エネルギーの導入等に関する計画の策定等

ア 再生可能エネルギーの導入等に関する計画の策定状況

エネルギー基本法によれば、地方公共団体は、基本方針にのっとり、エネルギーの需給に関し、国の施策に準じて施策を講ずるとともに、その区域の実情に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有するとされている。そして、前記のように、地方公共団体は、エネルギー基本法に基づく施策を実施するなどのため、国庫補助金等を活用して再生可能エネルギー設備を多数導入しており、交付された国庫補助金等の額も多額に上っている。

一方、温対法によれば、都道府県及び市町村は、地球温暖化対策計画に即して、当該都道府県及び市町村の事務及び事業に関し、温室効果ガスの排出の量の削減並びに吸収作用の保全及び強化のための措置に関する計画(以下「地方公共団体実行計画(事務事業編)」という。)を策定するものとされている。また、都道府県並びに政令指定都市、中核市及び特例市(以下、政令指定都市、中核市及び特例市を「指定都市等」という。)については、地方公共団体実行計画(事務事業編)のほか、その区域の自然的社会的条件に応じて温室効果ガスの排出の抑制等を行うための施策に関する事項として、太陽光、風力その他の化石燃料以外のエネルギーであって、その区域の自然的条件に適したものの利用の促進に関する事項、その区域の事業者又は住民が温室効果ガスの排出の抑制等に関して行う活動の促進に関する事項等についても地方公共団体実行計画に定める(以下、当該部分を「地方公共団体実行計画(区域施策編)」という。)ものとされている。

また、環境基本法によれば、地方公共団体は、基本理念にのっとり、環境の保全に関し、国の施策に準じた施策等を策定し、及び実施する責務を有するとされている。このため、多くの地方公共団体は、国の環境基本計画に準じ、その区域における環境保全施策の基本となる計画(以下「地方公共団体環境基本計画」という。)を策定している。そして、第四次環境基本計画において、地方公共団体に期待される役割として、地域資源をいかした再生可能エネルギー等の導入を実施することが示されていることから、一部の地方公共団体環境基本計画には、再生可能エネルギーの導入に関する事項等が定められている。

このように、地方公共団体は、国の施策に準ずるなどして、地方公共団体実行計画(事務事業編)、地方公共団体実行計画(区域施策編)、地方公共団体環境基本計画等において、自ら再生可能エネルギーの導入等に関する事項を盛り込んで策定することが期待されている(以下、再生可能エネルギーの導入等に関する事項を盛り込んで策定された地方公共団体実行計画等を「再エネ導入促進計画」という。)。

したがって、地方公共団体が適切な再エネ導入促進計画を策定することは、国庫補助金等を活用して導入した再生可能エネルギー設備を効率的に活用して、国の施策に準じた施策を講じ、その区域の実情に応じた施策を実施していくことなどを確保する上で重要な第一歩となるものである。

そこで、検査を実施した44都道府県及び1,615市町村(市町村を指定都市等、指定都市等以外の市、町村に区分して分析している場合、特別区は指定都市等以外の市に含む。以下同じ。)、計1,659団体における再エネ導入促進計画の策定状況等についてみたところ、図表3-1のとおり、再エネ導入促進計画を策定している地方公共団体は、966団体(1,659団体の58.2%)となっていた。しかし、残りの693団体(同41.7%)は、再エネ導入促進計画を特段策定しておらず、特に町村の半数以上が再エネ導入促進計画を策定していない状況となっていた。また、966団体が策定した再エネ導入促進計画における再生可能エネルギーの導入目標の設定状況についてみたところ、目標年度や目標数値を具体的に設定するなど定量的な導入目標を設定している地方公共団体が466団体となっていた一方で、できるだけ早い時期に可能な限り再生可能エネルギーの導入を図るというように、定性的な導入目標だけを設定している地方公共団体が500団体となっていた。

図表3-1 再エネ導入促進計画の策定状況等

区分
団体数 再エネ導
入促進計
画を策定
している
団体数
定量的な
導入目標
を設定し
ている団
体数
地方公共
団体実行
計画(事
務事業
編)
地方公共
団体実行
計画(区
域施策
編)
地方公共
団体環境
基本計画
その他の
計画
定性的な
導入目標
を設定し
ている団
体数
再エネ導
入促進計
画を策定
していな
い団体数
(A) (B) (B)/(A) (C) (C)/(A)
都道府県数 44 43 (97.7%) 37 0 6 5 26 6 1 (2.2%)
市町村数 1,615 923 (57.1%) 429 47 58 131 193 494 692 (42.8%)
指定都市等 98 93 (94.8%) 57 2 19 15 21 36 5 (5.1%)
指定都市等以外の市 675 479 (70.9%) 215 11 34 91 79 264 196 (29.0%)
町村 842 351 (41.6%) 157 34 5 25 93 194 491 (58.3%)
1,659 966 (58.2%) 466 47 64 136 219 500 693 (41.7%)
注(1)
策定した計画が複数ある場合は、最も早期に具体的な数値目標を設定した計画により集計している。
注(2)
都道府県別については別表6を参照。

