東京電力は、電気事業会計規則に基づき財務諸表を作成している。
23、24、25各年度の財務諸表のうち、貸借対照表の要旨及び損益計算書の要旨は図表3-93及び図表3-94のとおりである。
(単位:百万円)
平成 23年度 | 24年度 | 25年度 | |
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(資産の部) | |||
固定資産 | |||
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7,440,562 | 7,379,570 | 7,220,015 |
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49,208 | 44,335 | 39,693 |
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6,965 | 4,547 | 1,636 |
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882,115 | 953,304 | 851,162 |
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845,754 | 807,639 | 785,606 |
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|||
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1,762,671 | 891,779 | 1,101,844 |
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2,032,638 | 2,018,486 | 1,979,652 |
流動資産 | |||
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1,202,251 | 1,583,620 | 1,444,343 |
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927,095 | 936,488 | 945,889 |
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15,149,263 | 14,619,772 | 14,369,843 |
(負債の部) | |||
固定負債 | |||
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3,677,244 | 3,768,108 | 3,801,462 |
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3,216,377 | 2,980,428 | 2,846,951 |
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2,063,398 | 1,765,716 | 1,563,639 |
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3,318,758 | 3,180,453 | 2,951,014 |
流動負債 | |||
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919,919 | 1,114,117 | 937,842 |
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440,250 | 9,500 | 8,450 |
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972,282 | 964,918 | 1,025,290 |
特別法上の引当金 | 13,552 | 4,780 | 5,180 |
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14,621,783 | 13,788,023 | 13,139,830 |
(純資産の部) | |||
株主資本 | |||
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900,975 | 1,400,975 | 1,400,975 |
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243,631 | 743,621 | 743,616 |
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▲609,237 | ▲1,303,618 | ▲904,713 |
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▲7,569 | ▲7,565 | ▲7,589 |
評価・換算差額等 | ▲319 | ▲1,664 | ▲2,276 |
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527,479 | 831,749 | 1,230,012 |
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15,149,263 | 14,619,772 | 14,369,843 |
(単位:百万円)
平成 23年度 | 24年度 | 25年度 | |
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営業収益 | 5,107,778 | 5,769,462 | 6,449,896 |
営業費用 | 5,426,954 | 6,034,976 | 6,297,912 |
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▲319,176 | ▲265,513 | 151,984 |
営業外収益 | 76,572 | 49,052 | 40,149 |
営業外費用 | 165,755 | 161,212 | 148,900 |
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▲408,359 | ▲377,673 | 43,233 |
特別法上の引当金引当 | 2,383 | ▲ 8,771 | 399 |
特別利益 | |||
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2,426,271 | 696,808 | 1,665,765 |
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91,191 | 195,561 | 152,614 |
特別損失 | |||
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297,499 | 40,231 | 26,749 |
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2,524,930 | 1,161,970 | 1,395,643 |
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42,712 | 15,582 | 39,849 |
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▲758,423 | ▲694,316 | 398,970 |
法人税等 (調整額含む) | 0 | 64 | 65 |
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▲758,423 | ▲694,380 | 398,905 |
原子力損害の賠償のために機構から援助を受ける資金等に関して、貸借対照表及び損益計算書への計上の状況をみると、23、24両年度中に行われた資金交付に係る資金援助の申込額(23年度2兆4262億7100万円、24年度6968億0800万円)は、それぞれの年度における損益計算書に、特別利益である原子力損害賠償支援機構資金交付金として計上されるとともに、それぞれの年度末時点での交付申込額(23年度2兆4262億7100万円、24年度3兆1230億7900万円)からそれぞれの年度末までの累計交付額(23年度6636億円、24年度2兆2313億円)を除いたそれぞれの年度末時点で未収となっている額(23年度1兆7626億7100万円、24年度8917億7900万円)が貸借対照表に未収原子力損害賠償支援機構資金交付金として計上されている。
なお、23年度は特別損失に原子力損害賠償費として計上した額とほぼ見合いの額を特別利益の原子力損害賠償支援機構資金交付金として計上していたが、24年度は資金援助の申込みが25年度にずれ込んだため、同交付金の計上額は原子力損害賠償費の計上額より4651億余円少なくなっている。
また、機構を引受先として発行した株式1兆円により、貸借対照表の資本金が5000億円、資本剰余金の中の資本準備金が5000億円増加している。
会計検査院は、25年報告に、東京電力が原子力損害の賠償のために機構から援助を受ける資金等の貸借対照表及び損益計算書への計上の状況をみると、23年度決算において、機構の損益計算書に計上されている資金交付費1兆5803億2200万円と東京電力の損益計算書に計上されている原子力損害賠償支援機構資金交付金2兆4262億7100万円の間に8459億4900万円の開差があることなどを記述している(リンク参照)。そして、25年報告の所見において、東京電力は、「原子力損害賠償支援機構資金交付金について、資金交付に係る資金援助の申込みをもって収益を認識し、計上することとする会計方針が、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠し、また、機構法が資金援助の申込みから決定までの手続を定めている趣旨とも整合するとしていることについて十分な説明を行う」といった点にも留意して原子力損害の賠償その他の特別事業計画を履行していく必要があると記述している。
これを受けて、東京電力は、25年10月31日の決算発表と同日に公表した「特別損益の計上に関するお知らせ」の別紙において、25年度第2四半期の特別利益について次のように説明するとともに、この後も四半期及び年度の決算発表と同日に同様の方法で同様の説明をしている。
申請にあたっては、資金援助の内容や額について、原子力損害賠償支援機構と調整していることや、機構法の趣旨などを勘案すれば、申請を行った時点で、原子力損害賠償支援機構資金交付金を受け取る起因が発生しており、実質的に収益が実現していることから、申請日の属する期において原子力損害賠償支援機構資金交付金として6,662億円を計上している。
原子力損害の賠償のために機構から援助を受ける資金等に関しては、23、24両年度と同様に、25年度中に行われた資金交付に係る資金援助の申込額1兆6657億6500万円が損益計算書に特別利益である原子力損害賠償支援機構資金交付金として計上されるとともに、25年度末時点での交付申込額4兆7888億4400万円から25年度末までの累計交付額3兆6870億円を除いた25年度末時点で未収となっている額1兆1018億4400万円が貸借対照表に未収原子力損害賠償支援機構資金交付金として計上されている。
収支の状況をみると、24年度に実施した料金改定や燃料費調整制度の影響で電気料収入単価が上昇したことなどにより営業収益が前年度比11.7%増の6兆4498億余円となったことや、原子力発電所の停止や為替レートの大幅な円安化の影響等により燃料費が過去最高水準となったものの、当初目標額を上回るコスト削減の実施により営業費用を4.3%増の6兆2979億余円にとどめることができたことなどから、432億余円の経常利益を計上している。
また、24年度に原子力損害賠償費に見合う額の資金交付の申込みをしていなかった分が25年度の原子力損害賠償支援機構資金交付金の計上額に含まれていることが大きな要因となって、特別損益は3561億余円の利益となり、当期純利益は3989億余円となっている。
そして、東京電力は、機構から上記の資金交付金の交付を受けるようになって以降、25年度決算で初めて当期純利益を計上し、機構は運営委員会の議決を経て特別負担金額を500億円と定め26年4月30日に主務大臣の認可を受けた。これを受けて、東京電力は、営業費用の原子力発電費の原子力損害賠償支援機構特別負担金に同額を計上している。