3件 不当と認める国庫補助金 6,034,000円
個人番号カード交付事業費補助金(以下「補助金」という。)は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(平成25年法律第27号)に定める通知カード(注1)及び個人番号カード(注2)(以下「マイナンバーカード」という。)の交付等を円滑に行うことにより、社会保障・税番号制度の導入を推進し、国民の利便性の向上及び行政運営の効率化を図ることを目的として、個人番号カード交付事業費補助金交付要綱(平成27年総行住第65号)等に基づき国が交付するものである。補助金は、通知カード及びマイナンバーカードに係る事務のうち、通知カード等の作成、発送等の事務を地方公共団体情報システム機構(以下「機構」という。)に行わせることとした市区町村が、同事務に要する費用に相当する金額を機構に交付金として交付する場合に、当該交付金等を補助対象経費として、総務省が当該市区町村に交付するものである(補助金の交付額の算定については、「個人番号カード交付事業費補助金について、その交付額の算定に当たり、補助の対象とならない通知カードの再交付枚数を適切に把握することなどを周知することにより、補助対象経費が適切に算定されるよう改善させたもの」参照)。
本院が0099リンク参照の検査の結果を踏まえて4都府県の26市区町において会計実地検査を行ったところ、3市区において、補助の対象とならない手数料相当額を補助対象経費に含めていたため、補助金が過大に交付されていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、3市区において補助対象経費についての理解が十分でなく、補助の対象とならない通知カードの再交付等の枚数の把握・確認が十分でなかったこと、東京都及び大阪府において本件補助事業の審査及び3市区に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
東京都大田区は、機構に通知カード等の作成、発送等の事務を行わせ、同事務に要する費用に相当する金額を機構に交付金として交付していた。
同区は、補助の対象とならない通知カード等の再交付等はなかったとする実績報告書を東京都に提出して補助金193,302,000円の交付を受けていた。
しかし、紛失等による通知カードの再交付について、紛失等が本人の責によるものであり、天災等による場合とは認められず補助の対象とならない再交付が2,238枚、転居又は転出したことによる通知カードの再発行について、補助の対象とならない平成28年1月以降の再発行が3,402枚、計5,640枚あり、これらに係る手数料相当額2,820,000円を控除することなく補助対象経費に含めていた。
したがって、上記の手数料相当額を控除して適正な補助金交付額を算定すると190,482,000円となることから、補助金2,820,000円が過大に交付されていた。
以上を部局等別・補助事業者別に示すと次のとおりである。
部局等 | 補助事業者 (事業主体) |
補助事業 | 年度 | 補助対象事業費 | 左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める補助対象事業費 | 不当と認める国庫補助金相当額 | 摘要 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(33) | 東京都 | 大田区 | 個人番号カード交付 | 27 | 193,302 | 193,302 | 2,820 | 2,820 | 過大交付 |
(34) | 同 | 世田谷区 | 同 | 27 | 238,537 | 238,537 | 1,210 | 1,210 | 同 |
(35) | 大阪府 | 大阪市 | 同 | 27 | 737,756 | 737,756 | 2,004 | 2,004 | 同 |
(33)―(35)の計 | 1,169,595 | 1,169,595 | 6,034 | 6,034 |