このほか、再生可能エネルギーの導入を推進するために体制を整備することとして、条例等を制定して再生可能エネルギーの導入促進を図っている地方公共団体が250団体見受けられた。

そして、地方公共団体が再エネ導入促進計画に基づく施策を着実に実施していくためには、設定した目標に対する達成状況を検証し、達成度を勘案して施策や目標の見直しをすることなどが重要である。

そこで、再エネ導入促進計画において、定量的な導入目標を設定している前記の466団体における導入目標に対する達成状況の検証の実施状況等についてみたところ、図表3-2のとおり、検証の実施を規定している地方公共団体は、312団体(466団体の66.9%)となっていた。検証の実施状況についてみると、計画期間の終了年度又は計画期間中の中間年度等において、約半数の164団体(312団体の52.5%)が検証を実施していた。

図表3-2 再エネ導入促進計画の目標に対する達成状況の検証の実施状況等

区分 再エネ導入促進計画の目標に対する達成状況の検証の実施状況等
定量的な導入目
標を設定してい
る団体数
検証の実施
を規定して
いる団体数
検証を実施
している団
体数
検証を実施
していない
団体数
検証の実施
を規定して
いない団体数
(A) (B) (B)/(A) (C) (C)/(B)
都道府県数 37 34 (91.8%) 22 (64.7%) 12 3
市町村数 429 278 (64.8%) 142 (51.0%) 136 151
指定都市等 57 50 (87.7%) 29 (58.0%) 21 7
指定都市等以外の市 215 151 (70.2%) 84 (55.6%) 67 64
町村 157 77 (49.0%) 29 (37.6%) 48 80
466 312 (66.9%) 164 (52.5%) 148 154

また、再エネ導入促進計画を策定していない前記の693団体について、その理由をみたところ、図表3-3のとおり、再エネ導入促進計画を策定したいが、職員が少なく他の業務を優先させる必要があるため、策定していないとしている地方公共団体が514団体(693団体の74.1%)と最多数を占めるなどの状況となっていた。また、一部の地方公共団体は、長期的なエネルギー需給動向や送電網の整備等について不確定要素があるため、再生可能エネルギーの導入事業の採算性を考えると、計画を策定することに消極的となるとしていた。

図表3-3 再エネ導入促進計画を策定していない理由

区分 再エネ導入促
進計画を策定
していない団
体数
再エネ導入促進計画を策定していない理由
計画を策定し
たいが、職員
が少なく他の
業務を優先さ
せる必要があ
るため
目標を設定し
たいが、管内
の資源の潜在
的な存在量が
不明なため、
先ずこの調査
を行う必要が
あるため
国のエネル
ギー基本計画
の改定内容を
見て設定する
予定であるた
その他
(A) (B) (B)/(A)
都道府県数 1 0 (0%) 0 1 0
市町村数 692 514 (74.2%) 73 23 82
指定都市等 5 2 (40.0%) 0 2 1
指定都市等以外の市 196 119 (60.7%) 31 10 36
町村 491 393 (80.0%) 42 11 45
693 514 (74.1%) 73 24 82

イ 第四次計画への対応方針

前記のとおり、地方公共団体は、エネルギー基本法において、エネルギーの需給に関し、国の施策に準じて施策を講ずる責務を有するとされている。

そこで、26年3月末時点において、同年4月に第四次計画が策定される予定となっていることを踏まえて、前記の1,659団体が、再エネ導入促進計画を見直したり、新規に再エネ導入促進計画を策定したりするといった何らかの対応を行うことを予定しているのかどうかについてみたところ、図表3-4のとおり、従来の再エネ導入促進計画を見直したり、新規に策定したりする予定はないとしている地方公共団体が、982団体(1,659団体の59.1%)となっていた。また、新規に計画を策定したり、既存の計画を見直したりすることなどを予定している地方公共団体は、677団体(同40.8%)にとどまっていた。

図表3-4 第四次計画への対応方針

区分 団体数
再エネ導入
促進計画へ
の対応予定
あり
新規に計画
を策定する
予定
既存の計画
の見直しを
行う予定
計画の策定
又は見直し
について検
討する予定
再エネ導入
促進計画へ
の対応予定
なし
(A) (B) (B)/(A) (C) (C)/(A)
都道府県数 44 23 (52.2%) 2 7 14 21 (47.7%)
市町村数 1,615 654 (40.4%) 29 54 571 961 (59.5%)
指定都市等 98 58 (59.1%) 4 10 44 40 (40.8%)
指定都市等以外の市 675 328 (48.5%) 17 33 278 347 (51.4%)
町村 842 268 (31.8%) 8 11 249 574 (68.1%)
1,659 677 (40.8%) 31 61 585 982 (59.1%)

