独立行政法人及び国立大学法人等の自己収入の確保等に向けた取組の状況について、正確性、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、独立行政法人及び国立大学法人等において、同種の事務・事業を行う法人に特有の自己収入及び各法人に共通性のある自己収入について、各法人の状況はどのようになっているか、自己収入の確保等に向けてどのような取組が行われているか、独立行政法人と国立大学法人等との間で相互に参考となる取組はないかなどに着眼して検査した。
25年度における独立行政法人全体の収入額は計58兆4347億余円、国立大学法人等全体の収入額は計3兆4389億余円であり、21年度と比較して、独立行政法人全体では14.9%減少し、国立大学法人等全体では5.0%増加している。また、25年度における自己収入は独立行政法人全体で計37兆2419億余円、国立大学法人等全体で計1兆6988億余円、収入額に占める自己収入の割合は、それぞれ63.7%及び49.4%となっており、21年度と比較して、独立行政法人全体ではほぼ横ばい、国立大学法人等全体では4.3ポイント高くなっている。
独立行政法人の業務類型ごとの21年度から25年度までの収入額の推移は、当該業務類型の業務以外の業務に係る収入額が多額となっている法人を除くと、学校等を設置して文教研修業務を行う文教研修型の独立行政法人においては年々増加して、対21年度比で69.4%の増加、科学技術に関する研究開発業務を自ら行う研究開発型及び病院等を設置して医療診療業務を行う医療診療型の独立行政法人においては毎年度変動があるものの、それぞれ同19.4%、同28.1%の増加となっている。また、国立大学法人等の業務類型ごとの21年度から25年度までの収入額の推移は、国立大学法人等のうち附属病院を設置せず教育研究業務のみを行うなどの国大教育研究型の国立大学法人等は対21年度比で1.2%減少、附属病院を設置している国大病院設置型の国立大学法人は同6.4%増加となっている。そして、25年度における収入額に占める自己収入の割合は、特に、医療診療型及び国大病院設置型においてその割合が高くなっている。
また、独立行政法人の各業務類型に特有の自己収入としては、文教研修型については授業料等収入が、研究開発型については受託研究等収入が、また、医療診療型については、病院収入が挙げられる。同様に、国立大学法人等については、授業料等収入及び受託研究等収入が、そのうち国大病院設置型については、それらに加えて病院収入が挙げられる。上記の各収入について25年度の状況をみると、文教研修型及び研究開発型については、当該業務類型の業務以外の業務に係る収入額が多額になっている法人をそれぞれ除くと、文教研修型においては自己収入計1050億余円のうち授業料等収入が16.0%、研究開発型においては自己収入計3216億余円のうち受託研究等収入が40.9%を占めている。また、医療診療型の9法人においては、自己収入計1兆4278億余円のうち病院収入が89.0%を占めている。そして、国大教育研究型の48法人においては、自己収入計1579億余円のうち授業料等収入及び受託研究等収入がそれぞれ60.5%、31.1%を占めており、また、国大病院設置型の42法人においては、自己収入計1兆5409億余円のうち、授業料等収入、受託研究等収入及び病院収入がそれぞれ15.5%、18.9%、62.3%を占めている(リンク参照)。
文教研修型の独立行政法人9法人及び国立大学法人全86法人は学校等を設置している。そして、それぞれの授業料等収入は、独立行政法人9法人及び国立大学法人全86法人共に、25年度においては前年度より減少し、それぞれ0.6%及び1.4%の減少となっている。
これらの法人においては、現状においては定員を充足している法人が多数を占めるものの、今後、入学者数が減少して授業料等収入が減少することも想定されることから、学生数の確保等に資する取組の状況についてみたところ、入学希望者の増加を図るための取組はほとんどの法人において行われており、また、一部の法人においては各法人の実情を踏まえた独自の取組を実施している法人も見受けられる。
