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  • 平成28年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 農林水産省|
  • 平成27年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(6) 経営体育成支援事業における経営改善目標の設定及びその達成状況の確認等について


平成27年度決算検査報告参照

1 本院が要求した改善の処置

農林水産省は、経営体育成支援事業実施要綱(以下「実施要綱」という。)等に基づき、意欲ある農業経営体等(以下「経営体」という。)の育成・確保を図ることを目標として、経営体が農業用機械、施設等の導入等を行うための費用を助成する経営体育成支援事業を実施する地域協議会等(以下「協議会等」という。)に対して、国庫補助金を交付している。実施要綱等によれば、協議会等は、事業実施地区ごとに経営体の育成・確保に関する成果目標を定めることとされており、この成果目標について、経営体は事業実施年度の翌々年度(以下「目標年度」という。)に達成することを目標とした数値目標等(以下「経営改善目標」という。)を設定し、協議会等は経営改善目標を達成する経営体の数等を目標値として設定することとされている。そして、経営体において経営改善効果が発現するためには、成果目標が経営改善効果が見込まれるよう適切に設定されていることが前提であり、また、達成されていない成果目標がある場合は、当該目標が達成されるよう地方農政局等は協議会等に対して指導等を行うことなどとされているため、達成状況を客観的に確認することが必要である。しかし、数値目標に係る事業計画時の現状値(以下「現状値」という。)の確認や、目標年度における数値目標の実績値等の確認が、協議会等が数値を客観的に確認できる資料(以下「客観資料」という。)に基づいて適切に行われていないなどしたため、数値目標の目標値が実際の現状値以下となっていて数値目標が適切に設定されていなかったり、達成したとしていた経営改善目標が実際には達成されていなかったりしている事態や客観資料が保存されておらず、数値目標の妥当性や経営改善目標の達成状況を確認することができない事態が見受けられた。

したがって、農林水産省において、経営改善目標に係る現状値及び実績値等について、協議会等が客観資料により確認を行い、当該資料を一定期間保存することを具体的に定めたり、現状値及び実績値等を正確に確認することの重要性について協議会等に周知したり、実際には達成していなかった経営改善目標について、協議会等に対して、必要に応じて経営体に経営改善に向けた取組を行わせるよう指導したりするよう、農林水産大臣に対して平成28年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。

2 当局が講じた処置

本院は、農林水産本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、農林水産省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 29年3月に実施要綱を改正して、経営改善目標に係る現状値及び実績値等について、協議会等が客観資料により確認を行うこと及び当該資料を協議会等において事業終了年度の翌年度から5年間保存することを定めた。

イ 29年3月に地方農政局等に事務連絡を発して、地方農政局等から協議会等に対して、各経営体の経営改善目標に係る現状値及び実績値等を正確に確認することが、経営改善目標における数値目標を設定したり、経営改善効果を踏まえて各経営体に対する改善措置を講じたりなどする上で重要であることを周知した。

ウ 29年3月に地方農政局等に事務連絡を発して、経営改善目標を達成したとしていたが実際には達成していなかったものについて、地方農政局等から協議会等に対して、経営改善目標の達成に向けて改善措置を検討し、経営体に対して経営改善に向けた取組を行わせるよう指導した。