ウ 再生可能エネルギーに関する地方公共団体の独自の取組

地方公共団体は、地方公共団体実行計画(事務事業編)等に規定している温室効果ガスの削減目標を達成するなどのために、地方公共団体が所有する施設において太陽光発電設備を率先して導入している。また、このほかに、①太陽光発電設備の導入促進の一環として、地方公共団体が所有する施設の屋根等又は土地を発電事業者に貸与して太陽光発電設備を設置させる事業(以下、屋根等を貸与する事業を「屋根貸与事業」、土地を貸与する事業を「土地貸与事業」という。)、②屋根等の貸与、又は土地の貸与を希望する民間団体等と発電事業を行うことを希望する発電事業者とを公募するなどして、両者が協議する機会を設けることなどにより再生可能エネルギー設備の導入を促進する事業(以下「マッチング事業」という。)、③地方公共団体等が主体となり、地域住民からファンド出資、寄附等により資金を調達して風力発電設備、太陽光発電設備等を設置し、発電した電力を売電することにより得られた収益を出資者に還元する事業(以下「住民参加型事業」という。)を行っている地方公共団体も見受けられる。

地方公共団体によるこれらの取組の実施状況は、図表3-5のとおり、前記1,659団体のうち、屋根貸与事業を実施している地方公共団体は110団体、土地貸与事業を実施している地方公共団体は280団体(参考事例3-1参照)、マッチング事業を実施している地方公共団体は88団体(参考事例3-2参照)、住民参加型事業を実施している地方公共団体は47団体となっていた。そして、この中には、屋根貸与事業、土地貸与事業及びマッチング事業の3事業をいずれも実施している地方公共団体が13団体見受けられた。また、上記の各事業を実施している地方公共団体の再エネ導入促進計画の策定状況についてみたところ、屋根貸与事業を実施している110団体のうちの94団体(85.4%)、土地貸与事業を実施している280団体のうちの201団体(71.7%)、マッチング事業を実施している88団体のうちの74団体(84.0%)、住民参加型事業を実施している47団体のうちの40団体(85.1%)が、それぞれ再エネ導入促進計画を策定しており、1,659団体の策定率58.2%を上回っていて、これらの地方公共団体における再生可能エネルギーの導入促進に対する意識の高さがうかがえる。

図表3-5 地方公共団体による取組の実施状況

区分 団体数 屋根貸与事業 土地貸与事業 マッチング事業 住民参加型事業
実施して
いる
実施予定
である
実施して
いない
実施して
いる
実施予定
である
実施して
いない
実施して
いる
実施予定
である
実施して
いない
実施して
いる
実施予定
である
実施して
いない
都道府県
44 15 7 22 30 0 14 25 1 18 6 3 35
市町村数 1,615 95 138 1,382 250 162 1,203 63 53 1,499 41 71 1,503
1,659 110 145 1,404 280 162 1,217 88 54 1,517 47 74 1,538

土地貸与事業又はマッチング事業を実施している地方公共団体の事例を示すと次のとおりである。

<参考事例3-1>一般廃棄物の最終処分場の跡地を太陽光発電設備の導入に供している事例

愛知県豊橋市は、平成23年の再エネ法の成立を契機として、土壌を掘削することが難しいことなどから未利用地となっていた一般廃棄物の最終処分場の跡地を、メガソーラーの設置場所として有効活用することとした。そして、メガソーラー発電所設置に関する企画提案を募集し、24年5月に、最優秀提案者と処分場跡地の有償貸付けに関する協定を締結している。協定締結後、同発電所は、25年3月に稼動を開始している。

<参考事例3-2>太陽光発電設備の候補地を発電事業者に仲介している事例

熊本県は、民間又は市町村の力を最大限に生かした再生可能エネルギーの導入を促進するため、管内市町村からメガソーラー発電設備を設置するための候補地についての情報提供を受け、平成23年12月以降に候補地を随時公表し、発電事業者に仲介するなどしている。そして、この取組により、26年3月末現在において、メガソーラーの立地協定を締結した51か所のうち36か所の計71,485kWの太陽光発電設備が稼働しているなどしており、その導入が進んでいる。

エ 地域における再生可能エネルギーの導入拡大に関する問題点等

(ア) 地域における再生可能エネルギーの導入拡大に関する問題点

再エネ法は、再生可能エネルギーの導入拡大が地域の活性化に寄与することを目的の一つとしている。また、地方公共団体は、地域における雇用創出、産業の育成、地球温暖化対策等に係る施策として、再生可能エネルギーの導入拡大策を推進するなどしている。一方、会計実地検査を実施した一部の地方公共団体によれば、再生可能エネルギーの導入拡大に関して、国の助成制度、地形、気候、電力会社の系統規模等に起因する様々な問題点を抱えているとしている。