各法人における授業料等の設定等については、国立高等専門学校機構を除く独立行政法人8法人のうち5法人では、費用省令を参考とするなどして授業料等の金額を設定しており、その中には標準額未満の金額に設定している学校について標準額と同額まで引き上げることとしている法人も見受けられる。また、国立高等専門学校機構では全ての学校において、また、国立大学法人全86法人では、ほとんどの法人において全ての学部等の授業料等の金額を費用省令で定める標準額と同額に設定している。そして、多くの法人において、21年度から25年度までの間で、授業料等の金額について積極的な検討はされていない状況が見受けられる。
授業料等に係る債権額については、25年度の授業料等収入に対する債権額の割合は最大でも国立大学法人全86法人の1.09%となっているが、国立高等専門学校機構及び国立大学法人全86法人において、年度中に放棄された債権を含めた授業料に係る債権の状況は、21年度から25年度までの平均で計7億余円となっている。そして、授業料の未納防止対策や授業料に係る債権の督促等について、国立高等専門学校機構及び国立大学法人における実施状況をみると、国立高等専門学校機構においては、納付義務等の説明、督促等共に保護者(保証人)に対しての実施率が高いが、国立大学法人においては、納付義務等の説明については学生に対する実施率が高く、授業料に係る債権が発生した以降では保護者(保証人)に対する督促の実施率が高くなっている(リンク参照)。
文教研修型、研究開発型及び医療診療型のいずれかの業務類型に該当する独立行政法人42法人において、25年度の契約件数は、対前年度比で0.5%の増加となっているものの、25年度の契約金額は、対前年度比で18.1%減少となっている。国立大学法人等全90法人については、受託研究等の契約件数及び契約金額共に、25年度において、21年度以降の5年間で最大となっている。そして、各法人では受託研究等の増加に向けた様々な取組を実施しているが、中期計画等における目標の設定、委員会の設置、対外的な情報発信等に係る取組の検討等を行っている法人の割合は、いずれも国立大学法人等の方が高い状況となっている。
民間企業の委託を受けて締結する受託研究契約及び受託事業契約においては、委託者への請求金額において研究担当者等の常勤職員の人件費を算定していない法人が見受けられたり、受託研究契約に係る標準的な間接経費率の見直しについて「見直しなし」とする法人が見受けられたり、契約履行のための支出額が契約金額を上回る場合に自らがその費用を負担している法人が見受けられたりしている。
共同研究により得られた成果に係る特許出願費用等の負担割合については、共有に係る特許権等の権利の帰属割合によるとしている法人が独立行政法人では62.9%の割合で、国立大学法人等では35.7%の割合で見受けられるが、これらの費用負担を共同研究の相手方企業に全額求めている法人も見受けられる。
共同研究の結果取得された共有に係る特許権等から生ずる特許権等収入の分配割合については、共有に係る特許権等の権利の帰属割合によるとする法人が多く見受けられるが、権利の帰属割合を上回る分配割合としている法人や、権利の帰属割合を下回る分配割合としている法人も見受けられる。
また、一部の法人においては、将来的に収入の発生があまり見込まれないなどと想定して、特許権等収入を定額の一時金のみとする場合もあり、想定を上回る特許権等収入が生じた場合にはその利益を十分に享受できない可能性がある。
その一方で、共有に係る特許権等の実施に伴って、契約締結時に想定していた以上の利益をもたらす場合には、特許権等収入の分配についての再協議を義務付けることを明示した特許権等の実施に関する契約等を締結している法人も見受けられる(リンク参照)。
医療診療型の独立行政法人9法人及び国大病院設置型の国立大学法人42法人における病院収入は、多くの病院で損益計算ベースの病院収益として管理されており、25年度の病院収益は、独立行政法人で計1兆2464億余円、国立大学法人で計9516億余円となっており、いずれも年々増加している。これらの法人における各病院では、病院施設の稼働状況を測る上で有用と考えられる病床利用率等の指標について目標値を設定していない病院も一部見受けられる。また、各法人で、委員会等を設置して検討するなど病院収入の確保や増加につながる取組を行っている。
