国土交通省は、道路事業、河川事業及び砂防事業の一環として、道路や河川の管理業務及び防災業務に資することを目的とした気象観測施設、無線通信設備等(以下「電気通信設備」という。)を多数取得しており、これらの電気通信設備は、国土交通本省、地方整備局等及び河川国道事務所等(以下、地方整備局等と河川国道事務所等を合わせて「事務所等」という。)が管理している。物品管理法(昭和31年法律第113号)等によれば、物品管理官は、物品管理簿を備えて、物品の増減等の異動数量、現在高等を記録することとされており、取得価格が50万円以上の機械及び器具については、その取得価格を記録することとされている。電気通信設備のうち、道路の附属物、河川管理施設及び砂防設備(以下、これらを合わせて「道路附属物等」という。)は、国有財産法(昭和23年法律第73号)に規定する国有財産に該当し、道路法(昭和27年法律第180号)等に基づき管理されることとなっている。そして、電気通信設備のうち国有財産に該当しないものについては、物品管理法等に基づき物品として管理されることとなる。しかし、物品である電気通信設備を物品管理簿に記録していなかったり、道路附属物等となった電気通信設備について、物品管理簿の数量等を減ずることなく記録したままとしていたりなどしていて、物品管理簿等が物品の現況を正確に反映したものとなっていない事態が見受けられた。
したがって、国土交通大臣に対して平成28年10月に、次のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。
本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 電気通信設備の物品管理簿への記録状況を把握し、この内容を基に、物品管理簿に記録されていなかったり、物品管理簿の数量等を減ずることなく記録したままとなっていたりなどしている電気通信設備について29年3月末までに物品管理簿に適切に記録した。
イ 事務所等に対して、28年12月に事務連絡を発し、また、29年2月に開催された物品管理事務担当者会議等において、電気通信設備を物品として取得するなどした際に、物品管理簿に速やかに記録するよう指導した。
ウ 事務所等に対して、28年12月に事務連絡を発して、電気通信設備が道路附属物等となった際に、速やかに物品管理簿の数量等を減ずることなどについて周知した。