ページトップ
  • 平成28年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第2 内閣府(内閣府本府)|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • (3) 補助対象事業費を過大に精算するなどしていたもの

子どものための教育・保育給付費負担金の国庫負担対象事業費を過大に精算していたもの[2県](13)(14)


(2件 不当と認める国庫補助金 33,616,785円)

  部局等 補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(13) 千葉県 佐倉市 子どものための教育・保育給付費負担金 27 1,046,693 523,346 63,079 31,539
(14) 山口県 下関市 27 2,364,278 1,182,139 4,153 2,076
(13)(14)の計 3,410,971 1,705,485 67,233 33,616

これらの負担金事業は、2事業主体が、教育又は保育を受ける資格を有する小学校就学前の子ども(以下「支給認定子ども」という。)に対して社会福祉法人等が設置する保育所や認定こども園等(以下「民間保育所等」という。)が教育又は保育を実施する際に、当該認定こども園等に施設型給付費等を支弁したり、保育の実施を委託する民間保育所に委託費を支払ったりするのに要した費用の一部について、内閣府本府が子どものための教育・保育給付費国庫負担金(以下「負担金」という。)を交付するものである。なお、平成26年度以前は、保育の実施を委託する民間保育所への委託費の支払に要した費用の一部を厚生労働省が児童保護費負担金等として交付していた。

負担金の交付額は、民間保育所等の所在地域、支給認定子どもの年齢等の別に1人当たり月額で定められている額等に基づき算出する費用の額から、支給認定子どもの扶養義務者の前年度分及び当年度分の市町村民税所得割課税額(以下「市町村民税額」という。)の合計額に応じて、階層別に支給認定子ども1人当たり月額で定められている額等から算出する利用者負担額を控除した額を国庫負担対象事業費として、これに2分の1を乗じて算定することとなっている。

なお、26年度以前の児童保護費負担金等の徴収金の額(上記の利用者負担額に相当するもの。以下同じ。)の算定においては、扶養義務者に16歳未満の扶養親族がいる場合には、その人数に応じて所得控除(以下「年少扶養控除」という。)を適用したとした場合の所得税額を基に階層区分を決定して徴収金の額の計算を行うこととなっていたが、27年度以降は、上記のとおり利用者負担額の算定に当たり、26年度以前から民間保育所等に入所している場合を除き、年少扶養控除が適用されていない市町村民税額を基に階層区分を決定することとなっている。

2事業主体は、本件負担金事業を計3,410,971,753円で実施したとして、県を通じて内閣府本府に事業実績報告書を提出し、これにより負担金計1,705,485,876円の交付を受けていた。

しかし、2事業主体は、国庫負担対象事業費の算定に当たり、誤って、年少扶養控除を適用したとした場合の市町村民税額を基に階層区分を決定するなどしており、利用者負担額を過小に算定していた。

したがって、適正な国庫負担対象事業費を算定すると計3,343,738,183円となり、前記の国庫負担対象事業費3,410,971,753円との差額67,233,570円が過大に精算されていて、これに係る負担金相当額計33,616,785円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、事業主体において利用者負担額の算定に当たり制度の理解が十分でなかったこと、県において事業実績報告書の審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

佐倉市は、民間保育所Aに平成27年度から入所した支給認定子どもBについて、その父母には支給認定子どもBを含めて3人の16歳未満の扶養親族がいるとして、実際の父母の市民税所得割課税額(以下「市民税額」という。)の合計額に当該3人に年少扶養控除を適用したとした場合の市民税額の合計額26年度25万余円、27年度24万余円を基に、階層区分を決定して支給認定子どもBに係る利用者負担額を732,000円と算定していた。しかし、27年度から入所した支給認定子どもBについては、年少扶養控除が適用されていない市民税額を基に階層区分を決定する必要があり、実際の父母の市民税額の合計額26年度31万余円、27年度30万余円を基に階層区分を決定して適正な利用者負担額を計算すると960,000円となり、利用者負担額が228,000円過小となっていた。

そして、同市では、27年度に計676人の支給認定子どもについて、誤って年少扶養控除を適用するなどして利用者負担額を過小に算定していたことにより、国庫負担対象事業費計63,079,600円が過大に精算されていて、これに係る負担金相当額計31,539,800円が過大となっていた。

(「児童保護費負担金等の国庫負担対象事業費が過大に精算されていたもの」参照)