患者に対する未収診療費債権の残高は、25年度末において、独立行政法人が計102億余円、国立大学法人が計90億余円と、全体としては24年度末から減少傾向となっている。そして、25年度末の債権残高のうち債権の発生から1年以上が経過している債権は、独立行政法人が計33億余円、国立大学法人が計47億余円となっており、債権残高の50%以上を占めている法人も見受けられる。また、未収診療費債権の貸倒額は、25年度において、独立行政法人が計6億余円、国立大学法人が計4億余円で、独立行政法人全体としては減少傾向となっているが、国立大学法人全体では年度ごとに増減がみられる。一方、未収診療費債権の回収手続について、債権管理マニュアル等を整備している法人が見受けられたが、規定している債権の回収方法に各法人間でばらつきが見受けられたり、時効の中断を図るための債権の保全措置を実施していない病院が見受けられたりなどしている。そして、未収診療費債権の回収について債権管理マニュアル等がなく、規程等に基づいた督促等が実施されていない法人もある。
保留レセプト及び返戻レセプトに係る未処理額については、各病院の機能・役割や診療内容の相違による影響に留意する必要があるが、21年度から25年度までの年度末残高は、独立行政法人は計60億円前後、国立大学法人は計190億円前後で推移している。そして、25年度末におけるレセプト未処理額のうち、23年度以前に発生したレセプトの割合は、独立行政法人では0.2%、国立大学法人では0.8%である。さらに、レセプトの処理に関しては、事務処理の遅延に起因して未処理の状態が長期化しているものも見受けられる。また、レセプトの査定率については、審査基準の厳しい高難度で複雑な医療を多く実施した場合には上昇の一因となることがあるが、25年度の査定率は独立行政法人は0.36%、国立大学法人は0.59%であり、全体として年々増加傾向にある(リンク参照)。
独立行政法人51法人及び国立大学法人等89法人は、業者に敷地貸付け等をするなどして食堂又は売店を設置しており、貸付料等収入は25年度において、独立行政法人では計7億余円、国立大学法人等では計4億余円となっている。このうち、外部の利用者が多数見込まれる法人においては、業者に有償で敷地貸付け等をしている契約の割合が高くなっているが、有償で参入する業者がいないことや、利用者に対する安価なサービスの提供を条件としていることなどの理由から無償で敷地貸付け等をする契約も見受けられる。
また、独立行政法人72法人及び国立大学法人等全90法人は、業者に敷地貸付け等をするなどして自動販売機を設置しており、25年度において、貸付料等収入はいずれも計1億余円、手数料収入はいずれも計5億余円となっており、手数料収入が貸付料等収入を大きく上回っているが、競争性のない契約方式を採用し、貸付料等を無償とし、かつ手数料を得ていない契約も多く見受けられる。
独立行政法人59法人及び国立大学法人等88法人は、業務運営上必要な駐車場を設置しており、25年度において、それぞれ計26億余円及び計27億余円の収入額を得ているが、有料駐車場の割合は、それぞれ13.5%及び24.9%であり、このうち病院の駐車場についてはそれぞれ45.7%及び81.0%と、上記の割合より高くなっている。また、駐車場の駐車整理業務により生ずる利益を享受していない法人が見受けられる。
独立行政法人45法人及び国立大学法人等89法人は職員宿舎を保有しており、25年度における宿舎使用料収入は、それぞれ計40億余円及び計31億余円となっている。統一的な宿舎使用料の見直しの取組が行われていない国立大学法人等においては、従前の宿舎使用料のままとなっている法人が43法人、国家公務員宿舎の宿舎使用料の引上げ方法に準じて見直した宿舎使用料より低い宿舎使用料を設定している法人が2法人見受けられる(リンク参照)。
独立行政法人16法人及び国立大学法人等41法人では、法人の業務内容等の広報等のために公開施設を設置している。このうち独立行政法人7法人で計20施設(全施設の39.2%)、国立大学法人等11法人で計16施設(同21.9%)を有料施設として運営しており、それぞれ25年度の入場料収入は、計21億余円及び計2億余円となっている。公開施設の入場料の取扱いについてみると、当該施設を設置する趣旨や展示内容等から入場料を徴収しない無料施設も比較的多く見受けられ、特に入場者数が1万人以下の施設はほとんどが無料施設となっている。一方、有料施設では、経費の一部に充当するために入場料を徴収する取組が見受けられる(リンク参照)。
