文部科学省は、「義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律」(昭和33年法律第81号)等に基づき、学校給食施設を新増築する事業等に要する経費に充てるために、地方公共団体に対して学校施設環境改善交付金等(以下「交付金」という。)を交付している。同省は給食の提供を受ける児童等の数に応じて基準面積を定めており、事業主体がこれを超える延べ床面積の学校給食施設を建築する場合、事業主体は、基準面積を超える面積(以下「超過面積」という。)分の建築工事費を当該建築工事に係る交付対象工事費(以下「交付対象建築費」という。)から除外する必要がある。そして、同省は、基準面積を超える延べ床面積の学校給食施設を建築する場合の交付対象建築費について、事業全体の建築工事費を当該施設の延べ床面積で除して得た1㎡当たりの単価に基準面積を乗じて算定する必要があるとしている。しかし、超過面積分の建築工事費を除外することなく施設全体の建築工事費を交付対象建築費としていたり、超過面積分の建築工事費を除外する計算をする際に延べ床面積ではなく建築面積を用いていたりしていて、交付対象建築費が過大に算定されることにより交付金が過大に算定されている事態が見受けられた。
したがって、文部科学大臣に対して平成28年10月に、次のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。
本院は、文部科学本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、文部科学省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 28年10月に都道府県に対して通知を発して、交付対象建築費の算定誤りにより交付金が過大に算定されていた事業主体等に対して、超過面積分の建築工事費を交付対象建築費から除外して、改めて実績報告及び額の確定を行わせ、過大となった交付金の返還を求めた。そして、事業主体は29年4月までに過大となった交付金を返還した。
イ 28年10月に都道府県に対して通知を発するとともに、29年6月に都道府県等の担当者を対象とした会議を開催して、都道府県を通じて事業主体に対し、学校給食施設事業に係る交付対象建築費の算定の際に、当該施設の延べ床面積が基準面積を上回っている場合において、超過面積分の建築工事費を交付対象建築費から除外する必要があることを明確に示して周知した。また、同年7月に都道府県に対して事務連絡を発して、都道府県を通じて事業主体に対し、超過面積分の建築工事費を交付対象建築費から除外する際の具体的な算定方法を明確に示して周知した。