我が国では、台風や局地的な集中豪雨が頻発するなどして土砂災害が発生し、人的被害等が生じたことなどから、これまで砂防法(明治30年法律第29号)、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号。以下「土砂災害防止法」という。)等のハード対策及びソフト対策に係る法令等が整備されてきている。そして、平成27年1月に土砂災害防止法が改正され、また、都道府県は今後おおむね31年度までの5年間で基礎調査を完了することとされている。一方、近年、市街化地域の拡大に伴い渓流下流部や急傾斜地の直下等の土砂災害の危険性の高い箇所において住宅等が立地している場合もあるため、そのような箇所で土石流等が発生した場合には、多大な被害が生ずることが想定される。
このようなことから、土砂災害の危険性の高い箇所については、ソフト対策と連携して限られた予算の中でハード対策を着実に実施していくことが重要である。
本報告書は、以上のような状況等を踏まえて、土砂災害対策に係る事業について検査を実施し、その状況を取りまとめたことなどから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
[過去にも土石流が発生したこん跡があるとされている事例]
[土砂災害の危険性や事業の必要性を十分周知している事例]
[施設の機能が低下しているため、緊急改築事業の対象とした事例]
[計画している砂防えん堤のうち未整備の砂防えん堤があるため、特別警戒区域に指定されている事例]
[管理用道路を整備していたため、除石を行うことができた事例]
[特別警戒区域に指定されている区域に整備されている砂防えん堤について、堆砂の状況に応じて除石を行うこととしていた事例]
[特別警戒区域に多数の人家等が所在している事例]