独立行政法人38法人及び国立大学法人等79法人が受託研究等により取得した研究用機器についてみると、取得価額100万円以上の研究用機器に係る25年度末の固定資産残高は、それぞれ計403億余円及び計2094億余円となっている。また、取得価額500万円以上の研究用機器に係る25年度における民間企業に対する貸付額は、独立行政法人3法人で計1278万余円、国立大学法人1法人で計13万余円となっている。そして、一部の法人において、有償で譲渡を行っている事例も見受けられる(リンク参照)。
独立行政法人及び国立大学法人等における特許権は、研究成果の社会への普及還元を促進したり、安定的な研究開発環境や事業環境を確保したりするなどの目的で保有されている。独立行政法人55法人及び国立大学法人等83法人は、21年度から25年度までの間に特許権の出願、登録又は保有の実績があり、独立行政法人及び国立大学法人等の25年度における特許権収入は、それぞれ計17億余円及び計18億余円、特許料等の費用はそれぞれ計30億余円及び計26億余円となっている。そして、これらの法人のうち、25年度において特許権収入が特許料等の費用を上回っている法人は独立行政法人12法人及び国立大学法人等10法人となっている。
このうち特許権収入が特許料等の費用を大きく上回っていた10法人をみると、事業性を重視した特許権取得を推進したり、事業化機会の拡大を図ったりするための様々な取組が行われている。
また、特許権収入に比べ特許料等の費用が多額となっていたり、事業化が見込めなかったりする場合に必要となる特許権の保有の見直しについては、独立行政法人15法人及び国立大学法人等38法人において特許権登録から3年以内に行うこととしているが、見直しを行うまでの期間を設定していない法人も独立行政法人30法人及び国立大学法人等35法人見受けられる。そして、出願から10年を超過してなお実施許諾契約がない特許権の数は、25年度末で、保有特許権件数に対して独立行政法人で37.8%、国立大学法人等で9.9%を占めており、出願から相当期間を経過して保有している特許権について、その維持に要する費用が負担となっている法人も見受けられる(リンク参照)。
独立行政法人59法人及び国立大学法人等全90法人は、21年度から25年度までの間に寄附金の受入実績があり、25年度の受入額は独立行政法人で計94億余円、国立大学法人等で計758億余円となっており、寄附金の受入実績のある法人においては寄附金獲得のための様々な取組が見受けられる(リンク参照)。
独立行政法人62法人及び国立大学法人等89法人は、25年度において余裕金を運用しており、運用に係る収入はそれぞれ計344億余円及び計19億余円、また、1法人当たりの運用益はそれぞれ平均5億余円及び平均2224万余円となっている。国立大学法人等においては運営費交付金や寄附金等により生ずる余裕金を短期と長期に分けて運用しているが、独立行政法人の中には、余裕金の運用を行っていない法人が34法人あり、この中には、運用原資平均が10億円以上の法人が14法人、余裕金の運用を行う場合の権限等を定めた要領等を定めていない法人が24法人見受けられる(リンク参照)。
独立行政法人及び国立大学法人等は、公共的な性格を有し、個別法等又は国立大学法人法に規定されている各法人の目的に応じた業務運営を行っており、自己収入は、その目的を達成するために重要な財源となっている。
そして、多くの法人は、自己収入のほか、運営費交付金等を充てて業務運営を行っているが、近年の我が国の厳しい財政状況の中、各法人に交付される運営費交付金の額は全体として減少してきており、自己収入を確保することはますます重要となっている。
また、独立行政法人及び国立大学法人等は、自主性・自律性をより発揮した業務運営を行うことにより、行政サービスや教育研究の質の向上等を実現することが求められており、各法人の業務運営の財源の多様化等に資するために、外部資金を獲得するなどの自己収入の拡大に向けた取組は重要なものと位置付けられている。
そして、前記のとおり、各法人における自己収入の確保等に向けた取組の状況は様々であり、他の法人において参考とすべき事例も見受けられた。
したがって、以上の検査の状況を踏まえ、自己収入の確保等に向けた取組が効果的、効率的に行われるよう、独立行政法人及び国立大学法人等においては、他法人の取組を参考にするとともに、次の点に留意することが必要である。
