独立行政法人及び国立大学法人等は、公共的な性格を有し、個別法等又は国立大学法人法に規定されている各法人の目的に応じた業務運営を行っており、自己収入はその目的を達成するために重要な財源となっている。そして、多くの法人は、自己収入のほか、運営費交付金等を充てて業務運営を行っているが、近年の我が国の厳しい財政状況の中、各法人に交付される運営費交付金の額は全体として減少してきており、自己収入を確保することはますます重要となっている。
また、独立行政法人及び国立大学法人等は、自主性・自律性をより発揮した業務運営を行うことにより、行政サービスや教育研究の質の向上等を実現することが求められており、各法人の業務運営の財源の多様化等に資するために、外部資金を獲得するなどの自己収入の拡大に向けた取組は重要なものと位置付けられている。
会計検査院は、独立行政法人の収入について、これまでに、国会からの要請を受けて、平成17年10月に、「独立行政法人の業務運営等の状況に関する会計検査の結果について」を会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の3の規定に基づき参議院議長に対して報告しており、また、23年10月に、「独立行政法人における運営費交付金の状況について」を、同法第30条の2の規定に基づき国会及び内閣に対して報告している。そして、これらの報告書において、独立行政法人の状況等について、引き続き注視していくこととするとしている。
本報告書は、以上のような状況等を踏まえて、検査の対象として、独立行政法人に国立大学法人等を加えて、その自己収入の実績及び収入全体に占める割合の推移並びに自己収入の確保等に向けた取組の状況について検査を実施し、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
平成27年12月
会計検査院
・本文及び表中の数値は、表示単位未満を切り捨てているため、表中の数値を集計しても計が一致しないものがある。
・表中の斜線は、当該法人の設立前であることなどを示す。
・表中の「0」は単位未満あり、「-」は皆無を示す。
・表中の法人名は平成27年3月末現在の法人名を記述している。
[未収診療費債権の回収について具体的な手順等を定めた債権管理マニュアル等がなく、規程等に基づいた督促等が実施されていないもの]
[職員等駐車場の駐車整理業務により生ずる利益を享受していないもの]
[出願から相当期間を経過した特許権の維持に要する費用が負担となっているもの]
[余裕金の運用を行っていなかったもの]
[除籍処分と同時期に授業料に係る債権を放棄しない取扱いをしているもの]
[病院に勤務する職員全体で、提供する医療サービスの質の向上を図るなどして病院収入の確保や増加につながる取組を行っているもの]
[自動販売機の設置について、貸付料等に加えて手数料を徴収することとして競争性のある契約方式を採用したことにより収入が増加したもの]
[事業性を重視した特許権取得を推進する取組を行っているもの]
[農産物の売却により自己収入を得ているもの]
[商標使用権許諾契約により自己収入を得ているもの]
[バナー広告を掲載することにより自己収入を得ているもの]