我が国の国民医療費は、ほぼ毎年度増加しており、今後の一層の高齢化の進行等に伴ってますます増大し、また、これによる国庫負担もますます増大すると予想されている。
このような状況を踏まえて、厚生労働省は、医療費適正化に関する施策についての基本的な方針及び医療費適正化を推進するための計画を策定するなどして、生活習慣病予防対策としての特定健康診査・特定保健指導の実施等、医療費適正化のための各種の施策を総合的かつ計画的に推進することとしている。また、従来、医療保険制度の下における診療報酬等の支払の適正化を図るために、医療機関等から提出される診療報酬明細書及び調剤報酬明細書については、社会保険診療報酬支払基金及び各都道府県単位で設立されている国民健康保険団体連合会並びに保険者等がその内容等の審査及び点検を行っており、同省は、これらに関する指導等を行っている。さらに、同省は、従来、保険診療の質的向上及び適正化を図るために、医療機関等に対する指導及び監査を実施しており、不正又は不当な診療報酬等の請求があった場合には返還させることとしている。
このように、厚生労働省は、医療費適正化のための各種の施策を総合的かつ計画的に推進することにより、我が国全体の医療費適正化を推進するとともに、個々の医療機関等に対する診療報酬等の支払及びその請求の適正化を図っている。
本報告書は、以上のような状況を踏まえて、これらの厚生労働省における医療費の適正化に向けた取組の実施状況について検査を実施し、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
(2) NDBシステムの運用状況と生活習慣病予防対策の効果分析
[全国健康保険協会の特定健診等データとレセプトデータについて、NDBシステムにおいて全く突合することができない状況となっていた事例]
(3) レセプト1次審査及びレセプト2次点検の実施状況
[レセプト2次点検の実施に当たり、レセプト1次審査におけるコンピュータチェックの具体的な審査内容を把握し、これを考慮してレセプト2次点検を行っていた事例]