(ア)授業料等収入については、将来にわたって安定的な学校運営を行っていくために、各法人の実情を踏まえた学生数の確保に資する取組を積極的に行うこと、また、授業料等の未納については、その発生状況等を踏まえつつ、引き続き授業料の未納防止対策や授業料に係る債権の督促等について適切に行うこと
(イ)受託研究等収入については、法人の目的に留意しつつ、可能な範囲で目標を設定するなどして受託研究等の増加に努めること、受託研究契約及び受託事業契約における研究担当者等の常勤職員の人件費について、労働提供の寄与度等を考慮するなどして、民間企業である委託者に負担を求めることを検討すること、また、受託研究契約において、標準的な間接経費率についても適切なものとなっているか適宜検討すること、さらに、あらかじめ金額が確定できない経費が含まれる場合には、委託者と協議した上で、精算条項を設けることなどにより、追加負担について委託者に明示すること
また、共有に係る特許権等の実施により生ずる特許権等収入の分配について、契約相手方と協議した上で、法人の貢献度等に見合った収入の分配が見込まれるような契約内容を検討すること
(ウ)病院収入については、病床利用率等の指標に係る目標値の設定や、病院運営に対する様々な検討や取組を病院それぞれの設置目的に応じて行うことなどにより、病院施設を効率的に稼働させるなどして病院収入の確保等を図ること、また、患者に対する未収診療費債権については、診療費の支払方法の多様化等、債権の発生防止を図ることと併せて、各病院における未収診療費債権の発生、回収等の状況を踏まえて、より実効性のある請求や督促の方法等を債権管理マニュアル等に定めることなどにより、可能な限り多くの債権を回収するよう努めること
さらに、保留レセプト及び返戻レセプトに係る未処理額については、その改善のために各病院内において定期的に注意喚起を行うなど組織的な取組を強化していくこと、また、診療報酬請求額に対するレセプトの査定率の引下げは収入の増加要因となることから、事務手続等に改善の余地がある場合には、引下げに向けた定量的な目標の設定等の取組を実施することにより、診療報酬請求事務の適切な実施を更に図ること
(ア)施設の貸付け等に係る収入のうち、食堂及び売店の運営による収入については、無償で敷地貸付け等をしている法人においては、利用者へのサービス内容等への影響に留意しつつ、有償による敷地貸付け等の可能性についても検討すること、自動販売機の設置による収入については、契約条件等の変更による利用者の便宜への影響等に留意しつつ、競争性のある契約方式に移行するなどして、貸付料等収入や手数料収入の増加を図ること、駐車場の使用料収入については、公共交通機関等の利便性や駐車場の利用状況等を十分に考慮し、駐車場の管理に要する経費、周辺駐車場の料金徴収の状況等を勘案しながら、料金を徴収することが可能かどうか検討すること
(イ)各法人が保有する特許権については、特許権の保有目的に留意しつつ、特許権に係る事業化の拡大を図ることと併せて、特許権の維持に要する費用の負担を軽減する観点から、各法人において保有する特許権の見直しを引き続き積極的に進めていくこと
(ウ)寄附金収入については、国立大学法人等において、今後も引き続き産学連携や地域連携等の推進等を通じて、より一層の寄附金獲得のための取組を行っていくこと、また、寄附金の獲得が可能な独立行政法人において、他の法人が実施する寄附金獲得のための取組を参考とするなどして、法人の業務の特性に留意しつつより一層の寄附金獲得を図っていくこと
(エ)余裕金の運用収入については、国立大学法人等において運営費交付金等を短期で運用することにより運用益を上げていることから、独立行政法人においても、四半期ごとに交付される運営費交付金等の比較的安定していると認められる運用原資がある場合には、短期による運用も含めて運用の可否を検討すること、また、余裕金の運用を行う場合の権限等を定めた要領等を定めていない独立行政法人においては、できる限り要領等を定めるなどして、運用可能な余裕金が生じた場合に対応できるようにすること
(オ)このほか、各種証明書等の発行手数料等の徴収、農産物等の売却、ブランド等商品の販売、広告掲載等については、各法人において自己収入の拡大につなげることのできる取組について可能な限り検討すること
会計検査院としては、独立行政法人及び国立大学法人等の自己収入の確保等に向けた取組の状況について、今後とも多角的な観点から引き続き注視していくこととする。