そこで、地方公共団体における再生可能エネルギーの導入拡大に関する問題点について、44都道府県及び19政令指定都市、計63団体から意見を聴取したところ、図表3-6のとおり、多種多様な内容となっている。このうち、国庫補助事業に関する問題点が数多く挙げられており、中でも「再生可能エネルギーに係る様々な国庫補助メニューを一本化あるいは交付金化できないか。」など補助金・財政支援に関する項目が68件と最も多くなっている。また、「国の補助事業の所管が複数にまたがることから情報収集が困難である。」など情報開示に関する問題点等が挙げられている。

そして、エネルギー基本法によれば、国はエネルギーの需給に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有するとされ、また、国及び地方公共団体は、エネルギーの需給に関し、相互に、その果たす役割を理解し、協力するものとするとされている。したがって、国においてエネルギーの需給に関する施策を総合的に策定・実施するためには、地方公共団体が抱える再生可能エネルギーに関する上記のような問題点について、地方公共団体と協力するなどして情報収集することが必要となる。

図表3-6 地方公共団体における再生可能エネルギーの導入拡大に関する問題点

区分 項目 意見の具体例 件数
国庫補助事業に関する問題 補助金・財政支援  再生可能エネルギーに係る様々な国庫補助メニューを一本化あるいは交付金化できないか。 68
情報開示  国の補助事業の所管が複数にまたがることから、情報収集が困難である。 26
人材確保  再生可能エネルギー政策を熟知した職員が不在のため、国から人材を派遣していただきたい。 6
再エネ法(固定価格買取制度)に関する問題 価格競争性  発電コストや導入コストが高いので、買取価格を高くする方向で検討願いたい。 37
再エネ法の制度運用  固定価格買取制度について、実態を踏まえた価格設定や翌年度の買取価格・期間の早期公表を図る必要がある。 34
系統接続・容量  送電容量が不足しているため、電力会社の系統への接続ができない事業者が出てきている。 21
離島  全国画一的な政策ではなく、離島振興や過疎地域の活性化の観点、また地理的な優位性等を考慮し国の支援が必要である。 7
住民の反対  メガソーラーの設置については、外国資本による電力参入や景観上の問題など住民の反対運動が生じている他県の例がある。 2
上記以外の再エネ法に関する問題  太陽光パネルの大量廃棄が想定されるので、事業者に対して撤去・廃棄費用の積立を義務化する必要がある。 9
規制に関する問題 法令等  国立公園内の土地を有効活用できるよう、自然公園法の規制を緩和してほしい。 23
環境影響評価  風力発電に係る配慮書手続の合理化など審査期間の一層の短縮を可能とするように制度を見直す必要がある。 3
その他国の事業に関する問題 国の取組の明確化  再生可能エネルギーの具体的な導入目標等を示した個別計画の策定をお願いしたい。 26
技術上の制約  地熱・小型風力・小水力発電等再生可能エネルギーの導入コストの低減や実用化に向けた研究開発の加速化が必要である。 8
電力の需給バランス  国のエネルギー施策として、系統安定化施設(蓄電池等)の導入を推進していただきたい。 1
271
(注)
複数回答である。
(イ) 地方公共団体における再生可能エネルギーの導入拡大に関する規制

地方公共団体は、再生可能エネルギーの導入拡大を促進する一方で、例えば、太陽光発電施設の設置については、設置場所等に関する国の規制等がほとんどないことなどから、景観等に配慮することなく無秩序な設置が進められているなど、再生可能エネルギーの導入拡大に伴う諸課題を抱えている場合がある。そして、これらの諸課題に対処するため、一部の地方公共団体は、条例等を適用して規制を行っている。

地方公共団体における再生可能エネルギーの導入拡大に関する規制の状況についてみたところ、図表3-7のとおり、1,659団体のうち、条例等を適用して再生可能エネルギーの導入拡大を規制している地方公共団体は、計163団体となっていた。また、適用した条例等を内容別にみると、環境基本条例等の環境関係が72件、景観まちづくり条例等の景観関係が71件等となっていた。

図表3-7 地方公共団体が行っている再生可能エネルギーの導入拡大に関する規制の状況

区分 団体数 条例等を適用して再生可能エネルギーの導入拡大を規制している団体数 再生可能エネルギーの導入拡大を規制する条例等の件数
環境関係 景観関係 その他
都道府県数 44 18 11 6 14
市町村数 1,615 145 61 65 20
指定都市等 98 18 5 8 5
指定都市等以外の市 675 79 40 37 3
町村 842 48 16 20 12
1,659 163 72 71 34
(注)
複数回答である。